環境問題、今昔(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
最近、文系の学生を対象に環境についての概論の講義を担当することになり、公害問題から地球環境まで改めて見直す機会を得ました。現在「問題」とされていることが、自分が学生だったころ(40年、いや、50年くらい前です)と比べて様変わりしていることに改めて驚かされています。いまの世界、特に日本は本当に安全な国になっているなあ。
昔は「全面核戦争によって人類が滅亡する」と脅かされたものでしたが、冷戦終結により、その危険性は大幅に減少しました。人類を全滅させることが技術的には可能だったのだから人類史上最大の危機といって良かった。しかし、今では核戦争を差し迫った「問題」と感じている人は少ないのでは。
そして公害問題。「環境汚染で日本列島には人間が住めなくなる」などと脅かされたものでしたが、排ガス・廃水の処理への適切な投資と技術開発によって健康被害は激減。被害者ゼロの偽装事件でも食品会社がつぶれるご時世で「公害問題」という言葉すらめずらしくなっています。
「人口爆発」でも脅かされたが、今の問題は「少子化」だとか。国内の人口は減少が始まり、今度はこれが問題だ、といわれるのですが、日本の国土に一億2千7百万人が適正かと考えるともう少し少なくても良いように思われます。「少子化」が本当に問題なのかは議論の余地があるでしょう。すくなくとも「年金制度維持のため」が理由では拍子抜けですよね。
そういえば「氷河期が来る」という話にも脅かされたものでした。温暖化が大問題となっている今からみると冗談のような話ですが、小学生のころ真剣に心配した記憶があるのです。もっともその後の展開がまったく記憶にないところをみると、この話題はいささか根拠の弱い話だったのでしょう。
そうそう、「資源が不足する、エネルギーが枯渇する」と脅かされたものだが...。いや、これは今でも大問題。
現代文明社会が化石資源の上に成り立っていて持続可能ではない、という状態は基本的には変わっていません。オイルショックに伴って、エネルギー資源は有限だ、太陽光やバイオマスなどの再生可能エネルギーへの切り替えが必要だ、という認識が広がったのですが、2008年の石油価格高騰でも同様の問題提起が繰り返されました。我々は半世紀の時間をかけて、この問題の解決にどのぐらい迫れたのでしょうか。
さて、こうしてみると「エネルギー・資源」の問題がいかに大きな問題であるかが実感できると思います。持続可能な社会への切り替えがすすみ、次の半世紀でこの問題が解決されるのでしょうか?
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