大気中の二酸化炭素濃度が400ppmを切ったのはいつか やり直し編(江頭教授)
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今回の記事は、前回の記事と同じタイトルです。「大気中の二酸化炭素濃度が400ppmを切ったのはいつか」と題して今(産業革命以降の200~300年)は大気中の二酸化炭素濃度が上昇中だが、それ以前は減少していた期間もあったという話について書いたのですが、横道にそれて昔(30億年くらい前)に比べて二酸化炭素が光合成をする植物の登場によって次第に濃度を下げていった時期と、現在の二酸化炭素濃度の上昇について変化速度の比較する話になってしまいました。(今の増加速度が桁違いに早い!)
で、結局タイトルの「大気中の二酸化炭素濃度が400ppmを切ったのはいつか」には答えていないなあ、ということで今回は「やり直し編」という訳です。
さて、数十億年というスケールよりもう少し短い期間では、大気中の二酸化炭素濃度はどのように変化したのでしょうか。こちらの記事がよくまとまっていると思います。曰く、
現在の大気CO2濃度(約420ppm)を過去の時代に照らし合わせた結果、大気CO2濃度が現在のレベルに達したのは、現在よりも4~5℃温暖であったとされる1,400万年前
とのこと。
新生代(過去6,500万年間)の全球平均気温と大気中の二酸化炭素濃度の変化。
北海道大学のプレスリリース「過去6,500万年間の大気CO2記録を更新~未来の気候に対する過去からの警鐘~(低温科学研究所 准教授 関 宰)」より。
これは1400万年かけて下がってきた二酸化炭素濃度がたったの数百年でもどってきた、ということ。二酸化炭素の上昇速度は1万~10万倍早い。これはどう考えても異常な事態ですね。
以下のグラフはIPCCの第4次報告書からのもので、今度は一万年程度の短い期間(!)二酸化炭素濃度の変化です。2007年と、やや古いデータで、その証拠に最新の二酸化炭素濃度が 400 ppm に届いて居ません。とはいえ、ここ200~300年の大気中の二酸化炭素の増加が如何に急激であるのかをよく表していると思います。
出典)温室効果ガスインベントリオフィス/
全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(https://www.jccca.org/)より
この異常事態を説明できるのは「人間の関与」以外無いだろう。私にはごく自然に納得できるロジック。実は、このグラフは私が「気候変動」問題を「信じる」切っ掛けになったデータの一つなのです。
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