江戸時代の食料自給率は100%ですが……その2(江頭教授)
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前回の記事では日本の食糧自給率に関して、
江戸時代の食料自給率は確かに100%だったが、その当時の人口は3千万程度
しかし、現在の人口は約1億2千万人で当時の四倍。値が小さく出るカロリーベースの食糧自給率でも38%あることを考えると江戸時代より食料を多く生産できている
という話を書きました。
今回は農業従事者の人口について考えてみましょう。
まず、現在の状況は以下の表の通り(出典は「農業の動向に関する年次報告 平成5年度 農業白書」)です。令和5年で約116万人。日本の就業者人口が約7千万人近くであることを考えると1~2%程度という低い割合なのです。
では、江戸時代の農業従事者はどの程度いたのでしょうか?
これに関して詳しいデータを見つけることはできませんでしたが、江戸時代の人口が約3千万人、その内の80%が農民だと考えると2千4百万人程度という計算になります。
つまり現在の農業従事者は江戸時代の20分1程度の人数しか居ないのです。それでもカロリーベースでなら江戸時代より多くの食料を生産しているのですから、これは凄いことでしょう。
もっともこの比較はややオーバーかも知れません。まず江戸時代の人口の80%が農民だ、という数字ですがこれは「士農工商」の身分としての「農民」の割合ですから、赤ん坊から老人までを含んだ値です。(いや、老人は農業に従事してるかも。)その分を考えて、例えば(身分としての)「農民」の内の半分が「農業従事者」だった、と考えても
江戸時代の10分1程度の人数で、より多くの食料を生産している
ということになりますから、やはり凄いことですよね。
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