平成と令和の違い(江頭教授)
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今年は令和6年。令和に入って6年になるのですね。令和の前は平成。そして平成の終わりは2019年4月、平成31年4月だったのですが、それにちなんでこのブログでは堺屋太一氏の小説「平成三十年」についていくつかの記事を書きました(その1,その2、その3)。たまたまそのなかの「書評 堺屋太一著「平成三十年」その3 物価の安定は何をもたらしたか」という記事を読み返したのですが、その中にあったのが以下の図です。そして記事には
1989年の平成元年からの三十年間、ごく初期を除いてほとんど物価は上昇しませんでした。物価が上昇しないこと、これは社会に大きな影響を与えたと考えます。
と書きました。
さて、これが平成の特徴(の一つ)なのですが、令和に入ってどうなったのか、というのが今回のお題です。
まず最新のデータまで含めて上の図を更新してみましょう。
ごらんの通り、明らかに近年物価が高くなってきたのです。
物価の変化をもう少し細かく見たのが以下の図。まずデータを虚心坦懐にみると
1)2021年(令和3年)のうちは比較的安定していた。(平成のころの傾向が持続していた)
2)2022年(令和4年)から上昇傾向に転じて今に至る。(今も上昇中)
というところでしょうか。2)の上昇傾向は1年あたり4%程度でかなり激しい上昇で、しかもその傾向は衰える様子がありません。
これは一体どうしたことか。ロシアのウクライナ侵攻の影響が早々に現れたのか、あるいはコロナ禍に対応した財政出動が遅ればせながら効いてきたのか。解釈はいろいろありうるのですが、世の中の傾向が変わったのは事実のようです。
先に紹介した記事では平成の物価が安定していたことに対して
物価が上昇することは過去に働いて貯蓄をしていた人たちよりも、今は働いてお金を稼いでいる人たちが有利になる現象でもあるのです。平成の日本では物価が極めて安定していたということは年金生活者を含む人々の過去の労働の成果にくらべて、今現在の人たちの労働が軽く評価されているということです。
と書きました。この理屈からすると、これから就職してお金を稼ぎ始めるいまの大学生、高校生の皆さんにとって良い時代がやって来た、ということになるでしょう。
一方で、そろそろリタイアして年金生活者になろうとしている人、たとえば私、にとってはつらい時代の始まりなのですね。
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