「年を取ると時間が早く進むと感じる」という法則(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
先日のこちらの記事でも愚痴っ触れたのですが「年を取ると時間が早く進むと感じる」という現象は還暦を超えた私には切実な実感を伴って日々、明々白々な事実として心に刻まれているのですが、はて、私がこの現象に気が付いたのはいつ頃だったのでしょう。このブログを読んでいるあなたが高校生だったとして、はたして、あなたは今「年を取ると時間が早く進むと感じ」ているのでしょうか?
私が高校生のころ、どのように感じていたか記憶が定かではないのですが大学院生になったころにはそう感じていたことは確かだと思います。何故なら「年を取ると時間が早く進むと感じる」という法則について、大学の研究室で議論した記憶があるのですよね。
そのとき話題になったのはもう少し具体的な話で「年を取ると時間が早く進むと感じる」なぜなら「人間が体感する時間は絶対的な時間ではなく、それまで生きてきた人生の全時間(つまり年齢)に対する割合で決まる」からだ、というのです。つまり「60歳の人が感じる1年は20歳の人が感じる1年の1/3、つまり4ヶ月くらいでしかない」という訳です。あるいは「18歳の高校3年生が感じる1年は6歳の小学1年生の1年の1年の1/3でしかない」となります。高校生の皆さんでも小学1年生の頃を思い出すと一年が凄く長かったのでは?
さて、この法則を議論していたときの私の論点は「もしそうだとして新生児、つまり0歳児の時間感覚はどうなるのか?」でした。
「人生の全時間といっても新生児では0時間なのだから、どんなに短い期間も無限の時間に感じられるはず。ならば新生児は進まない時間に閉じ込められていて活動を開始して知性を持つに至ることなどできない……」などと言っていたような。まあ、詭弁も良いところでして、こんな議論をして時間を潰していられるくらいゆったりとした人生を楽しんでいたなら、そりゃあ一年も長いだろうよ、などと今の私は思ったりします。
さて、今回、この「年を取ると時間が早く進むと感じる」という法則について少し調べたのですが、じつはこの法則には「ジャネの法則」という名前がついていて、Wikepediaにも記事が載るぐらい有名な様です。
「生涯のある時期における時間の心理的長さは年齢に反比例する」とまとめられていますが、はて、この「反比例」というのは数学的な意味(「逆数に比例する」という意味)なのか日常的な用法(「片方が増えると片方が減る」という意味)なのか。20代の大学院生だった私の論難は前者の意味にとっているのですが、今の私からみるとどう見ても後者の意味ですね。