最近「腐った食べ物」に遭遇していないような(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
昨日の記事で「タンパク質が腐敗して発生するアンモニア」を人間が悪臭と感じるのは腐敗した食べ物を食べないための進化の結果では、などと書きました。書いた後でふと気が付いたのが今回のタイトル。考えてみると最近「腐った食べ物」に遭遇していないような。腐った食べ物の匂いも遠い思い出の中にしかないのです。
昔は、ときどき「最近の若者は賞味期限切れのものを異様におそれて手を付けようとしない。腐っているかどうかなんて自分で判断して大丈夫なら食べれば良いのに」といった意見を聞いたものですが最近はそんな意見すら希に。もしかして腐った食べ物に遭遇する確率が激減しているのは私だけではないのかもしれません。
これは一体どうしたことか。食品の流通の改善を考えると新鮮な食べ物(=腐敗するまでに時間のかかる食べ物)が豊富に供給されている現状が「腐った食べ物」を珍しいものにしている、というのは有りそうな話です。残念ながら「腐敗した食品に関する実態調査」といったものは見当たりませんのではっきりしたことは分かりません。ですが、食中毒についてはかなり詳細な統計を構成労働省が発表しています。
下の図はその中の「年次別食中毒発生状況」を簡単にグラフ化したものです。
このグラフでまず目に付くのは平成10年に事件件数(図の青線)だけが異常に増えていることです。「バブル崩壊の影響……」にしては少し遅いかも。普通に考えられるのは統計の制度や基準が変わったことでしょうか。だとするとその前後の連続性には疑問符が付きますね。
とは言っても平成10年以降に限定しても患者数・事件数ともにどんどん少なくなっているトレンドが見て取れます。これはやはり全般的に「腐った食べ物」に遭遇することが希になっている、と言えるのではないでしょうか。
もちろん、これが流通の改善による効果だとは言い切れないでしょうが、少なくともいくつかの要因の中の一つ、それもかなり重要なものではないでしょうか。とはいえ、流通に携わる方々がどんなに努力しても家に届いてからの扱いはそれこそ千差万別。せっかく届けた新鮮な食材が腐ってしまうことも充分にあり得るのですから食品の管理には各自が気をつけるべきですね。
「日記 コラム つぶやき」カテゴリの記事
- 英文字略称(片桐教授)(2019.03.13)
- 地震と夏みかん(江頭教授)(2019.03.11)
- 追いコンのシーズンはご用心(片桐教授)(2019.03.07)
- Don't trust over 40℃!(江頭教授) (2019.03.06)
- 「加温」の意味は「温度を加える」?(西尾教授)(2019.03.04)