「パンデミックで人類滅亡」はあり得るか その1 (江頭教授)
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コロナ禍、COVID-19による新型感染症のパンデミックが始まったのは2019年、キャンパス閉鎖は2020年に入ってからだったので、もう5年も過ぎているのですね。今年入学した学生諸君は高校ではなく中学でコロナ禍を経験したという訳か。時の経つのは早いものです。
さて、人間何にでも慣れてしまうもので今ではコロナに罹っても(いや、COVID-19による新型感染症と言うべきですね)あまり気にしません。他の誰かが罹った場合でも、心配はしても「亡くなるかもしれない」などとはまず考えないでしょう。コロナは普通の病気になって、皆コロナ禍が始まった当時の雰囲気を忘れてしまいがちです。
とはいえ
あれが最後のパンデミックだとは思えない
というのも事実。ということで表題の様に「パンデミックで人類滅亡」はあり得るかについて考えてみたいと思います。
さて、未来のことを心配する前にコロナ禍以前のことをもう少し思い出してみましょう。
パンデミックという言葉がそんなに一般的で無かったころから「新しい伝染病の流行」という現象は実はそれなり有ったのです。
たとえば「SARS」。これ、正式名称は「重症急性呼吸器症候群」という固有の病名なのか一般の症状の名前なのかよくわからないような名称なのですが、いまでいえばCOVID-19ではない別種のコロナウイルス(SARS-CoVと呼ぶそうです)による新型の感染症でした。2002年に中国から発生。世界各地32の国や地域に広がったのですが結局日本には入ってきませんでした。その後、2003年7月にはWHOの終息宣言が出されています。
私が2019年にコロナの話を聞いたときに最初に思い出したのもこのSARSのことでした。そのため「まあ今回も終息するだろう」と軽く見る気持ちがあったようにも思います。でも、2002年から2019年までには世界のグローバル化はぐっと進み、特に中国との人の行き来はずっと規模が大きくなっていたのでしょう。結果は皆さんご存じのとおりの有様です。
さて、未来のパンデミックについて考える時、過去のパンデミックとは異なるものになる、ということは当然警戒しておかなければなりません。それは何も新しいウイルスなどの病原体が発生することだけには留まりません。このSARSとコロナ禍の比較でも分かる様に、人間の社会生活のありようの変化もまた、パンデミックの影響に関する重要な要素だと思われます。
もっと言うと、未来のパンデミックで本当に心配するべきなのは「人間の社会生活のありようの変化」なのかも知れません。人類の歴史は数百万年にも及ぶのですから、その間におよそあり得る伝染病のパターンは尽くされているのではないでしょうか。その一方で人間の社会生活のありようはこの100年ぐらいで激変しているのですからね。
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