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「地球」環境問題とは?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 「地球環境問題」と言われたら、あなたはどんな問題を連想するでしょうか?「地球温暖化」や「オゾン層破壊」は定番ですよね。では「海洋プラスチック問題」はどうでしょう?

 これは立派な地球環境問題だ、と思う人も多いかも。たしかに世界の海は一つにつながっています。一つの国の起こした問題が世界中の国に被害を……いや、そんな事なくない?

 日本の国は海に囲まれています。外国のことを「海外」というぐらいで、国というもは何となく海で区分されているような気がしているのでは。でも、日本国内に「海のない県」(山梨県とか。海がないのに山なしとはこれ如何に。)がある様に、世界には海のない国、とうか海と接していない国もあるのです。

 イメージし易い国としてスイスを挙げましょう。スイスには少なくとも海洋プラスチック問題の被害国ではありませんよね。それに加害国だとも言い難い。いや、現代社会のプラスチック文明の一翼を担うスイスもその道義的責任を、なんて言い出したら何でもかんでも地球環境問題になってしまいます。工場の騒音震動や焼き鳥屋の悪臭も含めて「地球」環境問題だというのか!

 いやいや、極論を言う必要はありません。具体例として「酸性雨」を考えてみましょう。

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 酸性雨問題が「地球」環境問題と呼ばれることはほぼないでしょう。でも、世界の海と同じ様に世界の空もつながっています。一つの国が排出した硫黄分が他国に酸性雨を降らせる、というのはありふれた問題です。それに、海なし国はあっても空なし国なんてありませんよね。

 それでも酸性雨問題は地球環境問題とは言いません。なぜなら酸性雨の被害を受けている場所は排ガスの出される場所の近くに限られているからです。国境を超えて隣の国に影響する、その規模は確かに大きいですね。でも、二酸化炭素濃度がハワイから南極まで同じ様に増加している状況と比べるとやはり地球の一部に限定された現象なのです。酸性雨問題は国よりも大きく地球よりは小さい、敢えて言えば「国際」環境問題なのですね。

 最初に戻って「海洋プラスチック問題」はどうでしょうか。影響を受ける国が海を隔てた隣接していない国だ、という点で酸性雨よりも大きなスケールの現象に感じられます。とはいえ、世界の全ての海に同じ様な割合でプラスチックが存在する訳ではありません。そう考えると、やはり海洋プラスチック問題は「地球」環境問題というよりは「国際」環境問題なのだろう。私にはそう思えるのですが、皆さんは如何でしょうか。

江頭 靖幸

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