« 2025年6月 | トップページ | 2025年8月 »

2025年7月

2025.07.31

熊本にも“HACHIOUJI“があるらしい(江頭教授)

|

 先日かかってきた電話、運送会社からでした。

 あのー、そちら東京の八王子ですよね…。

はい。そりゃ、八王子ですからね。鎌田キャンパスと間違ってる、いや、あそこも東京だよなぁ、などと思っていると

 えっと、そちらに海外からの小包が届いているんですが、

うんうん。何かったのかな。

 それ、熊本の「はちおうじ」に送ってしまったんです。

えっ、熊本の八王子?

 いえいえ、「八王寺」ですね。私の荷物は熊本県熊本市中央区八王寺町に行ってしまったようです。

Photo_20250731091501

続きを読む "熊本にも“HACHIOUJI“があるらしい(江頭教授)"続きを読む

2025.07.30

人間に反乱を起こすのは誰(江頭教授)

|

 前回に続き、前々回に書いた

最初にコンピューターという技術が世間に広がったとき、それは「電子計算機」と呼ばれていたと思います。「電子計算機」についてはテレビ漫画や海外のSFドラマなどで知っていた様な。当時の電子計算機はなにかと人間に反乱を起こしがちでしたね。

という文章について補足しましょう。この「電子計算機はなにかと人間に反乱を起こしがち」という部分です。いや、前回の訂正がありますから、ここは「電子頭脳はなにかと人間に反乱を起こしがち」となりますね。

 さて、私が「電子計算」や「電子頭脳」の人類への反乱、というモティーフに触れたのはテレビ漫画や海外SFドラマだったのですが、記憶はかなりおぼろげです。テレビ漫画ならたしか「エイトマン」のなかにそんなエピソードがあった様な。海外SFドラマの方はもっと記憶が曖昧で「原子力潜水艦シービュー号」だったかも。うーん。

 とはいえ「電子頭脳」を離れて「○○が人間に反乱を起こす」という話自体は今でも定番のストーリーではないでしょうか。

 このブログでも以前の記事で触れたのですが、映画「地球爆破作戦」では東西冷戦時代(そうです、この映画は1970年、まだソ連があった時代に制作されているのです)を背景として核兵器の操作を任された東西の高性能コンピューター同士が接触、一つの存在となって人類の支配を宣言する、という内容でした。

Photo_20250730092901

続きを読む "人間に反乱を起こすのは誰(江頭教授)"続きを読む

2025.07.29

「電子計算機」じゃなくて「電子頭脳」でした(江頭教授)

|

 今回の記事は昨日の記事の訂正です。タイトルの

コンピューターについて知った時のお話し(いや!電子計算機だよ)

もそうですが、特に本文中の

最初にコンピューターという技術が世間に広がったとき、それは「電子計算機」と呼ばれていたと思います。「電子計算機」についてはテレビ漫画や海外のSFドラマなどで知っていた様な。当時の電子計算機はなにかと人間に反乱を起こしがちでしたね。

という文章、前半のコンピューターが電子計算機と呼ばれていた、という点はその通りですが、後半の漫画やSFドラマ云々の部分はちょっと違います。この文脈なら「電子計算機」ではなくて「電子頭脳」とするべきでした。

 「電子計算機」という用語は古くさいイメージがあるとはいえ、今でも使われる言葉だと思います。例えば「電子計算機使用詐欺罪」など法律用語として現役の言葉です。それに対して「電子頭脳」は、まあ、死語のようなものでは。

電子頭脳?ああっ、電脳のことですか。

くらいの扱いでしょうか。

 そもそも「計算機」を「頭脳」と言ってしまうのはどうなんだ?

Computer_jinkou_chinou

続きを読む "「電子計算機」じゃなくて「電子頭脳」でした(江頭教授)"続きを読む

2025.07.28

コンピューターについて知った時のお話し(いや!電子計算機だよ)(江頭教授)

|

 先日の記事

新しい技術が世の中に出てきたとき、そんな時を記憶しているのは年配者の特権

と書いたのですが、今回のそれに関連するお話。私がはじめて「コンピューター」について知った時のお話しです。タイトルの通りですが、最初にコンピューターという技術が世間に広がったとき、それは「電子計算機」と呼ばれていたと思います。「電子計算機」についてはテレビ漫画や海外のSFドラマなどで知っていた様な。当時の電子計算機はなにかと人間に反乱を起こしがちでしたね。

 さて、私は昔、多分小学生の高学年のころだったと思いますが、「コンピューター」に関する新書を読んだことがあるのです。私が買った本ではなく、父から借りて読んだのでした。ではなぜ父がその本を持っていたか、ですが父は会社の命令で「コンピューター」に関する研修を受けてきたのです。たしか一泊二日の泊まりがけの研修だったような。その研修から帰ってきたときに私に貸してくれたのがその本だったわけですね。

 今ならAIの研修に行かされた父親が子供にそのテキストを渡す、といったシチュエーションになるでしょうか。もっとも、その本が研修のテキストだったのか、父が別に購入していた本だったのか、今となっては分かりませんが。

 本のタイトルはもう忘れてしまったのですが、内容の一部は実は今でも覚えています。

Computer_mukashi_

続きを読む "コンピューターについて知った時のお話し(いや!電子計算機だよ)(江頭教授)"続きを読む

2025.07.25

地球温暖化防止法?(江頭教授)

|

 地球温暖化防止法? あれっ、何か違いますよね。

 そうです、正しくは「地球温暖化対策推進法」ですね。今日のお題は日本の温暖化防止のための政策についてです。

 まず、「地球温暖化対策推進法」は日本の温暖化対策の基礎となる法律です。環境省のホームページにはこうあります。

温対法は平成10年、COP3での京都議定書の採択などを背景に、地球温暖化への対策を国・自治体・事業者・国民が一体となって取り組めるようにするため制定されました。
制定された当初は、政府における基本方針の策定、地方自治体における実行計画の策定などが主な制度の内容でしたが、京都議定書の締結やCOP16におけるカンクン合意などを背景に、地球温暖化対策本部の設置、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度の制定など、合計7回の改正を経て現在の条文に至ります。

 さて、この法律で定められている国、地方公共団体、事業者、国民の責務ですが、こと温暖化ガスの排出抑制については、大ざっぱに言えば「各自自主的に努力しましょう。」ということに尽きています。国は調査研究や温室効果ガスの排出量のモニタリングに加え、自らが出す温室効果ガスの排出量抑制、さらに温暖化対策の基本計画をつくることで国全体での排出抑制につとめます。

 地方自治体も同様に自らが出す温室効果ガスの排出量抑制と地域の温暖化対策基本計画をつくることになります。ただし、その実現の方法は省エネの推進、再生可能エネルギーの導入の推進、普及啓発活動などです。温室効果ガスを削減した(あるいは削減しようとする)企業や市民に対するサポートであり、排出した人へのペナルティではありません。

Photo_20250725072901

続きを読む "地球温暖化防止法?(江頭教授)"続きを読む

2025.07.24

八王子キャンパスの標高は? (江頭教授)

|

 「富士山の標高は3776m」とか「高尾山の標高は599m」とか、有名な場所の標高は良く知られていますが、さて身近な場所の標高がどのくらいか、はなかなか知らないのではないでしょうか。今回のお題は標高の調べ方ですが、身近な場所ということで東京工科大学の八王子キャンパスを選んでみました。

 まずGoogle社の「Google Earth」を見てみましょう。宇宙から見た地球のCGにぐっとズームインして地球上の任意の場所の航空写真や地図を見せてくれる、起動時のオープニング画面が有名なソフトですが、航空写真上のカーソルの位置の位置情報として標高も表示されています。

Photo_20250724075701

 また、日本国内限定ですが、国土地理院のWEB地図「地理院地図」にも標高を表示する機能があります。

Photo_20250724080001

 では八王子キャンパスの標高はどのくらいでしょうか。

続きを読む "八王子キャンパスの標高は? (江頭教授)"続きを読む

2025.07.23

シリカゲルの吸湿作用(江頭教授)

|

 以前、こちらの記事でシリカゲルの乾燥剤について紹介しました。その際、化学の研究室でもシリカゲルを乾燥剤として使う、という述べましたが、私の研究室にも確かにシリカゲルが置いてあります。

 ということで、今回はこのシリカゲルの吸湿性について調べてみることにしました。

 まず、時計皿に適量にシリカゲルを取って加熱(恒温槽で100℃に設定しました)したあとでシリカゲルの重さをはかります。おっと、事前にシリカゲルをのせている時計皿の重量も計っておきました。

 差し引きすると、写真の乾燥した青いシリカゲル、重さは 2.89g でした。

Img_1467

 さて、これを大気中に開放しておくと湿気を吸って下の写真のように色が変化します。

Img_1474

 これは乾燥して大気にさらしてから2日後の写真です。ではこのシリカゲル、水を含んだことでどの程度重さが増すのでしょうか?

続きを読む "シリカゲルの吸湿作用(江頭教授)"続きを読む

2025.07.22

「受信相談」という番組がありまして(江頭教授)

|

 工学部の会議が終わった時の話です。工学部全体の会議の後に各学科の会議を行う予定になっていたのですが、学科ごとに違う会議室を使うので少し時間を空けます。そこで一言。

応用化学科の会議は4時5分から開始します。

あれ、この「4時5分」ってなんか聞き覚えがあるような。そういえば音楽がついていたような。

 4時5分、4時5分、…ふんふん…テレビを見るために…

思い出した!これ「受信相談」の音楽だ。

 私が子供のころ、NHKで放送していたミニ番組です。本当に「4時5分」に放送していたかどうかはわからないですが、平日の昼に放送していたように思います。つまり、当時の私は平日の4時5分に家にいるくらいの年齢だった、ということですね。

 さて「受信相談」がどんな番組なのか。今の人にはわからないと思います。

Tokeiillustf10_20250722080501

続きを読む "「受信相談」という番組がありまして(江頭教授)"続きを読む

2025.07.21

太陽電池を初めて見た時の記憶(江頭教授)

|

 新しい技術が世の中に出てきたとき、そんな時を記憶しているのは年配者の特権なのかもしれません。「生まれて初めてテレビというものを見たときは…」とか「初めて触ったプラスチックは…」とか。私の親の世代の人たちからはそんな話を聞きます。さすがに私は生まれた時からテレビもプラスチックもあった世代なのですが、それでも「〇〇を初めて見た」という経験はあります。今回のお題はそんなお話です。

 「太陽電池」という技術があることは知っていましたが、実物を初めて見たのは大学生になってからだったと思います。1年生のときの物理の実験、そのデータ整理をしているときに班の一人が太陽電池付きの電卓を持ってきていたのでした。自慢する気満々だったのでしょう。これ、太陽電池付きだから電池がいらないんだぜ、などなど。

 へーっ、それはすごい。

 班のみんなは私も含めて身を乗り出します。取り囲むみんなの陰になって件の電卓に蛍光灯の明かりが届かなくなる。それと同時にフッーと表示が消えました。そうです、当時の太陽電池の性能では十分に明るい照明のもとでなければ電卓の電源を維持できなかったのです。

Fx77-1

当時の電卓がどんな様子だったのか、はっきりとは思い出せません。こんな関数機能が豊富なものではなかったのでしょうね。

続きを読む "太陽電池を初めて見た時の記憶(江頭教授)"続きを読む

2025.07.18

熱収縮チューブはなぜ収縮するのか(江頭教授)

|

 前回の記事で「熱収縮チューブ」を使ってコーティングされた物干し竿を紹介しました。私が子供に家に有ったものなので、私自身はプラスチックのチューブが収縮するところはみていないのですが、両親は不思議に思ったそうです。そこで、今回は「熱収縮チューブ」が収縮するメカニズムについて紹介しましょう。

 まず「熱収縮チューブ」の作り方について。以下の図の出典は山﨑 智、西川 信也、早味 宏、青井 勇人、藤田 竜平、岸本 知佳 著「ナノコンポジット熱収縮チューブ」SEIテクニカルレビュー 2014年1月号 No.184)という文献からの引用です。こちらは前回の三菱ケミカルのヒシチューブではなくて住友電工ファインポリマーのスミチューブの開発記事です。

 さて、熱収縮チューブの作り方でまず理解できるのは、最初に押し出し成形でチューブを作る際に、すでに収縮したかたちのチューブを作っていることです。作ったチューブを膨張させて販売されるときのかたち、つまり収縮前のサイズ、にしているのです。熱収縮チューブが収縮するのは最初のかたちに戻る、という現象なのですね。

 熱収縮チューブの作り方のもう一つの特徴は「電子線照射工程」です。収縮後のかたちに成形したポリマーに電子線を当てると、ポリマーの鎖に付いている官能基の一部の化学結合が電子線によって壊れて、不安定な部分ができます。これがお隣のポリマー鎖と反応して安定化すればポリマーの鎖と鎖の間に新たに結合が生じることになります。このポリマーの鎖と鎖をつなぐ、という話、どこかで聞いたことはありませんか?

Photo_20250718075201

続きを読む "熱収縮チューブはなぜ収縮するのか(江頭教授)"続きを読む

2025.07.17

物干し竿と熱収縮チューブ(江頭教授)

|

 先の記事で「プラスチックが身の周りに入ってきた時期」というものがある、と書きました。昔の、世界的には産業革命以前の、日本では明治維新前の人々は生まれたときから死ぬまで同じ材料に囲まれていたはずで、新材料に出会う、という経験はなかったと思われます。プラスチックの登場は新材料の進出の最初のものだったので、その驚きは最大級のものだったでしょう。

 私自身は「プラスチックが身の周りに入ってきた時期」より少し後で物心がついているので、プラスチックを初めて見た時の感動を記憶しているわけではありません。ですが、両親はその経験をした世代です。今回のお題は私の両親がはじめてであったプラスチック製品の話です。

 子供のころ、家の物干し竿の中に、竹竿に水色のプラスチックがコーティングされたものがありました。子供なので別段不思議にも思わずに「そういうものだ」と思っていたのですが、何かのきっかけで両親から「普通の竹竿に自分たちでプラスチックがコーティングした」と聞かされてビックリ。なんでも父が取引先の会社から貰ってきたものだったそうです。竹竿にプラスチックのチューブをかぶせ、やかんのお湯をかけるとチューブが縮んでピッタリ竿竹に張り付いた、と言うのです。

 なるほど物干し竿をコーティングすれば水をはじくので良いですね。チューブを熱で収縮させるなら塗料を塗るよりも簡単です。他のものが汚れる心配もないし、刷毛などの道具もいりません。でも「お湯をかけると縮む、なんて不思議なことがあるものだ」と思ったそうです。

 この商品、現在では販売終了となっているそうです。上記は私が子供の頃、というか下手をすると生まれる前の話ですから、すでに50年は前のもの。販売終了も当然ですね、と思ったら!なんとこの商品、2024年9月まで販売されていたというのです。こっちの方がびっくりです。

Photo_20250717095301

 

続きを読む "物干し竿と熱収縮チューブ(江頭教授)"続きを読む

2025.07.16

新材料登場のインパクト(江頭教授)

|

「プラスチックだ」

 ダスティン・ホフマン主演の1967年の映画「卒業」に出てくる台詞です。

 「卒業」はラストシーンが印象的な映画ですが、この台詞が出てくるのは全く関係ないところ。ダスティン・ホフマン演じる主人公は前途有望なエリート大学生。卒業を間近に控えた彼におじさんがアドバイスするのがこの「プラスチックだ」です。いろいろな解釈があり得る台詞で、最初この映画を(TV放送で)見たときすごく気になりました。私の解釈では「プラスチック産業に就職すれば将来が約束されるぞ」という意味です。

 現在、身の回りにはプラスチックの製品があふれていますが、プラスチックは金属や木材と違って昔から身の回りの製品の材料として使われていた訳ではありません。プラスチックが身の周りに入ってきた時期、というのがある訳です。

 有名なプラスチック製品として「ナイロンストッキング」があります。これはアメリカでは1940年に製品化されたそうですが、本格的に普及するのは1945年の第二次世界大戦終結以降の消費社会の発展と軌を一にしているはずです。「卒業」が公開された1967年ごろに、1945年にはすでに大人だった世代が「プラスチックは新しくてすばらしいモノ」だと感じていた。その一方で1945年ごろに生まれた若者にとっては「珍しくもないつまらないモノ」に見えていたのでしょう。「卒業」で描かれていた若者の憂鬱にはぴったりのアイテムではないでしょうか。

Photo_20250716093701

続きを読む "新材料登場のインパクト(江頭教授)"続きを読む

2025.07.15

次の日曜日(7月20日)のオープンキャンパスを実施します(江頭教授)

|

追記:この記事で紹介した7月20日のオープンキャンパスは中止となりました。

7月20日八王子キャンパス オープンキャンパス中止のお知らせ

8月3日(日)以降に開催予定のオープンキャンパスの開催については、現在検討中です。決定次第、本ホームページでお知らせさせていただきます。

 

 夏はオープンキャンパスの季節、かどうかは知りませんが本学も7月20日の日曜日にオープンキャンパスを実施します。

 本学のオープンキャンパスは「定員制」だった時期もあるのですが今はその制限はなくなりました。ただ事前の申込が必要となります。本記事を見てピンと来た人、気になった人のためにまずは申込先のリンクを置いておきましょう。

詳細内容および申込は下記よりご確認ください。

■7月オープンキャンパス紹介WEB

https://jyuken.teu.ac.jp/jyuken/visit_oc.html

■オープンキャンパス申込フォーム

https://form.e-v-o.jp/oc/teu?_gl=1*1tyav22*_ga*NzE2NjI5ODUuMTcxMDExNjAzMw..*_ga_CFK9G6RGTY*czE3NTI1MzY5ODMkbzI1MiRnMSR0MTc1MjUzODMxNiRqNTgkbDAkaDA.

Photo_20250715092301

続きを読む "次の日曜日(7月20日)のオープンキャンパスを実施します(江頭教授)"続きを読む

2025.07.14

生成AIの現状(江頭教授)

|

 以前の記事(「新しい技術が世間に受け入れられるまで」)で紹介したガートナー社のハイプサイクルモデルですが、今回はその応用例を見てみたいと思います。ガートナー社のWEBサイトにある記事

「生成AIのハイプ・サイクル」とは何か?どのように活用するか?

では、生成AIの状況をハイプ・サイクルモデルで表現した図表(下に引用)が載っています。

 図ではいろいろな生成AIの技術について、それぞれがハイプ・サイクルのどの段階にあるのか、が示されています。(ただし、この図は2024年に発表されたもので、すでにほぼ1年前の状況を反映したものです。)

 一見して分かるのはハイプ・サイクルのカーブの中に一点だけ「生成AI」という点が打ってある、というスタイルではないということ。複数の技術がそれぞれにカーブの中に表示されていています。単純に「生成AI」という技術があるわけではない。生成AIというのは複数の技術の集合体について名付けられた名称なのだ、というガートナー社の考えが反映されているのですね。

 そして生成AIの現状は……「過度な期待」に向けて登り調子の技術もあれば、幻滅の谷に向けて転がり落ちている途中の技術もある、といった状況。生成AI全体としてみれば「過度な期待」のピーク周辺にある状態であり、まだ世間に広く受け入れられているとは言えない状況のようです。

Fig1_20250714062301

続きを読む "生成AIの現状(江頭教授)"続きを読む

2025.07.11

ChatGPTはなぜブレイクしたか?その2(江頭教授)

|

 タイトルの「ChatGPTはなぜブレイクしたか?」ですが、前回はChatGPT自身にその理由を考えてもらいました。今回は私自身の意見を書かせてもらおうと思います。

 まず、「ブレイクした」というのはどういう意味でしょうか。簡単に言って、話題になり多くの人に使われる様になること、でしょう。だとしたら、まず大前提として多くの人が使える様なものでなくてはなりませんよね。

「ChatGPT」はその名が示すとおり、Chatがユーザーインターフェイスとなっています。これならPCやスマホを扱える人ならほとんど誰でも利用できるインターフェイスではないでしょうか。多くの人に使って貰えるという点ではもっとも有利な形態だと思います。「ChatGPTって凄いよ」という話を聞けば誰でもすぐにサイトにアクセスして利用が開始できるのですからね。

 私自身もそうでした。最初に「ChatGPT」の存在に気が付いたのはNHK-BSで流れていたフランス2のニュースでした。フランスの子供達の間でChatGPT大流行している、「あっという間に宿題を解いてくれるんだ」と興奮気味に語るフランスの中学生(小学生?)の姿が印象的でした。で、そのニュースを見てすぐにChatGPTを試してみた、という次第です。

Photo_20250711063301

続きを読む "ChatGPTはなぜブレイクしたか?その2(江頭教授)"続きを読む

2025.07.10

ChatGPTはなぜブレイクしたか?(江頭教授)

|

 さて、表題の様なタイトルで記事を書こうと思ったのですが、まずはChatGPTご自身にタイトルを振ってみましょう。以下、ChatGPTさんの回答です。


 2022年の終わり頃から、「ChatGPT」という言葉を聞かない日はないほど、このAIチャットは一気に世の中に広まりました。実際に使ってみて「まるで人と話しているみたいだ」と驚いた人も多いでしょう。では、なぜここまで爆発的に普及したのでしょうか。

 一番大きな理由は、技術の進化です。GPTという仕組み自体は数年前から存在していましたが、モデルの規模が飛躍的に大きくなり、会話の自然さが格段にアップしました。ChatGPTは単なる一問一答ではなく、文脈を踏まえて話を続けてくれます。これは従来のチャットボットにはなかった大きなポイントです。

 そして何より、誰でもすぐに試せる手軽さが人々を引きつけました。アカウントを作ってブラウザでアクセスするだけで、すぐにAIと会話が始められる。特別なアプリや難しい設定は必要ありません。しかも基本的な機能は無料で使えたため、とりあえず試してみようと思う人が続出しました。

 さらに、ChatGPTが生み出す文章には「人に見せたくなる面白さ」があります。詩を書かせてみたり、プログラムを書かせてみたり、ちょっと変わった質問を投げてみると、思わずSNSに投稿したくなるような回答が出てくる。この「拡散しやすさ」がTwitterやTikTokなどで一気に火をつけました。

Photo_20250710070201

続きを読む "ChatGPTはなぜブレイクしたか?(江頭教授)"続きを読む

2025.07.09

幻滅の谷を超えて(江頭教授)

|

 昨日の記事ではガートナー社の「ハイプ・サイクルモデル」について紹介しました。「ハイプ(hype)」とは「異常な盛り上がり」とか「誇大広告」という意味で、新技術が登場した際、その技術に対して一時的に期待が盛り上がるものの、やがて幻滅されてしまう、という様子を表しているのでしょう。

 私個人の記憶でも、はじめてWebブラウザーというものをみたときには「これを利用すればこんなこともできる、あんなこともできる」といろいろ想像が膨らんだものです。おそらく日本中の、いえ、世界中の人が同じ様に想像を膨らましたことでしょう。その結果としての異常な盛り上がり、つまりハイプが生まれたわけですね。

 たとえばe-コマース、というかネット通販とか。いままで問屋を通して小売店で売っていたものがネット経由で世界中どこからでも注文を受けることができる。そう考えた会社は多かったでしょう。しかししばらくすると「WEBサイトでネット通販をしてもだれもサイトを見てくれない」ということに気が付きます。そしてユーザー(候補)の人たちも「いろいろなものがネット通販されているはずなのだが、そのサイトを見つけることができない」という状態に。「えっ、検索すれば?」と思ったそこのあなた、これは検索サービスが一般的になる前のお話なんですよね。

 ということで、ネット通販に対する期待度は一気に下落したわけです。ここで「期待度」と言っている点はわりと重要で、多分ネット通販のサイト数や売上げはそんなに下落はしなかったろうと思います。(詳しいデータに基づいているわけではありませんが。)要するに「思ったほど簡単ではない」ということが知れ渡り、一時の興奮が冷めてしまったというか。これが「ハイプ・サイクルモデル」が言うところの「過度な期待」のピーク期からの「幻滅期」なのです。

 で、問題はこの後どうなったか、です。

Fig1_20250708173901

 

続きを読む "幻滅の谷を超えて(江頭教授)"続きを読む

2025.07.08

新しい技術が世間に受け入れられるまで(江頭教授)

|

 新しい技術が登場して世の中に受け入れられてゆく過程を考えると「これは凄い!」「こんなこともできる、あんなこともできる」と興奮する時期があり、その後興味が冷めてゆくもののいつの間にか世間に受け入れられている、という経過をたどるものです。何となくそんな事を考えていたのですが、それを良くモデル化したものを見つけました。技術に関する調査会社のガートナーが提案している「ハイプサイクル」というモデルです。

 このモデルはガートナー社のWEBサイトから引用した以下の図で表現されています。横軸は時間、そして縦軸はその技術に対する世間の「期待度」だと言います。

 新しく登場した技術が進歩するにしたがって世の中の期待度も高くなる。最初は常識通りの経過をたどるのですが(この期間を黎明期と名付けています)、やがて期待は技術の実力を上回ってバブル化し、そしてバブルがはじけるという経過をたどります。つまり「過度な期待」のピーク期を経て「幻滅期」に入るのですね。

 この「過度な期待」という感じ、インターネットが登場してきた初期の頃を覚えている身としてはかなりリアルに感じられます。新しい技術の概念を理解するといろいろなアイデアが頭に浮かびます。「こんなこともできる、あんなこともできる」という思いが溢れて興奮状態に。そんな個人が世の中で増えてゆくと、世の中全体が少しおかしな雰囲気になってしまいます。

 とはいえ、想像のエネルギーで膨らみきった期待に実際の技術がついて行くことができるはずもありません。過度な期待はやがて幻滅へと変わるのですね。

Gartnerhypecyclejp

続きを読む "新しい技術が世間に受け入れられるまで(江頭教授)"続きを読む

2025.07.07

書評「純粋人工知能批判」(江頭教授)

|

 本日紹介したいのは人工知能(AI)に徹底的に批判している本です。



H.L.Dreyfus, S.E.Dreyfus著 椋田直子訳「純粋人工知能批判」(アスキー出版 1987)



まず、出版年が1987年だ、ということに注目してください。これ、実は今から40年ちかく前の本なのです。


 人工知能(AI)は今盛んに話題になっていてある意味ブーム到来、という状況なのですが、この本が書かれたころも同様にAIブームでした。そうです、AIのブームは今回が初めてではないのです。


 本書に引用されたハーバート・サイモン博士の言葉



今後20年のうちに、人間にできることはすべて、機械にもできるようになるだろう。



これが1965年のこと。本書が出版された1987年にも人間にできて機械にできないことはたくさんありました。この発言から60年経った今でも人間にできることがすべて機械にもできるようになる気配はありません。


 本書は人工知能の研究者達の異常なまでに楽観的な物言いを強く批判しています。そのような楽観論が機械(コンピュータ)についての理解よりは人間の知性に対する無理解、というか見くびりに原因があるのでないかという立場から、人間の知性についての深い考察をすすめています。


 本書の予言どおり、当時主流だった人工知能の研究は無謀な空約束をくり返したあげく、大きな成果をあげることなく退潮してしまいました。


 では、現在のAIブームはどうでしょうか。本書の批判は現在でも有効なのでしょうか。それとも本書の批判に答えられたからこそAIブームが再燃しているのでしょうか。


41oi1uskdvl_sx298_bo1204203200_

続きを読む "書評「純粋人工知能批判」(江頭教授)"続きを読む

2025.07.04

人間は一人当たりどれくらいの熱を出しているのか(江頭教授)

|

 最近暑くなってきたので表題の様な疑問がでてきたのかな?と思われた方も多いかも。でも、この話を私が最初に聞いたのは少し別の文脈でした。

 ずいぶん昔の話ですが、テレビのドキュメンタリーで戦後、冷戦が激しかった時期に造られた米国の「核戦争が起こった場合の対応」を説明する映画フィルムの一部が流されていたのです。核戦争で地下シェルターに避難したとき問題になるのは排熱だとか。多くの人が閉鎖されたシェルター内に居ると各自の体から発する熱で温度が上昇してしまうと予測されていたのです。映画フィルムの中では「床に寝そべって体の熱を床に逃がすようにしましょう」と説明されていました。

 いや、何というか……。アメリカの人って真面目なんですね。当時の日本人は戦争や核兵器に対していろいろ言っていたはずなのですが、ここまで真面目に対策を考えていた人が果たして何人いたのやら。以前核戦争を描いた映画「ザ・デイ・アフター」について紹介したのですが、アメリカの人たちは核戦争が起こっても生き残る気満々で自分が死ぬなんて考えないのかなあ、などと思ってしまいます。そう言えばこの映画にもシェルターの描写がありましたが、床に寝そべっては居なかったような。

Photo_20241108032101

続きを読む "人間は一人当たりどれくらいの熱を出しているのか(江頭教授)"続きを読む

2025.07.03

「ふーふー」、熱いたべものに息を吹きかけると冷えるのはなぜ?(江頭教授)

|

 「いただきーます! あちち! ふー、ふー」

 てな感じで熱い食べ物を息を吹きかけて冷ます、というのは何となく身に覚えのある情景ですよね。今回のお題は息を吹きかけると物が冷えるのはなぜか、です。でも、最初にお断りしておきましょう。実は正解が何か、今のところ私にもはっきりしてはいません。二つの仮説を挙げますので、皆さんも一緒に考えていただければと思います。

 さて、「息を吹きかけると物が冷える」理由を考えると、「息を使って風を起こし、熱い物に風が当たることで冷える」と解釈できます。本質は熱い物に向かって風を送ることで、息を使うのはもっとも身近な手段だから、でしょう。風が当たることでものが冷える、というのは風が強いと寒く感じる、という日常の経験で分かりますし、手に息を吹きかけてみても実感できることです。

 この効果、化学工学の表現では

温度の高い物体の周辺のレイノルズ数が大きくなることでヌッセルト数が増大する、これは熱移動の境膜の厚みが減少することに相当するので、熱の移動が促進されて周囲より温度の高い物体に対する冷却速度が高くなる

ということになるのですが、要するに「熱の移動が早くなる」ということです。この効果が原因の場合、「熱いもの」の温度は風の温度、というか周囲の空気の温度までしか冷えない、ということになります。熱い物が周囲の温度まで冷える、その過程が加速されるだけなので当然ですね。

 さて、ここで思い出したのが昔に見た映画「スーパーマンⅢ 電子の要塞」の1シーン。化学工場の火事に遭遇したスーパーマン。消火用水がなくなって絶望している消防隊を救うために近くの湖にひとっ飛び。湖の水に息を吹きかけて凍らせて巨大な氷塊を作ると火災現場に舞い戻り氷を使って火事を消し止める、というくだりがあるのです。
 まあ、昔のアメコミ映画だし野暮なことは言いますまい。でもやっぱり気になるのが「息を吹きかけて凍らせる」という点です。ふーふーしても周囲の温度までしか冷えないのでは…。
Fig

続きを読む "「ふーふー」、熱いたべものに息を吹きかけると冷えるのはなぜ?(江頭教授)"続きを読む

2025.07.02

「授業点検」とは(江頭教授)

|

 授業点検については、このブログでもいままで何回か触れてきました(こちらとか、こちらとか)。大学の教員は小中学校や高等学校の先生たちと違って、教育に関する専門的な訓練を受けていません。そのせいでしょうか、授業が最高とはいえない、どちらかというと良くない、というかはっきりいうと下手、という先生も大学にはそれなりの割合で居る、という話を皆さんも聞いたことがあるかもしれません。

 ということで「授業点検」という制度ができたのでしょう。毎学期数名の先生の授業がセレクトされて、その授業の様子を他の先生が参観して点を付けることになっています。加えて授業参観の終了後に意見交換会と称して点検された先生と点検者の先生とが授業の「感想戦」をする、という場も用意されています。

 10年以上前からある制度で、制度が出来上がった当初は授業のやり方に問題ありとなって「再点検」「再々点検」となった先生がいたとかいなかったとか。まあ、工学部が設立される以前の話なのでよく分かりませんね。

 さて、最近の本学の授業はどうでしょう。以前の記事

自分が学生だったころに受けた授業を思い出すと正に「隔世の感」

と書いたのですが、授業のやり方が大きく変化していることを感じます。私自身も授業のやり方をいろいろ工夫しているという自負はあるのですが、それでも授業点検のたびに今まで知らなかったアイデアに出会ったり新しい気づきを得たりするものです。授業点検の意味合いも「良くない授業が無いか確かめる」という「点検」から、相互の授業を見比べて情報を交換する場に変わってきている様に感じます。

Fig1_20250701155901

続きを読む "「授業点検」とは(江頭教授)"続きを読む

2025.07.01

冷凍された金魚が生き返る?(江頭教授)

|

 こう暑いと少しは涼しい話をしたいですよね。そう言えば「生きた金魚を液体窒素に入れるとカチカチに凍り付きますが、これを温めるとあら不思議、生き返って泳ぎ始めるのです。」という話がありました。私がこの話を始めて聞いたのは私が高校生のころだったでしょうか。高校の部活動で液体窒素を扱う機会があり、早速試してみようという話がでたのですが、さすがに思いとどまった記憶があります。

 さて、金魚の冷凍・蘇生実験は今では動画投稿サイトなどで実演をみることができますから、金魚が完全に冷凍された、と思っている人もいるかも知れません。しかし、短時間液体窒素に浸けただけでは、金魚の体の表面が凍っているだけで体内まで凍ってはいないのだそうです。温められて体表の氷が溶ければ動き出すのですが、そのまま液体窒素に浸け続けて全身が凍ってしまったら完全に死んでしまって、もう蘇生しない、というのです。(高校生のとき、思いとどまって良かった。)

 この実験、人間に置き換えてみるとどうなるでしょうか。人間の皮膚には水分が含まれてはいますが、普通は液体の水はありませんから、急激に冷却されても体表に氷が付着するわけではりません。皮膚が凍り付いて硬くなるでしょうが、見た目のカチカチ感には欠けるでしょう。解凍された時点で皮膚は凍傷になっているので、凍らされた当人は苦痛で絶叫しているはず。とても興味深い実験という訳にはいきません。これは他の動物も同じ。物言わぬ金魚が対象に選ばれているのには理由があったわけですね。

 とまあ、ここまで理解している人は少ない、ということが分かるのが以下の「ジオストーム」という映画の予告編(トレイラー)。これはかなり前の映画ですが、一応SFでファンタジーやギャグではない、ということになっています。

 

続きを読む "冷凍された金魚が生き返る?(江頭教授)"続きを読む

« 2025年6月 | トップページ | 2025年8月 »