「大気汚染」と「水質汚濁」(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
私は環境問題についての授業を担当しているのですが、その中では「公害問題」についても触れています。で、授業の導入として「皆さんの気になっている環境問題・公害問題は何ですか」というアンケートを行っています。アンケート前に「公害問題」についても少し話しているからでしょうか、アンケートの中には「温暖化問題」の様な環境問題の他に公害に関するトピックを挙げてくれる学生さんも少なからず。
「大気汚染」に「水質汚濁」、おや「地盤沈下」とは珍しい。それに「水質汚染」……えっ「水質汚染」!?
いや、水質は「汚染」じゃなくて「汚濁」だろう。そう思ったのですが、いや、ちょっと待て。なんで「大気」は「汚染」で「水質」は「汚濁」なんだ?
まず、そもそも自分はなんで「大気」は「汚染」、「水質」は「汚濁」だと考えているのだろうか?いつこの様な言葉使いを覚えたのか記憶は定かではありません。でも「大気汚染防止法」や「水質汚濁防止法」という法律の名称が示している様に、この組み合わせが、まあ「正しい」とされているのでしょう。
結局、なんでこの組み合わせなんだろう?あっ、僕こういうパターンは知ってるよ。英語を直訳してそうなってる、ってやつだよね。
と、思って調べたのですが「汚濁」も「汚染」も両方ともpollutionなんですよね。日本語の方がニュアンス豊富なようです。
さあ困った。こういうときはAIに聞いてみましょう。例の如くMicrosoftのCopilotに質問を投げると
なぜこの言葉の使い分けがあるのか?
これは、対象の性質と被害の捉え方によるものです。
- 水は「見える」「触れる」ものなので、まずは感覚的な汚れ(=汚濁)として認識されやすい。
- 空気は「見えない」ため、汚れの実態は化学的・物理的な分析によって明らかになる(=汚染)。
という解答が。
いや、そんなバカな。「水質汚濁」はその通りですが「大気汚染」が見えないってどうでしょうか?多くの場合、大気汚染の元凶は煙突からの煙、つまりばい煙ですよね。ばい煙は空気中を漂う微小な粒子で、あきらかに目に見えるもの。工場の煙なんて「大気汚濁」そのものだと思います。
正解が何か、どうやって調べたら良いのかも分かりませんが、おそらくこういうことではないでしょうか。火を燃やして煙が出る現象、つまりばい煙が発生する現象それ自体は公害が問題になるよりずっと以前から(それこそ人類が火を使うようになってから)知られています。煙はまさに大気の「汚濁」なのですが、それはそういうものとして人々の生活の中で許容されていたのですね。一方で、公害として新たに問題となってきた許容できない大気の汚れは「見えない」汚れ、すなわち汚染だ、と感じられたのではないでしょうか?
「日記 コラム つぶやき」カテゴリの記事
- 英文字略称(片桐教授)(2019.03.13)
- 地震と夏みかん(江頭教授)(2019.03.11)
- 追いコンのシーズンはご用心(片桐教授)(2019.03.07)
- Don't trust over 40℃!(江頭教授) (2019.03.06)
- 「加温」の意味は「温度を加える」?(西尾教授)(2019.03.04)





