「45°の線に乗る」という表現(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
ここのところ、主に実験の現場でグラフ用紙に手書きでプロットすることのメリットについて説明してきた(こちらとか、こちらとか)のですが、今回の話はメリットと言えるかどうか。表題のとおり「45°の線に乗る」という表現についてです。
私のように普通にグラフ用紙をつかっていた(何故かって?昔はPCとか無かったのですよ!)世代は普通に
だから、○○の実測値を横軸、縦軸を計算値でプロットしたとき「45°の線に乗る」かどうかでしょ!
というような物言いをしがちです。はてこれは今の人に通じるのでしょうか。
「45℃の線」ってなんですか?
なんて返されても文句は言えない。Googleで検索しても「45℃の線」はでてこないと思います。(「45°」じゃなくて「45℃」ならなおさら。)
さてこの表現は、一つの物理量の予測値と実測値のように、本来等しくなると期待されるもの、が本当に等しくなっているか、を確認するような場合、両者を縦軸Xと横軸Yにプロットしたグラフで
Y=X
の関係が成立しているかを確認するという作業についてです。グラフ上のY=Xを表す直線を指して「45°の線」と呼んでいるのですが、この呼び名は縦軸Xと横軸Yが同じスケールになる場合にだけ当てはまるものですね。
グラフを書くために「グラフ用紙」を使っていたころは、一般的な市販のグラフ用紙は縦方向も横方向も同じ間隔の目盛りが入っているので、Y=Xを表す直線の傾きは45°、つまり「45°の線」になるわけですね。
さて、時代が下ってパソコンをつかってグラフを書くことが一般的になりました。よく使われる表計算ソフト(「Excel」「Lotus 1-2-3」とか)では、グラフの縦軸と横軸は独立にスケーリングされてしまいます。
こうなるとY=Xを表す直線の傾きは45°とは限りません。
一般的にはグラフの縦軸と横軸が同じ物理量とは限らないのでこの動作は正しいのですが、上記のように縦軸と横軸を同じ物理量にした場合には同じスケールにして欲しいところです。グラフの縦軸と横軸を同じスケールにする、具体的には縦軸の1目盛りと横軸の1目盛りが図上で同じ長さになるように設定する、という設定項目があれば良いのですが普通はマウスでいじってなんとなく同じくらいのサイズにすることで妥協しています。
だから、○○の実測値を横軸、縦軸を計算値でプロットしたとき「なんとなく45°の線に乗る」かどうかでしょ!
と言うべきなのでしょうか。うーむ。
「解説」カテゴリの記事
- 災害発生時の通信手段について(片桐教授)(2019.03.15)
- 湿度3%の世界(江頭教授)(2019.03.08)
- 歯ブラシ以前の歯磨き(江頭教授)(2019.03.01)
- 環境科学の憂鬱(江頭教授)(2019.02.26)
- 購買力平価のはなし(江頭教授)(2019.02.19)