ハンディファンは昭和にもあった、という話(江頭教授)
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先週末か今週にはいってからか、最近になって急に涼しくなって夏の気分も薄れてきました。いや、もう9月も後半というか末になってきたのでそれが正常な気候のですが、いままでの暑さのせいでまだ夏の気分が残っている様な気もするここ最近ですよね。
さて、今回の記事も夏の間、というかついこないだまでの暑いさなかに考えていたことです。最近、小型で手持ちのハンディファンをもっている人が目立つなあ、などと。
いままでの扇子や団扇の代用でしょうか。でも電池(蓄電池)の電力でモーターを回してくれるのは良いですよね。これなら、団扇の様に扇ぎすぎでかえって体が火照る、なんてことはないでしょうからね。これは仲々の発明だと言えるでしょう。
でもちょっと待ってください。電池でモーターを回す携帯扇風機なんて機械的にはごくごく汎用の部品だけで作れそうです。こんなものが21世紀まで誰も思いつかなかった、などということがあり得るのでしょうか?
実はこの問の答えは「そんな事はない。普通に思いついた人はいた」です。私が子供の頃に、正に「電池でモーターを回す携帯扇風機」が売られているのを見たことがあるのです。
でもこれ、電気屋さんではなくてプラモデルとしておもちゃ屋で売られていたのですよね。つまり電気製品ではなくおもちゃ扱いだった、稼働はするが実用には遠いという位置づけだったのです。
プラモデルとして買った子供が作ってみて「わー,本当に動く」「風が涼しい!」などと暫し夢中にはなるでしょうが、一夏とか数年とか使い続けるものではないと見なされていた。これはおそらく「電池」のせいだと思います。
私の子供の頃には乾電池型の蓄電池というものは無いか、少なくとも一般的ではありませんでした。ですからこの昭和の「ハンディファン」は電池が切れると新しい電池を買ってきて交換しなければならなかったのです。昔の乾電池は決して安価なものではありませんでした。それに当時の電池とモーターの性能では「ハンディファン」はそんなに長く動くことはなかったでしょう。つまり玩具としてならともかく、家電製品としては運用コストが高すぎて普及しなかったのだと考えられます。
そう考えると最近のハンディファンのブームは蓄電池の技術の向上、そしてモーターの効率の向上というイノベーションの反映なのだ、と言えるでしょう。ならば応用化学の発展は「ハンディファンブームの原動力」と言え……ば少々大袈裟でしょうか。
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