男性と女性の賃金格差(江頭教授)
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前回の記事では労働政策研究・研修機構の出しているユースフル労働統計(労働統計加工指標集)という資料から大学に行くかどうかによって生涯賃金(この定義にはやや注意が必要、というのが前回の記事の趣旨ですが)がどのくらい違うのか、という話を紹介しました。その際、男性と女性の生涯賃金の差についてもふれたのですが、話のオチとしてやや不真面目な扱いをしてしまったかも。このユースフル労働統計にはそのものずばり「男女間賃金格差」についての指標も示されているので今回はその内容を紹介しましょう。
男女の賃金格差について皆さんはどのようなイメージをもっているでしょうか?
男女で賃金を比較すると(個々人の具体例は別として)平均ではやはり女性の方が低い。しかしその格差も徐々に是正されてきているがいまだに道半ばである。
といったところでは。以下の図にはまさにそのような傾向が示されています。
単純に男女の賃金差を比べると(図の「調整前」のデータに相当します)1990年には女性の方が40%近く賃金が低かった。次第に改善されているものの、いまでも25%程度の差が残っている、ということがわかります。
やっぱり専業主婦は多いけど専業主夫はすくないから、などと思いがちですがこれは賃金格差なので就業率の違いは関係ありませんね。ユースフル労働統計の作成者は違いが出そうな項目として「学歴」「勤続年数」「企業規模」を挙げて、その差を調整したデータも算出しています。それが図の「調整後」のデータとなります。
調整後のデータをみると、1990年には女性の方が25%近く賃金が低かった。次第に改善されているものの、いまでも20%程度の差が残っている、となります。調整前と比べると改善幅が乏しいような。つまり、この30数年のあいだに「学歴」「勤続年数」「企業規模」について男女の差が減ってきた、ということなのでしょう。
さて、調整後のデータでも男女の賃金格差が20%程度残っているということは女性差別があることの証拠なのでしょうか。
これは「女性差別」の定義に依存する部分もあるので簡単には結論を出せない問題ですね。例えば「同一労働同一賃金」を平等と定義して女性でありながら「同一労働」に対して低い賃金しか受け取れない、という状態を賃金における「女性差別」と定義するならば、このデータから結論づけられることは「女性差別があるかないかは分からない」です。
このデータ、調整後のものでも「学歴」「勤続年数」「企業規模」を共通化しただけであり、労働の内容については触れていませんから。
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