幻滅の谷を超えて(江頭教授)
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昨日の記事ではガートナー社の「ハイプ・サイクルモデル」について紹介しました。「ハイプ(hype)」とは「異常な盛り上がり」とか「誇大広告」という意味で、新技術が登場した際、その技術に対して一時的に期待が盛り上がるものの、やがて幻滅されてしまう、という様子を表しているのでしょう。
私個人の記憶でも、はじめてWebブラウザーというものをみたときには「これを利用すればこんなこともできる、あんなこともできる」といろいろ想像が膨らんだものです。おそらく日本中の、いえ、世界中の人が同じ様に想像を膨らましたことでしょう。その結果としての異常な盛り上がり、つまりハイプが生まれたわけですね。
たとえばe-コマース、というかネット通販とか。いままで問屋を通して小売店で売っていたものがネット経由で世界中どこからでも注文を受けることができる。そう考えた会社は多かったでしょう。しかししばらくすると「WEBサイトでネット通販をしてもだれもサイトを見てくれない」ということに気が付きます。そしてユーザー(候補)の人たちも「いろいろなものがネット通販されているはずなのだが、そのサイトを見つけることができない」という状態に。「えっ、検索すれば?」と思ったそこのあなた、これは検索サービスが一般的になる前のお話なんですよね。
ということで、ネット通販に対する期待度は一気に下落したわけです。ここで「期待度」と言っている点はわりと重要で、多分ネット通販のサイト数や売上げはそんなに下落はしなかったろうと思います。(詳しいデータに基づいているわけではありませんが。)要するに「思ったほど簡単ではない」ということが知れ渡り、一時の興奮が冷めてしまったというか。これが「ハイプ・サイクルモデル」が言うところの「過度な期待」のピーク期からの「幻滅期」なのです。
で、問題はこの後どうなったか、です。
「ハイプ・サイクルモデル」によれば「幻滅期」の後には再び期待が盛り上がる「啓発期」と呼ばれる期間が来るのです。これは技術によって本当にできることは何か(あるいは何ができないか)が明らかになり、そのできることによって成功した事例も現れてきます。それをみて「幻滅期」に諦めていた人たちの中からも戻ってくる人たちもでてくるでしょう。
そのようにして再度上昇する期待度ですが元の「ハイプ」の状態には戻りません。とはいえ、その技術はそれ自体に相応しい期待を集めながら生産性の向上に寄与する「安定期」を迎えるわけですね。
さて、このモデルのなかで重要な役割を担っているのは誰でしょう。もちろん、技術を開発した人たちが最重要なのですが、それと並んで重要なのは「幻滅期」に於いても技術の可能性を信じて行動し、成功を手にした人たちではないでしょうか。
先ほどのネット通販の例で言えば楽天とかAmazonとか。彼らのビジネスは今でこそ成功が約束されていたかのようにみえますが、そのビジネスを始めた頃は幻滅の谷のどん底からのスタートだったのではないでしょうか。もちろん、その成功の陰には同じ様にネット通販を事業化しようと試みたものの志半ばで挫折した多くの企業があったのでしょう。
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