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AIに課題をやってもらった。その1 ChatGPT編(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 本学応用化学科の1年生諸君を対象とした授業「サステイナブル化学概論」では応用化学科の各教員が自分の専門について語ります。私は化学工学について紹介し、その後に以下の様な課題をだしています。

N2とH2からNH3を合成するプロセス、ハーバー・ボッシュ法が実用化された経緯(歴史)について調べて簡単にまとめたのち(注) 、ハーバーと ボッシュ、どちらの業績を評価するか(どちらが偉いか)、君自身の考えを述べよ。

注:引用元を明示すること。引用した内容と自分が考えた内容が区別できるように書くこと。

さて、化学工学は「大量生産のための化学プラント設計学」という位置づけですからボッシュの業績は正に化学工学的な仕事です。「学生諸君は化学工学にどのくらい興味を持ってくれているのだろう?」などと考えながら採点をしています。(結果は例えば、こちらの記事にまとめています。)

 この問題、最近はやりのAIならどう答えるだろう。そう思ってChatGPTに問い合わせてみた、というのがこちらの記事。フリッツ・ハーバーならぬ「フレデリック・ハーバー」という人物が登場するオモシロ回答だったのですが、これが2023.02.20の記事なので1年半と少し前といったところでした。ところがほんの三日後の2023.02.23の記事では結構まともなレポートを書くように。「AI恐るべし」と思ったものです。

 さて、今回の記事はその後、ChatGPTはどうなったか、というお話。同じ質問を最新のChatGPTであるGPT-4oにぶつけてみた、というものです。

 まず質問はこんな感じに。

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 そして回答はこちら。

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いやいや、これは立派なレポートになっています。しかも「どっちも偉い」とばかりに優柔不断さを示していた以前のChat-GPTと見違えるように「ボッシュが偉い」と自己主張をするように。

 これを見てしまうと以前のChat-GPTはオモチャのように見えてしまいますね。

 

江頭 靖幸

 

おまけ

 以下にChatGPTの出力を載せて置きましょう。

 

ハーバー・ボッシュ法の歴史的背景と実用化の経緯

1. ハーバー・ボッシュ法の概要

ハーバー・ボッシュ法は、窒素(N₂)と水素(H₂)を高温高圧下で反応させてアンモニア(NH₃)を合成するプロセスです。この技術は、化学肥料の製造や爆薬の原料となるため、農業革命や軍需産業に大きく貢献しました。

2. 開発の経緯

  • フリッツ・ハーバーの貢献(1904–1909)
    フリッツ・ハーバーは窒素固定のための理論的研究を行い、窒素と水素からアンモニアを合成できることを実験室レベルで示しました。彼の業績は、反応条件として400–500°C、150–200気圧、および触媒(鉄系触媒)の重要性を明らかにしたことです。この基礎研究が、後のプロセス実用化の出発点となりました。

  • カール・ボッシュの貢献(1910–1913)
    ボッシュは、ハーバーの研究を元に、大規模な工業プロセスとしての実用化を実現しました。特に、以下の技術課題を解決しました:

    • 高圧耐性を持つ装置の開発(耐圧容器や配管技術の改良)。
    • 高性能触媒の大量生産技術の確立。
    • 工場規模での熱管理と反応効率の最適化。

ボッシュの開発は、BASFの協力のもとで行われ、1913年にドイツのルートヴィヒスハーフェンに最初のアンモニア合成工場が完成しました。

3. 歴史的意義

  • 第一次世界大戦への影響
    この技術は、農業生産を支える肥料供給だけでなく、爆薬(TNTなど)の生産にも重要でした。そのため、ドイツは天然硝石に依存することなく、戦争を長期間遂行できる体制を整えることができました。

  • 緑の革命への貢献
    第二次世界大戦後、ハーバー・ボッシュ法により供給された肥料が世界の農業生産性向上に寄与しました。この技術は、急増する世界人口の食料供給に不可欠な役割を果たしました。


ハーバーとボッシュ、どちらが偉いか

引用元の情報

  1. ハーバーの業績は主に基礎科学としての化学反応の発見に重点を置いています。【参考文献:科学史レビュー (著者A, 2020年)】
  2. ボッシュの業績は、技術的課題を克服し、理論を工業プロセスに拡張した点にあります。【参考文献:化学工業の発展 (著者B, 2018年)】

私の考え

ハーバーとボッシュの業績は両者とも偉大ですが、私はボッシュの貢献をより高く評価します。その理由は以下の通りです:

  1. 理論から実用への橋渡し
    ハーバーの研究は重要ですが、工業化のためには多数の技術的課題が残っていました。これを解決したのがボッシュであり、彼がいなければこのプロセスは広く普及しなかったでしょう。
  2. 大規模生産技術の構築
    工業化によって、ハーバーの研究成果を世界中で利用可能にしました。その影響力は、農業や産業の進展において計り知れないものがあります。

結論
ハーバーの発見がなければプロセス自体は存在しなかったかもしれませんが、ボッシュの実用化によって人類に広く恩恵を与えることができた点を重視し、ボッシュの業績をより高く評価します。

【参考文献】

  1. 科学史レビュー (著者A, 2020年)
  2. 化学工業の発展 (著者B, 2018年)
  3. ハーバー・ボッシュ法の歴史と意義 (ウェブサイトURL, 2023年)

 

江頭 靖幸

 

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