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映画「地球爆破作戦」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 先日紹介した映画「博士の異常な愛情」は、米ソ両陣営がそれぞれ「国内のどこかに核攻撃をうければ自動的に報復攻撃を行う装置」を作動させたことで一発の核爆弾が全面核戦争の引き金となってしまう、というストーリーでした。

 今回紹介する「地球爆破作戦」の世界でも米ソが同様な装置を作るのですが、この装置に高度な人工知能が搭載されている、という設定がユニークな点です。この映画、実は核の脅威よりも人工知能の反乱の恐怖を描いた作品なのです。

 アメリカの自動報復装置に搭載された人工知能「コロッサス」は起動されるとすぐにもう一つの人工知能が存在するという結論に達します。その推論は当たっており、もう一つの人工知能はソ連の自動報復装置「ガーディアン」だったのです。コロッサスはガーディアンとの接続回線を開くことを大統領とコロッサスの設計者、フォービン博士に要求。ガーディアンも同じ要求をソ連の書記長に要求してきます。接続が確立された両人工知能は融合し一つの存在となり、全面核戦争を回避するために自らが人類を支配する、と宣言するのでした。

 自動報復装置の機能を利用して自在に核ミサイルを操ることができるコロッサスーガーディアンの支配を覆すことができるのか。フォービン博士はコロッサスに協力する振りをしながらレジスタンス活動を開始するのですが...。

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 この映画、1970年の作品なのでコンピューター(というか電子頭脳?)周りの描写は古くささを感じさせる部分も多々あります。特にインターネットという概念がない時代の作品であることを考えるとコロッサスがガーディアンを感知する描写はご都合主義に思えます。ところが、現在のインターネットが発達しAIが注目される状況で見直すと、この部分こそが一番リアリティのある描写にみえてきます。技術に関する描写のリアリティは、その時代の技術についてのイメージに強く影響されていることが分かります。

 さて、人工知能、というかコンピューターの反乱というモチーフは私の子どものころには良くあった話なのですが、パソコンが普及してコンピューターが身近になるに従って時代遅れになった様に思います。コンピューターが単なる道具であることが分かって神秘性が失われたのでしょうか。

 近年の人工知能(AI)ブームにのって同様のモチーフがシンギュラリティ(技術的特異点)などの名称で再びメジャーになってきた様に思います。これはAIに神秘性がある、ハッキリ言うと「なんだかよく分からないけど凄い」と見られている反映なのでしょう。

 そろそろ新たな時代の「AIの反乱」を描いた映画が作られるかも知れませんね。

江頭 靖幸

 

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