「ナフサ」って知ってますか?(江頭教授)
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「ナフサ」って知ってますか?
この質問に「もちろん、知ってますが何か。」と答えられてしまうとこの記事はそこでお終い。いや、まあ、「知らない」という前提でお話させてください。で続きの質問ですが、
「LPガス」って知ってますか?
「灯油」って知ってますか?
「軽油」って知ってますか?
これらの質問に……、いや、無理でしょう。これは皆さんご存じですよね。
「LPガス」「灯油」「軽油」どれも燃料だ、という共通点がありますが、それ以前に「石油製品」として一括りにできます。石油というと「地面の穴から吹き出してくる黒い液体」という映画やドラマのイメージがありますが、それは「原油」のこと。これを蒸溜・分離して得られるのが「LPガス」「灯油」「軽油」そして「ナフサ」なのです。
さて、今回のポイントは「LPガス」「灯油」「軽油」に比べて「ナフサ」の知名度が低すぎるのでは、ということです。
図はJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の技術レビュー「石油精製技術と石油需給動向」より。
そもそも「ナフサ」ってなんでしょう?Wikipediaには
ナフサ(英語:naphtha)とは、原油を常圧蒸留装置によって蒸留分離して得られる製品のうち沸点範囲がおおむね30 - 180℃程度の炭化水素混合物である
との記述が。同様に軽油は
軽油は、原油を蒸留(石油精製)することによって得られる炭化水素混合物である。沸点範囲は180 - 350 ℃ 程度。
と紹介されています。両者の境目は沸点180℃にあるのです。つまり、軽油は常温常圧では液体。一方、LPガスはガスという名の通り「気体」です。なので、「ナフサ」は原油の蒸溜成分のうち、気体と液体との間にある成分ということになります。
液体ならば缶に入れて取り扱う。気体ならボンベが必要。でもその中間の扱いはちょっと分からないですよね。これは単なる想像なのですが、「ナフサ」の知名度が著しく低いのは、おそらくこの取扱の難しさが原因なのではないでしょうか?
LPガスや軽油、灯油はなにがしかの形で一般の消費者に購入されていますが、ナフサを購入するのはその扱いに習熟した企業のみです。要するに、BtoCの企業は有名になり易いがBtoBの企業は大企業でも無名、これと同じ理屈で「ナフサ」が無名なのだ、と私は思うのですがどうでしょう。
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