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2025年2月

2025.02.28

電気ポットはどのくらいのスピードで暖まるのか?への補足説明 その2(江頭教授)

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 新しく購入した電気ポット。その取説に書いてあったデータから温度変化を計算する、というテーマでいくつか記事を書いてきたのですが、今回もその続きです。

 前回は「電気ポットはどのくらいのスピードで暖まるのか?」という以前の記事に対する補足説明として、電気ポットから熱が逃げる効果を考慮した場合と無視した場合の違いについて検討しました。結果、熱が逃げる効果の影響はそれほど大きくない(時間にして5%ほど)という結果を得ました。これは電気ポットという製品の役割上、加熱速度は大きく、熱の逃げる速度は小さくなるように設計されていることを考えれば、まあ妥当ですよね。(理想の電気ポットなら熱が逃げないはずです。その場合は影響0%となるはずですからね。)

 さて、その前回の記事の締めは以下の様でした。

ということで「電気ポット(3L、700W)でお湯を沸かすのに何分かかるか」の内容は大体問題なしです。と、言いたいところなのですがこの記事には実は別のところに問題があるのです。それは、次回にまたご説明しましょう。

なので、今回はその別の問題について説明しましょう。

 熱が逃げる効果を計算するかしないかで変わる数値として、実は電気ポットの(見かけの)熱容量があります。

 まず、電気ポット(3L、700W)でお湯を沸かすのに何分かかるか」の中では電気ポットに入れる水(私が購入した電気ポットは 3.0 L サイズでした)とその他の部分の(見かけの)熱容量を分けて評価し、水を除いた電気ポット本体の(見かけの熱容量)を

「ポットの(見かけの)熱容量」は 3.0 L の水の 10/23 倍。つまり水 1.3 L 分に相当するでしょう。

と見積もっています。

 一方で熱が逃げる効果を考慮した上で評価した「電気ポットはどのくらいのスピードで暖まるのか?」の記事では水と電気ポット本体を含めて

Fig1_20250225211201

ともとめています。

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2025.02.27

電気ポットはどのくらいのスピードで暖まるのか?への補足説明 その1(江頭教授)

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 前回の記事「電気ポットはどのくらいのスピードで暖まるのか?」では電気ポットでヒーター(私が購入したものは 700 W でした)がオンになったとき、どのくらいのスピードで温度が上昇するかを定式化しました。今回はこの記事に関する補足説明。何を補足するかというと、それ以前の記事「電気ポット(3L、700W)でお湯を沸かすのに何分かかるか」との違いについてです。

  はじめの記事での計算ではポットに入った水にヒーターに加えられた電力が伝わる、という点だけに注目して計算していました。それで得られた時間の計算値は21分。でもそれは現実的ではない。水だけでなくポットも温まるのだから、ポットを加熱する熱も必要なはず。実際、取扱説明書を見ると加熱に必要な時間は33分とありました。記事では時間が長くなっているのはポットを加熱するための熱を供給するための時間が加わるからだ、として結論をまとめていました。

 さて、この説明は前回の記事の内容とは少し異なっています。ポットを加熱する際、ヒーターのスイッチが入った瞬間ならヒーターに加えられた電力が水とポット本体に伝わることだけを考えればよいでしょう。でも水の温度が上がってゆくと外部に向かって熱が逃げるようになる。その効果も計算に入れなければなりません。幸い、電気ポットのお湯が冷却する時間のデータが取り扱い説明書に記載されていたので、熱が逃げる速度も見積もることができます(こちらの記事、とその補足1補足2)。前回の記事での計算はこの「熱が逃げる効果」を加味したものです。

 では、「熱が逃げる効果」は実際どのくらいの影響を与えているのでしょうか。それを示したのが以下のグラフです。

Fig1_20250227070401

 

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2025.02.26

電気ポットはどのくらいのスピードで暖まるのか?

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 ここ最近続けている電気ポットに関する記事、まだまだ続きます!

 ということで、今回のタイトルは……えっ、前回と同じって?いえいえ、よく見てください。前回までは冷える話だったのですが、今回は暖まる話になっていますよ。

 前回までで電気ポットの冷える速度を定式化し

Fig1_20250224081601

という式を導きました。この式ではT は電気ポットの(中の水の)温度、 Tr は周囲の温度(室温。ここでは 23 ℃ )、 T0 は冷却が始まる時の温度(この時、ポット内の水は沸騰しているので 100 ℃ です)。C は電気ポットと水の(見かけの)熱容量、小文字の t は時間です。そしてh は伝熱係数です。電気ポットの取説に書いてあったポットのお湯が沸騰してから90℃、70℃に冷える時間を対数グラフにして h/C = 3.02 × 10-3  min-1という数値を得ています。(おっと、SIに準拠すれば h/C = 5.03 × 10-5 s-1ですね。)

 さて、取扱説明書にはもう一つのデータとしてお湯を温めるのにかかる時間も書いてありました。室温から沸騰まで33分とのこと。今度は個のデータを使って電気ポットの性質について調べてみましょう。

 まず、電気ポットが冷えるときの定式化を振り返ってみましょう(こちらの記事)。電気ポットから逃げる熱だけを考えると以下の式が成り立ちます。

Fig1_20250224080801

これに電気による加熱の効果を加えてみましょう。ポットに内蔵されているヒーターの出力をQe (単位は W )とすると

Fig1_20250225200801

となります。まずは微分方程式を解きましょう。先に加熱が無い場合の解を得ていますから、Qe を含むこの式を満たす解を一つ(これを特解といいます)見つければよいですね。特解をT†とし、定数と仮定すると左辺の微分は0となり

Fig1_20250225202501

から

Fig1_20250225202502

となります。

 初期の温度が周囲と同じ  Tr からスタートして加熱される際の温度変化を求めると

Fig1_20250225203701

となります。

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電気ポットはどのくらいのスピードで暖まるのか?

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 ここ最近続けている電気ポットに関する記事、まだまだ続きます!

 ということで、今回のタイトルは……えっ、前回と同じって?いえいえ、よく見てください。前回までは冷える話だったのですが、今回は暖まる話になっていますよ。

 前回までで電気ポットの冷える速度を定式化し

Fig1_20250224081601

という式を導きました。この式ではT は電気ポットの(中の水の)温度、 Tr は周囲の温度(室温。ここでは 23 ℃ )、 T0 は冷却が始まる時の温度(この時、ポット内の水は沸騰しているので 100 ℃ です)。C は電気ポットと水の(見かけの)熱容量、小文字の t は時間です。そしてh は伝熱係数です。電気ポットの取説に書いてあったポットのお湯が沸騰してから90℃、70℃に冷える時間を対数グラフにして h/C = 3.02 × 10-3  min-1という数値を得ています。(おっと、SIに準拠すれば h/C = 5.03 × 10-5 s-1ですね。)

 さて、取扱説明書にはもう一つのデータとしてお湯を温めるのにかかる時間も書いてありました。室温から沸騰まで33分とのこと。今度は個のデータを使って電気ポットの性質について調べてみましょう。

 まず、電気ポットが冷えるときの定式化を振り返ってみましょう(こちらの記事)。電気ポットから逃げる熱だけを考えると以下の式が成り立ちます。

Fig1_20250224080801

これに電気による加熱の効果を加えてみましょう。ポットに内蔵されているヒーターの出力をQe (単位は W )とすると

Fig1_20250225200801

となります。まずは微分方程式を解きましょう。先に加熱が無い場合の解を得ていますから、Qe を含むこの式を満たす解を一つ(これを特解といいます)見つければよいですね。特解をT†とし、定数と仮定すると左辺の微分は0となり

Fig1_20250225202501

から

Fig1_20250225202502

となります。

 初期の温度が周囲と同じ  Tr からスタートして加熱される際の温度変化を求めると

Fig1_20250225203701

となります。

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2025.02.25

電気ポットはどのくらいのスピードで冷えるのか?への追加説明(その2)(江頭教授)

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 前回の記事では以前に書いた「電気ポットはどのくらいのスピードで冷えるのか?」という記事への追加説明として

「お湯の温度ー室温」と「経過時間」の間には指数関数の関係があると期待できます。

という説明を追加させてもらいました。で、今回は件の記事でこの直後に書いた

指数関数の関係を確認するためには縦軸を対数軸とした片対数プロットをとって、直線になるかを確認すればよい。

という内容についての追加説明です。

 さて、前回の追加説明では電気ポットから逃げる熱がポットと周囲の温度との差に比例すると仮定して電気ポットから逃げる熱と電気ポットの温度変化の関係から

Fig1_20250224081601

という関係を導きました。この式で T は電気ポットの(中の水の)温度、 Tr は周囲の温度(室温。ここでは 23 ℃ )、 T0 は冷却が始まる時の温度(この時、ポット内の水は沸騰しているので 100 ℃ です)。 C は電気ポットと水の(見かけの)熱容量、小文字の t は時間です。 そして h は伝熱係数。さきに「電気ポットから逃げる熱がポットと周囲の温度との差に比例すると仮定」したのですが、その比例定数となります。

 さて、この式をグラフ化するとどうなるでしょうか。 t = 0 で T0 - Tr = 100 - 23 = 77 となり、右肩下がりで徐々に0に近づく曲線になります。実際のデータ(この場合は電気ポットの取扱説明書にある数値)に基づいてこのグラフを書き、その「右肩下がり」の下がり具合から h/c の値を決めることができる。というのが先の記事の趣旨なのですが、簡単に「下がり具合から h/c の値を決める」と言っても昔、つまり MS-Excel の様な表計算ソフトが、というかコンピューターが利用出来なかった時代には、そのままでは簡単に具体的な数値を決めることはできませんでした。

 そこで利用されていたのが対数軸をもったグラフ用紙です。このケースの場合は縦軸が対数になったグラフ用紙を利用していました。先の記事のグラフは「対数グラフ用紙」こそ用いていませんが、その考え方に沿って縦軸を対数軸にしたものです。(以下に再録します)

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2025.02.24

電気ポットはどのくらいのスピードで冷えるのか?への追加説明(その1)(江頭教授)

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 電気ポットを新しくしたら、その取扱説明書に加熱時間や冷却時間のデータが乗っていたので色々計算してみた、という話を以前に書きました。(こちらこちら、そしてこちらも。)同シリーズ(?)の最後の記事は「電気ポットはどのくらいのスピードで冷えるのか?」だったのですが、この中で説明を省いたところがいろいろとあったので、今回はその説明を追加しよう、という回です。

 さて、件の記事のメインの内容は取説に載っている電気ポットのお湯が沸騰した時から90°、70°に冷えるまでの時間についてのでデータを用いて電気ポットからどれくらいの熱が逃げるかを計算してみよう、というお話しでした。まずはこの辺をもう少し詳しく説明しましょう。

 まず「電気ポットからどれくらいの熱が逃げるか」という問いかけには問題があります。これ、電気ポットの温度(正確には電気ポット内の水の温度)が何度かによって答えが変わるのです。水が沸騰していれば熱が逃げるというイメージですが、例えば電気ポットの温度が室温だった場合(取扱説明書の表では 23 ℃ とのこと)には熱は全く逃げません。逆に電気ポットに氷をいれて冷やしたら外から熱が入ってくるはずですよね。

 要するに、電気ポットから逃げる熱というのは電気ポットの温度と周囲の温度との温度差によって変化するのですが、このような場合、まずは単純に温度差に比例すると考えます。その比例係数を伝熱係数と呼びます。熱の逃げる速度は W の単位で表されますから、伝熱係数の単位は W/℃ あるいは W/K となります。熱の逃げる速度を Q 、伝熱係数を h 、電気ポットの(中の水の)温度を T 、室温を Tr とすると

Fig1_20250224075701

となります。

 もちろん、この式だけでは取扱説明書のデータとの比較はできません。電気ポットの温度との関係を明らかにするためには熱の逃げる速度をもう一つ別の視点で定式化する必要があります。

 

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2025.02.21

研究室のカードロックが新しくなりました(江頭教授)

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 このブログを読んでいるあなたがもし高校生なら、あなたの教室には鍵がかかっていないのが普通ではないでしょうか?(最近は違うのかな?)でも、大学の研究室には鍵がかかっているのが普通です。特に化学系の研究室は薬品などが置いてあるので、関係者以外は基本的に出入り禁止なのです。

 では、関係者はどうやって出入りすれば良いのか。昔だったら一人一人が鍵を持つところですが、最近はカードキーを使うのが一般的でしょう。本学の研究室の扉にもカードキーのロックシステムが付いていて、学生さんなら学生証が、私達教職員なら職員証がカードキーとして利用可能です。

 さて、いままで使っていたカードロックのシステム、とくに不満があったという訳ではないのですが、古くなって保証期間も過ぎるとかで新しいシステムに更新されることになりました。新しいシステムには今までのカードを使った開閉機能に加えて、暗証番号を利用した開閉も追加されているのだとか。昼間はともかく、夜にカードキーを忘れたことに気が付いて困ってしまう、ということが(希ではありますが)無かったわけではないので、これも一つの進歩かなあ、というのが私の印象。

 で、先日工事があり、新しいシステムに変更されました。

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2025.02.20

インフルエンザの季節、は過ぎたようです(江頭教授)

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 2020年のコロナ禍で皆が三密を避け、マスク・手洗いを励行した結果、インフルエンザは消えてなくなったように思われた時期がありました。信じられない?いえ、確かにあったのです。でもコロナ禍の終息と入れ違いにインフルエンザは見事に復活。このブログでも何回かインフルエンザの流行について触れました。

 たとえば2023年11月16日のこちらの記事。ほとんど消滅したインフルエンザが2022年から2023年にかけての冬で復活した、それはそれで良いとして(良くない!)その次の冬(2023年から2024年にかけての冬)には異常に早く流行が始まった、いや2023年の冬というより2023年の秋くらいから流行しはじめたのです。この記事を書いたときは2023年の冬の始まり(11月16日ですからね)だったので、その後の展開について

このデータを一体どう見るのか。「今年の末から来年の初めにかけて空前のインフルエンザの大流行が起こる」とするとこれはとんでもないことです。とはいえ「この冬のインフルエンザの流行は10週間ほど前倒しだ」という見方もあるでしょう。

と書いておきました。で、実現したのは後者の方。2023年から2024年にかけてのインフルエンザの流行は前倒しになっただけで大流行とはなりませんでした。

 ところが!2024年から今年(2025年)にかけての冬には別の異変が。まずは恒例の国立感染症研究所の「インフルエンザ過去10年間との比較グラフ(第5週 2/17更新)」を見てください。

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2025.02.19

推薦図書「快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本」(江頭教授)

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 本日の推薦図書は

柳沢 正史 監修「快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本」朝日新聞出版 (2024/8/20)

です。私は電子書籍版で読みました。

 監修者の柳沢 正史氏については

筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長・教授。

とあります。最近は睡眠についての話題でTV番組などでコメントしているところを見かける先生なので知っている人も多いかも知れませんね。

 さて、この柳沢教授が「監修者」で「著者」ではない、というのがこの本の一つの特徴でしょう。表紙に「ビジュアル版」とある様に、普通の本のように文章を中心とした構成ではありません。睡眠に関するいろいろなトピックスについて見開き2ページで簡潔に要点を解説する。なんというか、学習参考書の様なスタイルの本なのです。

 いろいろな内容を同じサイズにまとめるとなるとトピックスによって物足りなかったり蛇足と感じられることがあったりと若干のでこぼこが生じるかも知れません。でも、「超基本」とあるとおり、網羅的に全体像をつかむには良い形式なのでは……と、思ったのですが実際に読んでみると、これが結構盛りだくさん。各項目の説明もかなり詳細でこれが「超基本」なら「基本」や「応用」はどんだけ大部になるのやら、と空恐ろしくなりました。いや、睡眠について知りたいなら普通の人はこれ一冊で充分なのでは。そう思わせる充実ぶりでした。

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2025.02.18

白金カイロの思い出(江頭教授)

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 子供のころ、小学生ぐらいのころでしょうか。祖父が金属製の容器に入った揮発性の油を小さなケースのようなものに移しかえているところを見た記憶があります。ケースにはふたがあって黒っぽい布が付けてあったような。「一体、何をしているの?」と聞いたところまではおぼろげに覚えているのですが、はて、何と答えてもらったのでしょうか。そこら辺はあいまいです。

 この記憶、どれくらい正確なのは今となってはわかりませんが、おそらくケース状のものは白金カイロだったのだと思います。

 さて、白金(Pt)はいろいろな反応で触媒として利用されています。これは今でも化学の授業で習うことだと思いますが、私が学生のころには、白金の触媒としての応用例として「白金カイロ」が挙げられていたものです。これを習ったとき「ああ、あれが白金カイロだったんだな」と納得してたのですが、果たして真相はどうだったのでしょうか。

 この白金カイロ、構造としては単純で燃料である揮発性の油を入れたタンクに繊維を編んで作った芯が入ったもの。ここまでならアルコールランプのようなものですが炎のでるものを衣服の中に入れるのはさすがに危険です。芯の先端には白金の微粒子がまぶしてあって、燃料と空気中の酸素の反応を触媒することで低温酸化、発熱させるという構造になっています。

 これはなかなかのハイテク機器ではないでしょうか。大正末期の発明品で、それ以前には木炭を無炎燃焼させる方式のカイロ(灰式カイロ)が使われていたのですが、固体燃料は品質のコントロールが難しそう。一方で白金カイロでは燃料が液体なのがメリットですが、適切な発熱量で触媒反応を継続させつづけるのはかなりの調整が必要なはずです。

 さて、いまでは鉄の酸化反応による発熱を利用したカイロ、いわゆる「使い捨てカイロ」が広く用いられていて……

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2025.02.17

成績登録の日(江頭教授)

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 1月早々に24年度後期の授業が終了。期末試験が終わってから今までの期間は学生さん達にとっては気楽なお休みの期間かも知れません。一方、我々教員にとっては試験やレポートの採点を行い学生の皆さんの成績を付けるという大切な作業を行う期間となっています。

 いわゆる学修支援システム(本学なら moodleですね)の導入によって以前の授業では紙を印刷した資料を配っていたものが、電子ファイルを共有することが多くなったのと同様、本学をはじめほとんどの大学では成績も電子的に処理されているかと思います。こちらは「教務システム」というのでしょうか。我々教員も書類で成績を提出することはありません。PCを利用してWEBの画面から成績を登録しています。

 そして今では学生さんの成績確認もWEB経由でできるようになりました。昔懐かしい「通信簿」は少なくとも大学からは無くなったのですね。(とはいえ、本学では成績通知の郵送は今でも行っています。でも情報は紙より電子の方が早いです。)

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2025.02.14

未来のエネルギー源は再生可能エネルギーか(江頭教授)

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 先日の記事で核融合炉開発の現状について紹介しました。核融合は事実上無尽蔵のエネルギーを供給できる可能性もっていますが、その実現には莫大な費用と時間が必要である。核融合は現在、あるいは近い将来には実用化できない、という意味で「未来のエネルギー源」だと言えるわけですが、では本来の意味で「未来のエネルギー源」、つまり遠い未来に社会を支える基盤とあるエネルギー源となるものは何でしょうか。

 遠い未来を想定しているので、枯渇性の資源である化石燃料は掘り尽くされるか、あるいは温室効果ガスの制限によって使用不能になるだろう、ここまでは前回に述べたことです。核分裂の利用、つまり原子力も同様で、ウラン資源の枯渇と共にエネルギー源としてはフェードアウトするはずです。(高速増殖炉が実用化されれば核分裂の燃料の資源量はぐっと大きくなるのですが、高速増殖炉も実用化に時間とお金がかかる技術ですね。)

 そう考えると未来のエネルギー源の候補は非枯渇性のエネルギー資源を利用するも、つまり再生可能エネルギー源に限られると言って良いでしょう。

 では、再生可能エネルギーとは具体的には何でしょうか。

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2025.02.13

触媒としての水銀(江頭教授)

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 水俣病の原因物質となったメチル水銀、この物質が当時のアセトアルデヒドの製造プロセスで使用された水銀触媒から発生したものだった、という話を先日こちらのブログ記事で紹介しました。現在のアセトアルデヒド製造プロセスでは水銀触媒は使わない、ということも併せて紹介しましたが、では水銀触媒は現在まったく使われないのか、というとそうでもないのです。

 環境省の”「水銀に関する水俣条約」の概要”という資料をみると、世界での水銀需要の20%が「塩化ビニルモノマー製造工程」で使用されていることが分かります。(同資料には13%が「塩素アルカリ工業」で使用されていることも記されています。これは水銀法による食塩の電気分解に対応していますが、日本ではすでに全廃されています。)

 水銀のリスク低減を目指す「水俣条約」では

塩化ビニルモノマー、ポリウレタンなどの製造プロセスでの水銀使用を削減。

とされていますから、塩化ビニル製造用の触媒としての水銀の利用も廃止に向かうと思われます。

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2025.02.12

電気ポットはどのくらいのスピードで冷えるのか?(江頭教授)

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 ここ最近の記事では新しく研究室に購入した電気ポットの話をしています。前回はポットからどれくらいの熱が逃げるかをポットが100℃から90℃まで冷える時間から見積もりました。

 さて、今回もその続きのお話ですが、はい、正直に言いましょう。前回の見積のやり方、伝熱工学(物を温めたり冷やしたりするための工学です)の教育を受けた人間から見れば、雑過ぎる、とお叱りをうけるやり方でした。私も伝熱工学は勉強したのですがね。(国井先生、ごめんなさい!)

 電気ポットを加熱する場合、電気のエネルギーが熱に変換されて強制的に一定のスピードでポットを温めます。しかしポットが冷える場合は、ポットの熱は周囲へと逃げてゆく。その逃げてゆく速さは周囲との温度差によって変わります。ポットの温度が高いほど熱は逃げやすい。ポットが冷えるにしたがって熱は逃げにくくなり、ポットが周りと同じ温度になってしまえば熱の移動はストップします。極端な話、室温の方が高ければ熱はポットに向かって逆流することになります。ポットから熱が逃げるスピードはポットの温度の関数になっていないとおかしいわけですね。

 さて、ポットの取説には沸いたお湯が冷えてポットの保温指定温度(90℃と70℃です。「マイコンポット」なので選択可能になっています。)に到達する時間も示されていました。これを利用してポットの温度の関数として熱の逃げる速度を定量化してみましょう。

 具体的には前回の記事の写真を参照してもらうとして、取説の記述は「沸騰した水( 100 ℃ )が 90 ℃ まで冷えるのにかかる時間は約 35 分」そして「 70 ℃ まで冷えるのにかかる時間は約2時間40分( 160 分 )」となっています。この図では室温は 23 ℃ とのことですから、ポットのお湯と部屋の空気との温度差に比例して熱が逃げると仮定すると(詳細は省きますが)「お湯の温度ー室温」と「経過時間」の間には指数関数の関係があると期待できます。

 指数関数の関係を確認するためには縦軸を対数軸とした片対数プロットをとって、直線になるかを確認すればよい。(これも詳細は省きます。)ということでグラフ化したのが以下の図。なかなかよい直線性が示されました。  

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2025.02.11

電気ポットの保温機能(江頭教授)

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 最近の新しく研究室に購入した電気ポットの話をしています。最初の記事はポットを買った経緯について。二回目の記事ではポットの加熱に必要な時間について検討しました。水の比熱からポットでお湯を沸騰させるために必要な時間を計算してみたのですが、実はポットの取説にその数字が載っていた(下の図。再掲しました。)、というお話。三回目ではこの数値を使ってポットのお湯を 90 ℃から 98 ℃に加熱し直す時間を計算しました。

 さて、ポットの見かけの熱容量を水 1.3 L 分だと見積もりることができたので、今回はこのポットの保温機能について検討してみましょう。表をみると沸騰して 100 ℃になったお湯が 90 ℃まで冷えるのにかかる時間が約35分だと書いてあります。100 ℃と 90 ℃の水(+ポット本体)の持つ熱量が約35分で外部に逃げる、ということですからこの数値を使って熱の逃げる速度を計算することができます。

 ポットに入っている水が 3 L、そしてポット自体も加熱される効果が 1.3 L分追加。これが 10 ℃ 温度上昇するのに必要な熱量を求めましょう。

(3×103 + 1.3×103 )× 4.2 × 10 = 1.806×105

約180kJとなりました。

Img_5297

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2025.02.10

電気ポット(3L、700W)の温度を設定し直したとき(90℃→98℃)何分で設定温度に到達するか(江頭教授)

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 前回前々回と新しく研究室に購入した電気ポットの話をしています。最初の記事はポットを買った経緯について。二回目の記事ではポットの加熱に必要な時間について検討しました。水の比熱からポットでお湯を沸騰させるために必要な時間を計算してみたのですが、実はポットの取説にその数字が載っていた(下の図。再掲しました。)、というお話。

 水の比熱とポットの消費電力だけから計算した「お湯が沸く(沸騰する)時間」は21分。取説の数字、33分よりかなり短く計算されています。これは「ポット本体も水と一緒に温められ」ることが原因だと考えて、ポットの見かけの熱容量を水 1.3 L 分だと見積もりました。

 さて、いろいろ計算したのでこの数字を利用してみましょう。新しいポットは「マイコン電気ポット」なので 98 ℃、90 ℃、70 ℃の三つの温度が設定可能です。普通にインスタントコーヒーなどに使うなら、まあ 90 ℃でOKでしょうか。(ポットの初期設定値も90 ℃ですし。)でも、せっかく選択できるのですから、そうですねえ、カップ麺をつくるときには 98 ℃にしてみましょう。

 では「90 ℃で保温しているポットの設定温度を 98 ℃ に変えたとき、何分待てばお湯の温度は上がるのか」という問題について考えていきましょう。

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2025.02.07

電気ポット(3L、700W)でお湯を沸かすのに何分かかるか(江頭教授)

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 前回の記事で書きましたが研究室の電気ポットを新しくしました。新しいポット、いままで使っていたものと同じサイズを選んだので容量は 3 L 、電力は 700 W でした。

 さて、このポットでお湯を沸かすのにどのくらいの時間がかかるのだろうか。これは計算してみましょう。

 まず前提として水の最初の温度は 20 ℃ としましょう。それを加熱して 90 ℃ にすることにします。 70 ℃ の温度上昇ですね。

 水は満水で 3 L とします。重量にすれば 3 kg になります。水の比熱は 1 cal/(℃g) です。まあこれはカロリー( cal )の定義ですね。W に関連付けるなら SI に直して 4.2 J/(℃g) 。ここで 4.2 は熱の仕事当量です。

 まず、水をお湯に加熱するために必要なエネルギーを計算しましょう。

3×103 × 4.2 × 70 = 8.82×105

だいたい 900 kJ ですね。700 W でこれだけのエネルギーを供給するために必要な時間は

8.82×105 / 700 = 1.26×103

です。この値の単位は秒なので分に直すと 21 分 になります。

 もっともこの計算には問題もあります。まず、水が温められているとき、ポット本体も水と一緒に温められますからそちらにも熱が取られてしまいますね。それに電気ポットが温まって周囲よりも温度が高くなれば、こんどはポットの周りの空気に向かって熱が逃げてゆくことになります。そう考えるとざっと30分くらいで温まる、という見当でしょうか。

 と、ここまで書いたところで気が付いたんですよね。取説に以下の情報が載っていることに。

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2025.02.06

電気ポットを買いかえた話(江頭教授)

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 このブログを読んでいるあなたがもし高校生なら「教室に電気ポットなんて必要なんですか?」という疑問を持つかも知れませんね。大学にも高校と同様に授業を行う教室はあって、そこには電気ポットなんてありません。でも今回の電気ポットは研究室用のもの。研究室では授業よりもずっと長い時間を過ごすことになるのでお茶やコーヒーを飲んだりカップ麺を食べたり、お湯が欲しい場面がそれなりにあるのです。

 本学に着任して自分の研究室が決まったとき、ちょうど退任される先生から電気ポットを譲ってもらいました。ところがしばらくすると給湯用のモーターの駆動ボタンが壊れて使えなくなってしまったのです。

 お湯を沸かす、という電気ポット本来の機能には問題は無かったのですが、スイッチ一個の故障でもうお湯を使うことはできません。うーん、複雑なシステムは故障に対して脆弱だなあ、と思って今度は電動式ではないエアポンプ式の電気ポットに買い換えました。

 と、いうのが約10年前のお話。で、今回は何とそのエアポンプ式の電気ポットも故障してしまったのです。

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2025.02.05

修士論文発表会が開催されました(江頭教授)

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昨日(2025年2月4日)には東京工科大学工学部、じゃなかったサステイナブル工学専攻の修士二年生の最終審査会が行われました。このブログを読んでいるあなたが高校生なら、大学のその先、大学院については漠然としたイメージしかないかも知れませんね。

 本学の応用化学科、というか応用化学科が(も)所属する工学部はサステイナブル工学専攻に接続しています。つまり、応用化学科の研究室が気に入って大学院に進もう、と考えた場合はサステイナブル工学専攻に進学することになる、ということです。大学院には学部の学科のような区部がありませんから他学科から進学してくる人たち(それに外部から入学してくる人たち)と一緒に授業を受けたり発表会を開いたりするのです。

 そしてサステイナブル工学専攻は修士課程と博士課程に分かれていて通常修士が2年間、博士が3年間となっています。(本当は修士課程を「博士前期課程」、いわゆる博士課程を「博士後期課程」と呼びます。)

 そして、今回開催されたのは修士二年生による発表会。修士修了にむけての最終発表会となります。

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2025.02.04

卒業研究発表会の反省会(江頭教授)

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 卒論発表会が先週の木金、そして金曜の夕方には判定会議が行われました。これで卒業研究は終了と思う人も居るかも知れませんが、そういうわけではありません。卒論発表会では質疑応答がありました。なので、その質疑を反映させたものが正式な卒業論文となるのです。

 実際、卒業論文提出日に出してもらった論文は「審査用」と表紙に明記されています。つまり、審査の結果を受けて修正した最終版を別途提出することが最初から予定されているのですね。

 さて、タイトルの「反省会」ですが、これは別に応用化学科のイベントではありません。発表会の質疑を受けて対応を検討する会を私が勝手にこう呼んでいるだけです。一人一人の学生さんと、どんな質問があったか、何と答えたか、そして本当だったらどう答えるべきだったか(巧く答えられない人も多いものです)を検討してゆきます。

 質疑応答を卒論に付記するのはもちろん、卒論を部分的に修正する。データを整理し直して表やグラフを作り直す。場合によっては実験を追加するのなど、それぞれのケースに応じていろいろな対応があります。

 

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2025.02.03

卒論発表会後の成績判定会議(江頭教授)

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 前回の記事でも紹介した応用化学科の卒論発表会、一人の持ち時間は10分と短いのですが一つの会場で全員が発表すると結構な時間がかかります。そこで今年度から会場を二つに分けてのパラレルセッション方式での実施となりました。おかげで初日は午後からスタート、二日目も午後の比較的早い時間で発表は終了となりました。

さあ、学生諸君にとっては一段落。みんな打ち上げに行くのかな?

いや、うらやましい。何故なら我々教員には発表会の後に評価の仕事があるのです。

 卒論発表会では学生の発表があって先生からの質疑がある。よくやったね、という暖かい質疑もあれば、何やってたんだい、という雰囲気のことも。これは学生諸君からも見えている評価の部分。でも時間の関係上、先生たちが全員質疑に参加できる訳もありません。ただ聞いているだけなのかというとそんなことはありません。実は全ての発表に全教員が何らかの形で評価を付けているのです。

 発表会が終わった後、我々教員が再度集まって、その評価の見えている部分、見えていない部分を持ち寄って「判定会議」をはじめるのです。

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