最近、夏が暑くなったと思いませんか?(江頭教授)
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最近、夏が暑くなったと思いませんか?
などと、教員の間で、というか或る程度年齢の行っている人相手に話をすると「ですよねー」という反応が帰ってきます。温暖化の影響は今や誰の目にも明か、ということだなあ、などと思い込んでいたんですよね。
でも、同じ質問を授業を受けている学生諸君に聞いてみてびっくり。確かに「暑くなった」と実感しているという人もいるのですが、そうでもない派の学生さんもそれなりに居る。というか正直なところ半々くらいだったのです。
ついつい慌てて昔話を。
いや、僕は今62歳だけど、僕が子供だった頃、そう、50年くらい前は夏休みに「今日は30℃を超えます」という天気予報がテレビで流れると「ああっ、今日は暑いんだなあ」と思ったものだよ。いまだと夏休みはほとんど30℃以上でしょう。
そうなんですよね。例えば今でも「最高気温が25℃を超えると夏日、30℃を超えると真夏日」と言っていますが、夏の30℃超えなんて当たり前では。なんでわざわざ真夏日なんて呼ぶのか。35℃を超える猛暑日くらいでないと特別感が無いのでは……。昔は30℃超えでも特別な日、という意識だったんですけどね。
とはいえ、今の学生さんは20歳程度。天気や気温を意識するは或る程度成長してからでしょうから10年と少しの観察期間だとあまり差が感じられないのかも知れません。
さて、上のグラフは八王子の気象台のデータから今年(2024年)と去年(2023年)の猛暑日の日数をまとめたものです。この5年平均(図中の点線)と比べると,少なくとも今年と去年は実際にかなり暑い時期だったことが分かりますね。
もちろん、気温は年によって変動が激しいデータです。ここ2年のデータだけで「温暖化が進んでいる」などと結論づけることはできません。体感としては2023年には「今年の夏は暑いなあ」そして2024年には「今年の夏もだ」くらいだったのかも。変化を語るには時間の長さが不足ですかね。
私も「温暖化の影響は今や誰の目にも明か」などと思い込まず、きちんとデータを示して授業を進めるべきだということでしょう。
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