オゾンの臭い(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
「先生、オゾン発生装置を持っていませんか?」
と、学生さんに質問されました。聞けばオゾンについて何やら実験をしたいとか。うーん、残念だけど持っていないなあ。そもそもオゾンが発生していることをどうやって確認するつもりなんだろう。
「分かりますか?」
「……臭いだな」
てな感じだろうか。と、ここまできて気が付いたのですが今の学生さんは「オゾンの臭い」というのを知っているのでしょうか。そもそも「オゾンの臭い」をどう説明したら良いのだろう。
さて、少し説明しておくとオゾンというのは酸素原子が三つ結合した酸素(正確には酸素分子)の同素体です。空気中の酸素から紫外線照射などによって生じます。有名な「オゾン層」では太陽から来る紫外線によって大気中にオゾンが生じているわけですね。
ずいぶん昔、私が高校生だったころに学校にあった複写機からすごく嫌な臭いがしていたことがありました。これがオゾンの臭いだよ、と先生だったか先輩だったかに教えてもらったおかげで私は「オゾンの臭い」を知っています。複写機で使われている紫外線の影響で大気中の酸素からオゾンが生じていたのです。
いちど気が付いてしまうと電車がブレーキを踏む際などに同じ様に「オゾンの臭い」がしていることが分かる様にまりました。なるほど電車のパンタグラフと高架線との間での放電によってオゾンが発生しているのだな、などと説明が付くようになりました。
とはいえ、最近久しく「オゾンの臭い」を嗅いだことがないなあ。酸素の同素体といえどもオゾンは有毒な物質です。複写機や電車など、いろいろ工夫や改良が施されてオゾンが発生しないようになっているのでしょうか。
では学生さんにオゾンの臭いをどう伝えたものか。「うーん、嫌な臭いだよ。」と言うくらい。ボンヤリしているなあ。
困ったときのAIだのみで、google gemini に聞いてみるとこんな回答が
塩素系の漂白剤を薄めたようなイメージ(ただし、全く同じではありません):
ごく薄い塩素系の漂白剤のような、わずかに刺激のある臭いと表現されることもありますが、オゾンは塩素のような強い刺激臭ではありません。むしろ、よりクリーンで、突き抜けるような印象があります。
なるほど、これはぴったりきますね。
とはいえ、こんな表現もありました
高山の空気のイメージ:
空気が澄んでいて、どこか清涼感のある、そんなイメージに近いかもしれません。
いや、そんなことはないだろ。
そう言えば昔、TVドラマで山登りに来た青年が「ああっ、オゾンの香りがする」と気持ちよさそうに言うシーンがあって「おまえ絶対本当のオゾンの臭いなんか知らないだろう!」と一人でツッコミをいれたことがありました。
「オゾン」には、「オゾン層」からの連想なのでしょうか、何やら良いイメージがあるようなので、それに引きずられて良い香りがすると考える向きもあるようです。人の好みはそれぞれですが、でも良い香りというのは無理があるのでは。そもそもオゾンそのものは有害な物質なのですが……。
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