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「真空」の「真」ってなに?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 ここ最近「真空」についていろいろと語っています。前回の記事で「真空」という用語の定義がなんと周囲の大気圧より低ければ「真空」という程度の、まあ、なんというか、ゆるーい定義なのだ、という話を紹介しました。いや、さすがに違和感があるなあ。

 この違和感、「真空」という言葉に「真」がついていることが原因なのでは。いや、「シン」とか言われるとなんか特別感があるじゃないですか。ゴジラとかウルトラマンとかだってそうでしょ?それが大気圧の2割引きで「真空」とか、ちょっとねえ。

 さて、与太話はこれくらいにして、実のところなぜ「真空」なのでしょうか。「真」でない「空」ってなに?と考えると、それって「空気」ですよね。たとえばビンとかコップとかについて何も入っていない状態を空(から)だ、と表現しますが実際には空ではない。そこには「空気」が入っているわけです。

 空の(実は空気の入った)コップをひっくり返して水槽の水に押し込むと、「空」のはずなのにコップのなかに水が入ってゆくことはできません。なにも入っていないように見えるコップの中にも何かが入っている。それが「空気」なのですね。

 ここまで考えると「真空」の意味も分かってきます。「空気」すら入っていない、本当に空っぽな空間、それが「真の空っぽ」つまり「真空」なのでしょう。

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 とまあ、「真空」の「真」について理由を考えてみましたが、実際に「真空」という用語が作り出されて経緯はよく分かりません。でも「真空」という言葉自体は工学の発展に付随して導入される以前に仏教用語として用いられていたようです。「色即是空」など「空」は仏教では重要な概念ですよね。

 ついでに言っておくと「真空」は英語では"vacuum"です。これの語源はラテン語の"vacuus"だそうで、空虚な、といった意味だとか。いや、「真」はどこ行ったんだ?そして空気は皆さんご存じの"air"で、こちらの語源は古代ギリシャ語の「呼吸する」という意味の言葉だとか。英語では「真空」とは直接関係ないのです。

PS:皆さんは"vacuum"という言葉を始めて聞いたのいつだったか覚えていますか?私は多分「バキュームカー」という名称の一部として覚えたような……。

江頭 靖幸

 

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