幻灯機によるプレゼンテーション(江頭教授)
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ここのところプレゼンテーションの手法についての記事を書いているのですが、今回はスライド映写機によるプレゼンテーションの話をしましょう。
スライド映写機って、要するにスライドプロジェクターのことですよね。そんなの知ってますよ。
と思われた人もいるかも。いや、これは言い方が悪かったですね。ここはスライド映写機ではなく、敢えて「幻灯機」と呼びましょう。英語で言えば「magic lantern(魔法の灯火)」。なんか急にプレゼンテーションからとは違う世界に入ってしまいます。
幻灯機とは17世紀にドイツで発明された機械。ガラス板に書いた絵に強い光を透過させレンズで拡大してスクリーンに映写する装置です。なんというか”動かない映画”というのでしょうか。いや、幻灯機は写真より前に発明されていましたから実写映画ではないですね。”動かないアニメ映画”というべきでしょう。何にしてもこれは小さな画像を拡大して皆で見ることができる装置なのです。プレゼンテーションに利用するにはもってこいですよね。
幻灯機は後にプレゼンテーション用に改良され「ガラス板に書かれた絵」は写真のフィルムを現像したものが利用される様になりました。実際に紙に書いた図や文章を写真にとり、そのフィルムを使用するわけです。これでガラス板に絵を描く、という作業は不要に。普通に書類を作ればそれを拡大投影して皆でみることができるのです。
写真のフィルムは、本来は連続してリールに巻かれているのですが、これを一画面ずつに切断する。ついでに、周りを厚手の紙のフレーム(後にプラスチック製もあり)で囲うと、取扱はぐっと容易に。フレーム入りの写真を手動、あるいは自動で切り換えて一連のスライドを切り換えながら拡大投影する、というスライドショー形式が完成したのです。
さて、私はいま62歳なのですが、その私が最初に発表した当時、幻灯機タイプのスライド投影機は広く利用されていました。そう、私は実際にこの幻灯機でプレゼンテーションをした記憶があるのです。
Wikipedia 「スライド映写機」より CC 表示-継承 3.0, リンク
さきほど「原稿の書類を用意し、写真にとってスライドをつくる」と説明しました。スマートフォンなどなかった時代のことですから写真をとるには写真機が必要です。さらに正確に真上から歪みなく写真をとる、となれば原稿の上にカメラを固定する複写台という器具が必要になります。もちろん、こんな機器を普通の人は持っていませんから、写真の撮影、それに現像と切断、フレームへのはめ込みまでを含めて写真店に依頼することになります。
写真店に原稿を持ち込んでスライドの作成を依頼する。これをプレゼンテーション前に行う必要があるのです。当然ですが依頼してすぐに出来上がるものでもありません。あとで完成したスライドを受け取りに行く必要もありました。かなり手間がかかる上に、時間も必要でした。「あそこの写真屋さんは翌日には仕上げてくれるよ」などと先輩から教えてもらいながら、発表に間に合うか、ヒヤヒヤしながら準備をしたものでした。
これ、今と違ってプレゼンテーションのかなり前に発表用のスライド(の原稿)を完成させておかなければならない、ということですよね。何と不便なことか、と思われるかもしれません。いや、私もそう思っていました。
でも、今思い返してみるとスライド原稿を写真店に持ち込んだあと、発表までにそれなりの空き時間ができるのです。この時間こそ、発表練習に最適なタイミング。当時の私の発表は、この「強いられた」余裕の時間のおかげでほんの少しだけ聞きやすいものになっていたかもしれません。
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