ガラス細工とオランダの涙(江頭教授)
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化学実験と言ったらガラス器具、ガラス器具と言えばガラス細工、などという記事を前回、前々回と書いてきました。それで思い出したのが子供の頃にテレビでみたガラス工房のドキュメンタリーです。今となっては曖昧な記憶しか無いのですが、強く印象にのこっているのは鳥だったか船だったか、見事なガラス細工を職人さんが凄い手際で仕上げてゆく姿でした。でも、その後のナレーションで「こうして作ったガラス細工ですがしばらくすると壊れてしまうのです」という説明があって二度びっくり。
昔の私には理由が分からなかったのですが、これはおそらく温度が不均一な状態で変形加工されていることが原因ではないでしょうか。ガラスは温度が上がると柔らかくなりますが、それだけではありません。普通の物質同様膨張もしているのですね。加熱されたガラスが冷却されるとき、温度が充分高くて柔らかい間は冷却による収縮が起こっても大して問題にはなりません。でも固くなってからの温度変化はガラスに歪みを生じさせているはず。ましてや細工していろいろ変形されていたらその不均一な変形が大きな歪みと、その結果として大きな応力が生じるはず。ガラス細工の弱い部分が耐えられなくなって壊れてしまうのでしょう。
ガラスの冷却により生じる圧力について言えば、面白い化学の実験(いや、物理の実験か?)として「オランダの涙」が知られています。
ガラスを強熱して溶かし、液滴と垂れたものを水に落として急冷する、というものです。いわゆる「涙型」のガラスができるのですが、これには面白い特性があるのです。
写真はWikipediaの「オランダの涙」のページより。
「涙型」のオランダの涙の尻尾の部分(溶けたガラスが液滴として滴り落ちる際、最後までガラス本体に接続していた部分です)をペンチなどで切断すると、あら不思議、オランダの涙の本体含めて全体が一気に木っ端みじんに吹き飛んでしまうのです。
私は高校生の時にこの実験をしたことがあるのですが、その理由は今ひとつ理解していませんでした。(実験の手引き書に何か説明があったはずだと思うのですが……まったく記憶にない。)でも、いま考えると溶けた状態から水に落ちて急冷されたオランダの涙には非常に大きな歪みと応力が蓄積しているのだ、ということが分かります。そこに亀裂が入れば歪みにたまっていたエネルギーが一気に解放されてオランダの涙はバラバラになってしまうのですね。
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