新鮮な野菜と野菜ジュース(江頭教授)
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我々応用化学科では1年生の前期、グループワークで自分達で選んだ化学実験に挑戦し、その結果をポスター発表をする、という授業「フレッシャーズゼミ」があります。(もっともフレッシャーズゼミには他にもいろいろな内容がありますが。)
さて、先日人参ジュースを飲みながら、ふと以前のフレッシャーズゼミでの発表を思い出しました。その内容は「容器に閉じ込めた過酸化水素を分解させて酸素を発生させる。それによって容器の内圧が上昇。フタがぽん!と飛ぶ。」というものでした。
過酸化水素は 2H2O2→2H2O+O2という反応で酸素を発生させることは良く知られています。そう言えば僕自身もこどものころそんな実験をしていたっけ。そのときは薬局で二酸化マンガンを買ってきて触媒として使ったような記憶があるのですが、はてどうだったろうか。
レッシャーズゼミでの発表にもどると、この発表をしてくれたグループの諸君は野菜を使って過酸化水素を分解していました。いくつかの種類の野菜の中にはカタラーゼという酵素が含まれていて過酸化水素の分解を促進するのです。
発表した学生諸君が試した中では人参をすりおろしたモノが分解の効果が高く、すばやく「ポン!」となるそうです。
なるほど。そして彼らは人参ジュースについても実験してみたのですが……。
これがウンともスンとも言わない。人参ジュースでは過酸化水素を分解できないのですね。
すりおろした人参を用いたとき、過酸化水素を分解するのはカタラーゼという酵素でした。酵素、つまりタンパク質なので分解される、あるいは変性する程度でも活性を失うのです。市販の人参ジュースはおそらく加熱殺菌されていて、その際にカタラーゼも変性・失活してしまったのでしょう。
考えてみると当然なのですが、この実験は「新鮮な野菜」と「野菜ジュース」とでは違うのだなあ、ということを印象的に示すものだと思います。実験を発表した学生諸君もこれを機に「新鮮な野菜」を積極的に摂るようになった、かどうかまでは聞いていませんけどね。
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