電気ポット(3L、700W)の温度を設定し直したとき(90℃→98℃)何分で設定温度に到達するか(江頭教授)
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前回、前々回と新しく研究室に購入した電気ポットの話をしています。最初の記事はポットを買った経緯について。二回目の記事ではポットの加熱に必要な時間について検討しました。水の比熱からポットでお湯を沸騰させるために必要な時間を計算してみたのですが、実はポットの取説にその数字が載っていた(下の図。再掲しました。)、というお話。
水の比熱とポットの消費電力だけから計算した「お湯が沸く(沸騰する)時間」は21分。取説の数字、33分よりかなり短く計算されています。これは「ポット本体も水と一緒に温められ」ることが原因だと考えて、ポットの見かけの熱容量を水 1.3 L 分だと見積もりました。
さて、いろいろ計算したのでこの数字を利用してみましょう。新しいポットは「マイコン電気ポット」なので 98 ℃、90 ℃、70 ℃の三つの温度が設定可能です。普通にインスタントコーヒーなどに使うなら、まあ 90 ℃でOKでしょうか。(ポットの初期設定値も90 ℃ですし。)でも、せっかく選択できるのですから、そうですねえ、カップ麺をつくるときには 98 ℃にしてみましょう。
では「90 ℃で保温しているポットの設定温度を 98 ℃ に変えたとき、何分待てばお湯の温度は上がるのか」という問題について考えていきましょう。
まず、90 ℃ のお湯を 98 ℃ まで加熱する、と考えましょう。前回の記事では 20 ℃ の水が 90 ℃まで、70 ℃ の温度変化があると考えたのですが、こんどは 8 ℃ の温度上昇。必要な熱量は
3×103 × 4.2 × 8 = 1.008×105
となりました。水は 3.0 L の満水、という設定です。おっと、ポットの見かけの熱容量が 1.3 L 分あるのを忘れていますね。修正しましょう。
(3×103 + 1.3×103 )× 4.2 × 8 = 1.4448×105
です。
さて、この熱量を 700 W のヒーターで供給するとして、必要な時間はいくらか。これも前回の記事と同じように解くことができます。
1.4448×105 / 700 = 2.06×103
この数値は秒なので3分半くらい、となります。
実はこれは「室温から沸騰までが約80℃の温度上昇なので、90 ℃ から 98 ℃の 8 ℃の温度差とで約10分に1。沸騰までにかかる時間を10分の1にすると3と1/3分」という計算でも大体予測できる結果です。
さて、カップ麺のお湯を暖めるのに3分半、お湯を注いで3分だとしてカップ麺をつくるのに必要な時間は6分半、といったところでしょうか。少々必要時間は増えましたが、まあお手軽ですね。
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