「大学のメインディッシュは研究ですよ」という話(江頭教授)
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小学校、中学校そして高等学校と大学とはどこが違うのでしょうか。大学に入学したばかりの新1年生からみると大学1年生は高校4年生の様に思えるかもしれません。これは偶然ではなく、高校から大学への移行をスムーズにするために我々教員も意図的にそう感じられる様にしているのです。とはいえ、始めは我々がいろいろなことを教え導く対象としての「生徒」だった新入生諸君も、「卒業研究」を経験することを通じて大学を卒業するときには我々の若い研究者仲間である「学生」に成長しています。
やはり「研究」は私達大学教員にとっては特別なものです。その理由もいろいろ。仮説を実証するデータが次第に集まってくる興奮。データから新たな見方に視野が広がっていく感覚。複雑な問題の解を導いたり、困難な作業をやり遂げたときの充実感。同じ分野の研究者同士での研ぎ澄まされた議論。逆に異なる分野の専門家との会話から受けるインスピレーションなどなど。
正直はところ大学における授業は、いえいえ、高校やそれ以前の学校における授業さえも、この研究活動のための準備であると思ってしまいます。実のところ「大学のメインディッシュは研究」なのだ、そんな風に大学教員は考えているのです。
さて、大学教員の考えはこうなのですが、学生の側からはどのようにみえているのでしょうか。
私自身は……すでに半世紀近く前の記憶ですが「教育される側」から「研究する側」への立場の変化に困惑した記憶があります。卒業研究を経験する前にも「研究」に対してなにか漠然とした憧れはあったのです。でも、それは実際の研究の面白さとは必ずしも一致していなかったと思います。何と言うべきでしょうか、「研究」に対する解像度が低い状態だったのでしょう。そんな状態で卒業研究の、そして大学院の研究室選びをしたのです。私の場合はたまたま良い選択ができたのですが、今思い出してみると危ない綱渡りでした。情報不足で解像度の低い状態で重要な決断をする、など望ましいこととは言えませんね。
考えてみると「情報不足で解像度の低い状態で重要な決断をする」というシチュエーション、なにも生徒から学生へ、授業から研究へ、の研究室選びの場合に固有の話ではありません。学生から社会人への変化、つまり企業選びと就職にも同じ様な問題があります。
さて、就職での「情報不足で重要な決断をする」という問題に対する本学工学部の解決策は「コーオプ実習」を中心とした「コーオプ教育」です。だとしたら研究の開始と研究室選びについても同様の解決策がありうるのではないでしょうか。
そのような考えで作られたのが「実践工学プロジェクト演習」という授業です。その内容については次回ご紹介することとしましょう。
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