推薦図書「快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本」(江頭教授)
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本日の推薦図書は
柳沢 正史 監修「快眠法の前に 今さら聞けない 睡眠の超基本」朝日新聞出版 (2024/8/20)
です。私は電子書籍版で読みました。
監修者の柳沢 正史氏については
筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)機構長・教授。
とあります。最近は睡眠についての話題でTV番組などでコメントしているところを見かける先生なので知っている人も多いかも知れませんね。
さて、この柳沢教授が「監修者」で「著者」ではない、というのがこの本の一つの特徴でしょう。表紙に「ビジュアル版」とある様に、普通の本のように文章を中心とした構成ではありません。睡眠に関するいろいろなトピックスについて見開き2ページで簡潔に要点を解説する。なんというか、学習参考書の様なスタイルの本なのです。
いろいろな内容を同じサイズにまとめるとなるとトピックスによって物足りなかったり蛇足と感じられることがあったりと若干のでこぼこが生じるかも知れません。でも、「超基本」とあるとおり、網羅的に全体像をつかむには良い形式なのでは……と、思ったのですが実際に読んでみると、これが結構盛りだくさん。各項目の説明もかなり詳細でこれが「超基本」なら「基本」や「応用」はどんだけ大部になるのやら、と空恐ろしくなりました。いや、睡眠について知りたいなら普通の人はこれ一冊で充分なのでは。そう思わせる充実ぶりでした。
さて、以下は私の個人的な感想なのですが、一番興味深かったのは「クロノタイプ」についての説明でした。「クロノタイプ」とはいわゆる朝型・夜型のことで、一般には「早寝早起き」が朝型が良しとされていると思います。大学の1限が8時50分に始まることと通学にかかる時間を考えると、特に大学生は朝型でないとやっていられないでしょう。
しかし、本書の説明ではこの「クロノタイプ」は「約300個の遺伝子よって決まる」とのこと。しかも、クロノタイプは年齢によって変わるというのです。
子供の頃のクロノタイプは一般的には朝型ですが、思春期から20代ごろには夜型に転じ、その後は年を取るにつれてまた朝型に戻るのだと言います。つまり、大学生の諸君は人生の中で夜型真っ盛りの時期に当たる、ということになります。
私も経験的に大学生に夜型が多いことには気が付いていましたが、これが遺伝的な、つまり生物学的な理由で起こっているとは考えていませんでした。なんとなく生活習慣など、本人の行動に責任があるのだと思い込んでいたのです。
夜型の学生さんにとって朝一番の講義はつらかろう。以前の私は「乱れた生活習慣による自業自得」と思っていたのですが、これは認識を改めねばならない様ですね。
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