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2024年7月

2024.07.31

試験とトランシーバーと坂道(江頭教授)

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 昨日の記事にも書きましたが今週は東京工科大学の試験週間となっています。私も自分の担当の授業の試験を行ったので、試験監督を務めることに。試験開始時間(普通の時間割より結構遅い時間に設定されています)より余裕をもって試験本部に到着。そこでかねて依頼していた問題用紙と解答用紙が来ていることを確認。出席確認用の座席番号順の受験者リストを受け取った封筒に入れてさあ試験会場に。

 おっと、「試験監督セット」はまだありました。黒板に試験科目名や開始時間・終了時間を書くためのチョーク。大抵は黒板のところに有りますが、もし時間ぎりぎりに到着して見つからなかったら大変ですからね。そしてトランシーバーとその取扱説明。

 えっ、トランシーバー? そう思う方もいるかもしれません。

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2024.07.30

期末試験がスタートしました(江頭教授)

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 一昨日、7月26日は2022年度の前期授業の最終日でした。

 そして週末を挟んで月曜日からは期末試験がスタートしました。期間は今週の末まで。予備日を含めると来週の火曜日までで、一週間と少し続きます。

 本学の試験、実は下の写真の片柳研究棟の教室は利用されません。とはいえ、試験をしない授業もありますし(体育とか)、授業内で試験を終わらせている授業もありますから、教室が足りない、ということもなくスケジュールを組むことができています。

 また、試験の時間は1時間。通常の授業は90分なので、30分短くなっています。これに対応して試験期間中は休み時間も少し長く取れるようになっています。

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2024.07.29

「Sience English Camp in Tokyo University of Technology 2024」を開催しました(江頭教授)

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 今回は先週の土日、7月27日と7月28日に本学の八王子キャンパスで我々応用化学が主体となって開催したイベントについて紹介しましょう。

 「サイエンスイングリッシュキャンプ in 東京工科大学」は化学の実験を、最先端の設備を持つ東京工科大学の応用化学科の学生実験室で体験する、高校生向けのプログラムです。タイトルに「イングリッシュ」とあるのは実験中は英語でコミュニケーションをとることになっているからです。

 高校生が大学など専門的な研究機関に来て実験などを体験する、という試みとしてのサイエンスキャンプは一般的に行われている試みだと思います。ただ、そこに英語でのコミュニケーションという要素を加えたものは珍しいのではないでしょうか。「ものづくりと産業のグローバル化が進み、エンジニアにも国際的なセンスや語学力が求められる現代」に対応したプログラム、ということですね。

 まず初日の27日には本学科の教授で副学長でもある山下先生の挨拶。英語でのスタートで如何にも「イングリッシュ キャンプ」という雰囲気に。日本語も交えながらMITでの海外体験を通じて国際交流の楽しさ面白さ、そして重要性をお話されました。

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 続いて、いよいよ実験が始まります。実験テキストは英語。実験を実施するときはグループを作って行いますので、そのグループ内でのやり取りも英語です。もっとも、全てのコミュニケーションが英語、と言うわけではありません。実験に際しての安全に関する注意など、一部には日本語での講義もあります。

 このイベント、本学の応用化学科が設立された翌年の、2016年からスタートし例年この時期に実施されています。コロナ禍のために開催できない期間もありましたので9年前からの実施で7回目の開催となります。

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2024.07.26

「卒業研究中間審査会要旨」の提出日(江頭教授)

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 昨日(2024/07/25)は今学期最後の授業の日(のはずだったのですが雷雨による停電の影響で予備日の今日まで授業が伸びました)。授業はお終いなのですが、卒業研究は中間発表が終わってから夏休み。前期はもう少し続きます。とは言え、7月25日は卒業研究を進めている学生諸君にとっても区切りの日。実は卒論の「要旨」の提出日だったのです。

 高校生の皆さんは「要旨」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?何かの「要旨」を書いた経験は?

 「知ってるよ」「書いたことあるよ」という人から「何それ」という人までそれぞれかと思いますが、大学生になって卒業研究をする場合、全員が「要旨」を書くことになります。(ただし学部や学科によって別の呼び名かも知れません。)

 それもそのはず、例えば本学応用化学科では卒業研究中間審査会、それに最終報告会でも、発表に際して「要旨」の提出を義務づけているのです。

 さて、その「要旨」、今回は「卒業研究中間審査会」の「要旨」とは何か。まず卒業研究中間審査会は学生諸君が1人1人、自分の卒業研究の目的とその意義、前期までに達成できたこと、後期に向けた研究の進め方の計画、について発表する場です。応用化学科では1人7分、質疑3分の口頭発表形式です。その「要旨」とは口頭発表の内容を予めまとめた文章で、本学科ではそれをA4一枚でまとめることになっています。

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2024.07.25

前期の授業は本日で終了、の予定だったのですが……(江頭教授)

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 高校や小中学校ではすでに夏休みに入っている学校も多いかと思いますが、本学では本日まで授業があります。7月25日の木曜日までで前期の授業が終了、そして週末の土曜日(7月27日)から期末試験が始まります、という予定だったのですがね。

 予定ついでに書いておくと、「土曜日に試験開始、というのは少し変則的です。試験は普段授業を行っているのと同じ曜日に行うのが普通なので、本来は月曜日からスタートするはずなのです。でも今回は、教室の割当などの都合で一部の授業の実施時間が変更されていて、そのまた一部が土曜日の実施になっているのです。」と書く予定だったのです。そして、「木曜日に授業が終了したなら金曜日から試験を始めて来週の木曜日に試験を終わらせられるのに。そう思ったするどい人もいるかも知れません。授業が終わっても試験が始まらない空白の一日、実は自然災害などで授業ができなかった時の予備日として確保されていたのです。」と続く。

 で、これが「予定」になってしまったのは「自然災害などで授業ができない」が現実になってしまったからです。

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2024.07.24

熱を伝える物質 伝えない物質(江頭教授)

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 前回につづいて化学で必須となる加熱の問題について考えてみましょう。基本に立ち返って熱についてみんなが知っていることを挙げると

熱は温度の高いところから低いところに流れる

ということでしょうか。これを定式化したのがフーリエの法則と呼ばれるもので「熱の流れる速度は温度の勾配に比例する」と言い表すことができます。

 「熱の流れ」は単位面積当たり、単位時間当たりに流れるエネルギーの量ですから単位は「J/m2s」あるいは「W/m2」となります。「温度の勾配」は温度の距離による微分ですから単位は「K/m」です。この二つが比例する、というのですから比例係数k(単位はW/mK)を温度勾配にかけたものが熱の流れになる、と言い換えても良い。このkを熱伝導度と呼びますが、この熱伝導度は、それぞれの物質に対して決まった値をとる、という意味で物性値と呼ばれます。(ただし、温度によって変化します。)

 同じ温度勾配に対して、熱伝導度が大きい物質なら多くの熱が、小さな物質なら少しの熱が流れる、つまり熱伝導度は物質の熱の伝えやすさの指標となります。

 では、熱伝導度はどんな値を示すのでしょうか。以下にそのデータを示します。

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2024.07.23

大きなものを加熱するのは難しい(江頭教授)

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 化学の授業では化学反応に伴う熱の発生や吸収について学びます。でも、熱の伝わり方、伝熱についてまとまった話はありません。伝熱は化学ではなくて物理の範囲ですからね。

 とはいえ、化学反応を起こすには加熱を必要とするケースが多い(というか、温度によってコントールできる反応が興味の対象になっているわけですが……)ので、加熱する、という操作は化学にとって重要だ、ということで今回のお題は加熱についてです。

 化学実験で何かを加熱する際、小学校から高校まではアルコールランプやブンゼンバーナーなど、炎を使って加熱する操作が多かったのではないでしょうか。これは基本的には料理でつかう鍋と同じで、容器の下から加熱する、という形式です。

 普通の実験室スケールであればこの加熱法で何の問題もありません。例えば

直径5cmのビーカーに4㎝の深さで水がたまっている

としましょう。加熱は簡単で火加減によりますが5分あれば沸騰させられます。では、これが10倍になったとしましょう。

直径50cmのビーカーに40㎝の深さで水がたまっている

ことになります。容量は約80L、重さは80kgになりますから、扱うのも大変。これを大きなコンロか何かで下から温めたとしても5分で沸騰させることは不可能でしょう。

 先ほど「10倍になった」と書きました。直径や深さは確かに10倍なのですが、縦横高さ方向に10倍になったことを考えると体積は実は1000倍になっているのです。

 これを下から温めようとする場合、底部の面積は縦横10倍で100倍にしかなりません。100倍の面積を加熱して1000倍の液体を加熱する、単純に考えても同じ面積から10倍の熱量を伝えなければなりません。単純に熱エネルギーが1000倍必要だという事情に加えて、ものを加熱する、とくに大きなものを加熱するにはこのような事情があるのです。

 必要な熱量は体積に比例するのに伝熱するのは面積に比例する、このような関係は二乗三乗則と呼ばれていて、生物の世界でもよく見られる関係です。

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2024.07.22

オープンキャンパスを実施しました。(江頭教授)

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 昨日、7月22日の日曜日、今年度2回目のオープンキャパスを実施しました。

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 これは開場前の片柳研究棟入口ホールの様子。本学のマスコット「こうかとん」の立て看の向こうに受付の準備が整っているのが分かります。

 さて、高校生の諸君は夏休みに入っているのでしょうか。前回よりも多くの来場者を迎えることとなりましたが、生憎当日は「命の危険を感じる」ほどの暑さ。本来の開場時間を繰り上げて参加者の皆さんに室内に入ってもらうことに。さきの写真とはうって変わって片柳研究棟の入り口ホールは人で一杯になっていますね。

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2024.07.19

フレッシャーズゼミ・ポスター発表会(江頭教授)

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 「フレッシャーズゼミ」は本学全体で行われている一年生向けの授業です。本学固有の授業なのでしょうか、「フレッシャーズゼミ」で検索すると本学のサイトの以下の説明が表示されました。

1年次演習科目「フレッシャーズゼミ」では、全教員が15名程度の新入生を受け持ち、読み・書き・プレゼンテーションするスキルを演習スタイルで教育し、学生の日本語能力を強化する。

 大学に入ると「クラス」というものが無くなってしまい、学生諸君は時間ごとに授業の行われる教室を転々とすることになります。大学で自分の居場所ができるのは研究室に配属された後となります。これが通常の大学のスタイルなのですが、入学から数年の間、居場所の無い期間は大学生にとっていろいろな意味でリスクの多い期間でもあります。

 そこで、本学ではアドバイザー制度を設けて新入生の時点からいわゆる「担任の先生」のような教員を一人一人の生徒に割り当てています。

 フレッシャーゼミはいわばその「担任の先生」が受け持つホームルームの様な授業だ、と思ってください。1年生向けのその授業時間の中で、学生諸君はグループワークを行ってポスターを作成し発表会を行った、それが今回7月17日の水曜日に実施された発表会です。

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2024.07.18

「Market DrivenとMarket Drivingは違うんだ」という話(江頭教授)

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最近、タクシーに乗ったとき、その車種がトヨタのプリウスだったので、運転手さんとトヨタの次世代自動車について話す機会がありました。この会話を通じて、大学時代の先生が40年近く前に海外の企業を訪問した際に聞いた話を思い出しました。先生はそのとき、「Market DrivenとMarket Drivingは違うんだ」と言われ、その話を私たち学生にしてくれました。この二つの概念は似ているようでありながら、実際にはビジネス戦略において大きな違いがあります。以下に、自動車産業に限定して、両者の違いについて詳しく説明します。

Market Drivenとは、市場のニーズやトレンドに基づいて戦略や製品を開発するアプローチを指します。自動車産業においては、消費者の要望や市場の変化に敏感に反応し、エコカーなど、需要に応じた製品を提供します。この方法は、顧客の声を積極的に取り入れ、競争相手と同じ土俵で戦うことを意味します。例えば、燃費の良い車や安全性能の高い車を開発することで市場のニーズに応える企業が典型的な例です。背景には、ユーザーの選択に任せるという姿勢があります。つまり、企業はユーザーが何を求めているかを重視し、それに応えることで信頼を得ようとします。

この戦略の代表的な企業がトヨタです。トヨタは、消費者の声を大切にし、ハイブリッド車のプリウスをはじめとするエコカーや、安全技術を搭載した車両を提供することで市場のニーズに応えています。トヨタのアプローチは、常に顧客中心であり、市場の変化に迅速に対応することで、信頼と高い評価を得ています。トヨタは、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池式の水素自動車、水素エンジンを利用した水素自動車など、多様な選択肢を提供することで、消費者の多様なニーズに応えています。Fig_20240717101901

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2024.07.17

改修された「講義実験棟」(江頭教授)

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 昨日の記事では先日行われた「地域連携課題」の発表会について紹介しました。その発表会が行われたのが「講義実験棟」という建物。我々応用化学科のある片柳研究棟から見ると坂の上の方にある、下の図の赤丸の建物です。

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発表会が行われたのは下の写真の右手、一番奥の部屋。実は少し前に改修工事が行われて結構きれいになっているのです。で、それはさておき写真の左側、階段をのぼった少し広めのスペースなのですが、ここの様子にご注目を。

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2024.07.16

地域連携課題」の発表会が行われました(江頭教授)

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 今週の月曜日(2024年7月15日)2024年度、第二期の「地域連携課題」の学科内発表会が行われました。

 「地域連携課題」という言葉、聞いたことがない、という方も多いと思いますが、本学の授業の名称です。本学科では3年生前期の授業。つまりクォーター制(前期を1期、2期の2つに分ける制度)で実施されるコーオプ実習の際、大学に残っている学生に向けて行われている授業です。シラバスには授業の内容は、「学生が地域の関係者と連携しながら地域・社会的な課題等に取り組む」ものとあります。

 本学部は八王子キャンパスにありますから、この場合の「地域」は具体的には八王子市のことです。八王子市の「担当者等を講師に招いて地域が抱える各種の課題を学んだ後」に、「学生が自ら主体的に地域から課題を選定」し、その解決方法を提案する、それが地域連携課題の授業内容です。この授業はグループワークを基本とし、いろいろな施設や企業を訪れて課題の解決方法を調査・分析、結果を比較検討することで効果的で具体的な提案を目指します。

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2024.07.15

今日(7月15日)は休日なのですが(江頭教授)

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「今日は何の日?」

「7月の第三月曜日なので海の日です。祝日でお休みの日です。」

はい、世間一般ではそうですね。ですが本学では今日、2024年7月15日は祝日授業開講の日です。

 さて、祝日授業開講日について説明しましょう。 別に「祝日授業」という特別の授業がある訳ではありません。祝日ですが、「授業を開講」する日、という意味です。

「祝日なのに授業が有るなんて!」もしあなたが高校生(あるいは中学生、小学生)ならそう思うかも知れませんね。

 大学の科目は原則として14回の授業と1回の期末試験とで構成されています。ですから前期・後期、それぞれ15週間で終わります。つまり、年間30週間しか授業は無い、ということです。高校まではいつも授業があって、その間に休みがある、という感じでしたが、大学では30週間の授業を一年間に割り当てる形になっていて、それ以外は休み、ということになるのです。休日の意味合いが違いますよね。

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2024.07.12

電池が付属しない時計を買いました。(江頭教授)

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 私が子供の頃には蓄電池というものは無くて……なんて嘘ですよね。今でも(ガソリン)自動車の「バッテリー」として一般的に使われている鉛蓄電池など100年以上の歴史があるので、61歳の私が生まれるよりずっと前から実用化されていたのです。にもかかわらず、私が蓄電池が新しいものだ、と感じるのは身近な電池、つまり単三電池や単四電池の代用になる電池が世の中に出てきたころのことを思い出すことができるからでしょう。

 単三や単四形の蓄電池は使い捨ての電池に比べて高価ですが、一度購入すれば再充電して利用できるのでもう新たに電池を買う必要はない。これは良い、と思った私は乾電池が切れるたびに新しい蓄電池型のものに買い換えました。ほぼ交換は終了。いまの私は自分の家の引き出しに単三や単四の充電式乾電池を常備していて、なにかの電池がなくなった場合に備えています。これで私は「使い捨て乾電池」を卒業したことに。ちょっぴり未来の生活に踏み込んだ……と思っていたのですが。

 実際には身の回りから「使い捨て乾電池」をなくすことは意外と難しい。とくに新しく電池を使う家電製品を買うと「使い捨て乾電池」が付属してきますからね。

 などと考えていたら、先日買った時計式の置き時計のパッケージをみると以下の様。

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2024.07.11

核戦争と石油危機(江頭教授)

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 先日の「人間はサステイナブルか?」という記事では、「人類はサステイナブルか?」と考える意識が広まったことが「人類をサステイナブルにするにはどうすれば良いか?」を考えるサステイナブル工学の始まりだろう、という私の考えを書きました。

 今回は、「人類がサステイナブルではなくなる」つまり、人類が滅亡してしまうかも知れないと考える理由、何が起これば人類が滅亡してもおかしくない、と考えられるのか、そのシナリオについて考えてみたいと思います。

 まず一つ目は全面核戦争。広島、長崎の原子爆弾によって核兵器の強力さは多くの人々に強く印象づけられていました。第二次世界大戦後にはアメリカとソ連の間での核兵器の開発競争が起こり、原子爆弾よりも強力な水素爆弾の実験に両国が成功します。核兵器を搭載した大量のミサイルが作られ、全面核戦争でそれらが一気に爆発すれば人類滅亡が起こりうる、という状況が出現しました。

 人間が開発したものによって人類が滅亡してもおかしくない、この状況はおそらく人類の歴史で始めての現象だと思います。それだけに多くの人に「人類滅亡」の可能性とその意味について、リアルに考える事を強いたのだと考えられます。

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2024.07.10

実験が「失敗」するということ(江頭教授)

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 実験で「○○と××を反応させて△△をつくるぞ」と目的を決めたとしましょう。その結果△△が出来なければその実験は「失敗」なのか、というのが今回のお題。皆さんはどのようにお考えでしょうか。

 単純に考えて目的を達成出来なかったのだから失敗。それ以外なにがあるの?という考えも有るかも知れませんね。

 でも、皆さんは「フレミングとペニシリン」の話をご存じでしょうか。ペニシリンは最初に発見された抗生物質で結核をはじめとして多くの病気の治療に絶大な効果を発揮した医薬品ですが、その発見は培養実験の際に青カビが容器内に混入するという「失敗」が切っ掛けなのです。青カビの周囲では最近の生育が抑えられるという現象を見逃さなかったフレミングの観察眼が、一見失敗のように思えた実験から新たな発見を導いたのですね。

 もっとも、そこまでいってしまえば世の中の森羅万象何もかもが価値があるみたいな話になってしまいます。これでは焦点がぼけすぎですね。

 さて、最初に還って実験は「失敗」なのかというお話しについて考えましょう。

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2024.07.09

人間はサステイナブルか?(江頭教授)

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 本学工学部の特徴の一つであるサステイナブル工学ですが、この「サステイナブル」という言葉にはいろいろな意味がある、その一例として今回は人間がサステイナブルかどうか、あるいは人間がサステイナブルとはどういうことかについて考えてみたいと思います。

 まず人間としての「私」を考えてみましょう。具体的に私(江頭)というのわけではなくて、個人、と言う意味です。

 「私はサステイナブルではない(私は持続不能です)」と誰かが言うのを聞いたら、まずは病院に行かせるべきでしょう。サステナブルという言葉を生物としての人間の活動として、1日、1年、数年というスパンで考えるとすれば人間はサステイナブルと言えるでしょう。

 でも、もっと長い時間、たとえば100年というスケールで考えればほとんどの人間は死んでしまうわけですから、人間はサステイナブルではない、ということになりますよね。

 こう考えると、サステイナブルという言葉は時間のスケールによって答えが変わる言葉だということが分かります。「サステイナブルな○○を目指す」と言ったとき、そのサステイナブルがどの程度の時間スケールでのサステイナブルなのか、それによって問題の分析や具体的な対策も変わってくるのです。

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2024.07.08

都知事選挙と有効数字の話(江頭教授)

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 この記事が公開されるのは2024/07/08の10:00の予定。すでに東京都の知事選挙が終了して誰が当選したかが分かっているかと思いますが、この記事を書いている時点ではまだ分かっていません。そもそも生々しい選挙の話は学科の公式ブログには不向きでしょう。ということで今から10年以上前(東京工科大学工学部応用化学科ができる前ですね)の都知事選の思い出話を。

 その当時、私は東京都の住民ではありませんでしたが、見ていた番組のレギュラーコメンテーターの人が都知事選に立候補する、というシーンに出くわしたことがあるのです。(公示前だったか後だったか。いま考えると公職選挙法的に微妙な気もします。)どんな話からそんな流れになったかは覚えていないのですが都庁の予算の使い方についての議論で

この様にしたら都の○○兆円の予算から××%の……ちょっと待ってください。

そこでやおら電卓を取り出して計算を始め

△億◎千万……□円のお金が利用できます。

と言ってみせたのです。いや、本当に最後の1円の桁までです。

 これを見て私は「この人は大きな組織の運営には向かないんだろうなあ」と思ったのですが、結果はその通りの落選でした。

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2024.07.05

「可も不可もない」成績(江頭教授)

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 高校の通知表、私の時は5段階評価でしたが、今はどうなっているのでしょうか。大学での評価は「優・良・可・不可」の4段階。最後の不可は別格なので実質的には「優・良・可」の三段階評価だったのでしょう。昔の小説などでは「甲・乙・丙・丁」という評価が出てきますが、はて丁は落第点だったのでしょうか。

 さて、本学の成績評価は「S・A・B・C・D」となっています。「A・B・C・D」は「優・良・可・不可」の言い換えとして、Sって何よ?一応「秀」ということになっていますが、秀は優より上なんでしょうか。いかにもとってつけたような名前です。おそらく、実質的には三段階、という評価では不足になったので後付けで造られたのではないかと推測します。(そのうち、SRとかSSRとか出てくるのでしょうか…。)

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2024.07.04

便利な日程調整サイト(江頭教授)

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 社会人の生活にはカレンダーが必須、つまり日程の管理が重要なのですがそこで問題になってくるのが複数人で日程を合わせるということ。二人なら簡単に決められますが、人数が増えると途端に難しくなります。全員揃うのは無理、となったとしても誰をいれて誰を外すか、などもっと難しい問題が発生することに。

 そんな時よくあるのは

それぞれの日程の都合をお知らせ下さい

○月×日 10:00~

○月×日 12:00~

○月×日 13:00~

○月△日 12:00~

○月△日 13:00~

みたいなメールを出して集計するという手法。とはいえ、これはこれで集計が面倒。間違いも起こりやすいですよね。最近はスプレッドシートで作った日程表を共有して都合を書き込んでもらう、という手順も使われる様になってきたかと思います。

 でもこのやり方って昔から在ったような。そうそう「調整さん」だ。

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2024.07.03

学長賞授賞式(江頭教授)

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 明治から戦前の日本を舞台にした小説やドラマで「あの人は金時計だ」とか「さすが帝国大学の銀時計組だ」などといった表現をみることがあります。(最近は少ないかも。)

 さて、この金時計・銀時計というのは帝国大学(今の東京大学です。昔は大学と言えばここしかありませんでした)が首席、つまり成績最上位の学生に銀時計(金時計じゃないんですね)を記念品として贈った、ということから来ています。つまり金時計・銀時計は成績優秀者の証し、という訳ですね。

 金時計や銀時計、今なら腕時計を想像するところですがこれは「懐中時計」というタイプでした。なんでそんなものを?時計は昔は高価な精密機械の代表でした。水晶振動子が大量生産されて以来、正確で安価な時計が世の中に溢れている現状では想像し難いかも知れませんが、今で考えれば「電気自動車をもらう」位の感覚だったのではないでしょうか。

 さて、金時計・銀時計は成績優秀者を讃えるための制度であり、同時に学生に首席をめざして努力することを促す仕組みでもあります。今では懐中時計を渡すところはないでしょうが、いろいろな大学が類似の表彰制度を持っていて、東京工科大学にも同様な制度があります。

 それが学長賞です。

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2024.07.02

AppleWatchはどうやって移動距離を測定しているのだろう(江頭教授)

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 最近、定期的な運動で体重を減らしたという話、昨日の記事でも触れたのですが、その「定期的な運動」の際に気が付いたことについて今回は書かせてもらいましょう。

 「定期的な運動」の具体的な内容は毎朝早朝、2km程度のジョギングで15~20分程度のもの。ちなみに朝のジョギング自体は以前から断続的に行っていたのですが、距離を短くして短時間で済ませるようにしたら長続きするようになりました。

 長続きのため、もう一つの工夫したのがジョギングの際の持ち物。以前はポータブルのカセットテープレコーダー(いや、プレイヤーか)などを持って走っていたのですが、その準備がいつの間にか億劫になってしまうのですよね。ICの音楽プレーヤーやiPhoneなど、いろいろ変遷したのですが今では腕時計型の端末、AppleWatch一択になっています。

 こうなった理由は大きく三つ。時間が短いので別に音楽などを聞いて時間を潰す必要がないのが一つ。もう一つはジョギングに出る際にわざわざ準備する必要がないという手軽さ。そして三つ目がランニングの記録を取ってくれるという便利な機能です。

 とまあ、ここまではAppleの回し者のような態度なのですが、(いや、違いますよ)実は少し疑問に思う点もあるのです。

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2024.07.01

トイレットペーパーの使用量(江頭教授)

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 ご覧の通り、今回の記事はトイレとトイレットペーパーに関するお話。センシティブに感じる人がいるかも知れませんから、一応警告を。食事をしながら読んだりしないでね、ということで。

 さて、こちらの記事で最近ダイエットに成功して体重が減りました、などという話を紹介しています。主な方法は食事の制限と定期的な運動、という当たり前すぎるくらい当たり前のやり方なのです。最初は食事制限から始めたのですが10kgくらい痩せたところで限界が。その後運動をプラスしてさらに10kg痩せた、といったところでしょうか。

 さて、この食事の制限の影響なのでしょうか。体質が変わって、昔は慢性的な下痢症だったものが最近はやや便秘気味に変化してきました。「つまらない」病気になりがちだったのですが「くだらない」症状が普通になりつつあります。さて、その便秘気味な体質のおかげでしょうか。最近トイレにいってもトイレットペーパーをそれほど使わなくても良くなったのです。

 自分がそうなると今度は人のトイレットペーパー事情が気になってきました。いや、別に人がトイレットペーパーを使っているところをのぞき見ている訳ではない(犯罪ですからね)のですが、時々音が聞こえてしまうんですよね。駅や映画館などの大用の個室に入ると、となりの部屋から親の敵と戦っているのかと思うくらい、景気よく延々とペーパーの芯が回転する音が……。

 気になりすぎてネットで情報を探すと、意外なことに「トイレットペーパーの使用量」の調査結果を見つけることが出来ました。それが以下のグラフ。出典は「一般社団法人 日本トイレ協会」のWEBサイトのこちらの記事(※)です。Tp04

※出典 日本トイレ協会WEBサイト 「トイレットペーパー、緊急時に備えて必要な分を必要な分だけ、計画的に備蓄しましょう」2024/07/01閲覧

 

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