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メニスカス ガラス壁を這い上る力はどこから?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 もしこの記事を読んでいるあなたが高校生で化学を選択しているなら「メニスカス」についてはご存じなのでは。wikipediaを調べると以下の写真と一緒に

容器の表面との相互作用によって形成される、液面の屈曲である。

という説明が付いています。「液面の屈曲」は確かにその通りなのですが、化学でこのメニスカスが重要になるのは化学実験の際、特に液体を扱う場合でしょう。

 液体の体積の計測で用いる、たとえばメスシリンダーなどでは液体の液面と標線との位置関係で量を測定する訳です。液面は重力方向に対して垂直な平面になるのが普通ですがガラス管を用いた計量器、とくに径の細いガラス管では、液面がガラス壁を這い上がるように移動していて完全な平面にはならない。下の写真の様に管の細さによっては液面に平らな部分が見えない、などというケースもあるのです。

 こんなときどこを基準に目盛りを読めばば良いでしょうか?というのは化学の試験問題の定番ですね。水とガラスの組み合わせではメニスカスの影響で液面は周囲が高くて中央が低い、凹型になっています。目盛りを読む際は液面の一番下の部分、つまり中央の部分をきっちり横から見るようにしましょう。

 ではこの「メニスカス」はなぜできるのでしょうか。あるいは水がガラスの壁を這い上る力はどこから来ているのでしょうか。

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 この問いかけ、じつは前回の記事での「書架を歪ませる力」と同じ。ついでにその力の由来も同じです。

 計用機器を作っているガラスの表面は親水性、水に馴染む性質があります。つまり空気と接触している乾燥した表面よりも水と接触している表面の方が安定だ、ということです。ガラス、空気、水の3つの要素が配置されたとき、ガラスと水の接触面をなるべく大きくしようする力が働くのですね。先のメスシリンダーの計用のケースの場合は水面がガラス壁を這い登ることで接触面を大きくしようとしているのです。

 なお、正確にはガラス、空気、水の3つの要素が配置されたときに働く力はもう一つあります。それは水の表面積をなるべく小さくしようとする力。ガラスなしで水と空気だけならこの力が一番優勢になって水は球体になります。(球は同じ体積で一番表面積が小さくなる形状です。)

 今度は分子のレベルで考えてみましょう。ガラスの表面にはシリコン原子に結合した水酸基(Si-OH)、つまりシラノール基が存在します。このシラノール基が水と水素結合をつくるため、ガラスは水と親和性が高い、と考えられます。つまり、「ガラス壁を這い上る」力の源は水素結合だ、ということですね。

江頭 靖幸

 

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