世界の飢餓情報をまとめた「Hunger Map」(江頭教授)
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前回の記事では国連の機関であるFAO(Food and Agriculture Organization)の報告書「世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)2024年報告」から、世界の飢餓に苦しんでいる人々の割合が2015年ころから下げ止まり、2020年にはついに上昇に転じてしまった、という話を紹介しました。2020年の上昇はコロナ禍によるものだとも考えられますが、それ以降高止まりしデータのある2023年まで下がる気配がない。このデータは世界の発展の行き詰まりを示すものの様にみえます。
さて、今回は同じくFAOが公開している「Hunger Map」つまり「飢餓マップ」を見てみましょう。世界のどの国で飢餓が起こっているかを示すものです。
まず世界全体の様子を大まかに示したものが以下の図です。(オプションで「View by Regions」を選択しています)北米とヨーロッパ(含ロシア)以外は飢餓の問題を抱えている。特にアフリカは深刻だ。
このデータには意外性はないと思います。皆さんもそんな印象を持っていたのではないでしょうか。とはいえこれではあまりにも大雑把に過ぎるでしょう。
ということで、もうすこし細かく表示したものがこちら。(オプションは「View by Subregions」を選択。)
オーストラリアが白(飢餓人口2.5%以下)になっている点は納得です。中国も白になりましたがインドは一段濃い色(飢餓人口5-9.9%)になっていて、なるほどなあ、と思います。
さて、最後に国別のデータをみてみましょう。(オプションは「View by Countries」)
ここまで細かいデータとなると今ひとつ理解が追いつかないですね。アフリカの中央にある色の濃い国はいったい何という国なんだろう?
とはいえ、東アジアについては逆に細かい点が分かって興味が湧きます。たとえば北朝鮮と韓国の対比。(こういうデータをみると「政治」ってやっぱり大切なんだなあ、と思います。)
そして何より日本について。完全な白(飢餓人口2.5%以下)ではなく、その次の「2.5% - 4.9%」の飢餓人口があるという表示になっているのです。これは一体……。日本に住む身としてはやや信じがたいデータなのですが、私は何かを見落としているのでしょうか。
この疑問についてはまた稿を改めて論じたいと思います。
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