高止まりしている世界の栄養不足人口(江頭教授)
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「世界は良くなっている」というのは私達の世代、おっとこれは主語が大きすぎですね、私の年来の信念です。いや、信念と言うほどでもなく、常識くらいの意識。つまり信じる信じない以前の当たり前のことだと思っていました。自分が子供の頃(50年位前)と今を比べて、どう考えても今の方が「良い」世界になっている。そんな日々の生活の中で感じる感覚的なものだけでなく、いろいろなデータがそれを示していました。なかでも世界で飢えている人が確実に減っているというデータは「世界は良くなっている」ということを明白に示していたと思います。
ところが!最近の、というかコロナ禍後の世の中は一体どうなってしまったのでしょうか。コロナ禍自体は仕方のないことでしょが、それに続くロシアウクライナ戦争に中東の問題など世の中を揺るがすような出来事が次々と起こっています。それを受けて「世界で飢えている人」の人口はいったいどのように変化したのでしょうか。
今回はその世界の栄養不足人口についてデータをまとめたグラフを見てみましょ。出典はFAO(国連の食糧農業機関のこと)の「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)2024年報告」です。
グラフは2005年からスタートしていて、最初の約10年はそれなりに減少を続けています。このころは「世界は良くなっている」と素直に信じられたわけですね。その後は下げ止まってしまったのですが、2020年には上昇に転じます。
これはコロナ禍の影響だと理解できるのですが、その後も下がらない。原因はいろいろあるでしょうが、コロナ禍が収まるというプラスの要因(栄養不足人口に対してはマイナスですが)とロシアとウクライナの紛争というマイナスの要因とがせめぎ合っての結果なのでしょうか。コロナ禍当初のような栄養不足人口とその割合の急激な上昇は見られないものの、割合は高止まりか微増、栄養不足人口の数値そのものはゆっくりとではありますが増加を続けています。
このデータは世界がサステイナブルで無い方向に変化していることを示していると思います。では「サステイナブル工学」はこの実情にどのような対応ができるのでしょうか?コロナ禍はともかく戦争・紛争の類いとなると、できることは思いつけそうにありません。
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