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東京工科大学のスーパーコンピューターが「TOP500」に入りました(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 本学の「授業点検」という制度についてこちらの記事などでも紹介しています。今回、この「授業点検」で本学工学部電気電子工学科の「計算機工学」という授業を見学する機会がありました。授業開始早々、いわゆる「つかみ」として出てきた話題が表題の、本学のスーパーコンピューターが「TOP500」入りした、というニュースでした。

 TOP500というサイト、私は今回初めて知ったのですが、世界のスーパーコンピューターの性能比較をして順位付けしているそうです。その中に本学もランクインした、というのですから大したものだなあ。あっ、でもこのランキングは自己申告制だとか。ランキングに興味のない強豪スーパーコンピューターが世界のどこかに隠れているかもしれないそうです。

 つかみはOK、ということで実際の「計算機工学」についての解説がスタート。これがめちゃくちゃ面白い!計算機、つまりコンピューターの内部構造についての解説なのですが、昔PCの自作に凝っていた身としてはなつかしい名称やあるあるネタがたっぷり。ああ、ぼくも800Mバイト(ギガじゃなくてメガだよ!)の「大容量HDD」を買った覚えがありますよ。

 てな感じで夢中になっていたのですが、先生の「このなかでPCを自作したことのある人は手を挙げてください」という質問で我に返りました。100人弱の授業で2~3人しか手が上がらないのです。応用化学ならともかく、電気電子でもこの程度なのか。

 ちょっと待てよ、この授業、今の学生さんにはどう見えているのだろう。自分がPCを自作していたころ、新しいPCを作ったとき、その性能の向上が素直に嬉しかった記憶があります。いえ、自作でなくても「新しいPC」は「より高性能なPC」とイコールでした。そのころの私達は高性能なPCに憧れていた。つまり、自分の手元のPCの性能にいつも不満を抱えていたのです。コンピュータの利用のボトルネック、一番不足しているものはハードウェアの性能だった、ということです。

 では、今の学生さんたちはどうなのでしょうか。PCは速さより何ができるかが重要だ。PCの性能が向上すると、こんなことが言われるようになりました。充分早くなったPCでネットの向こう側で用意されたサービスを利用する。そんな利用形態が今の学生さん達の日常なのでしょう。

 つまり、「計算機のパワーはネットの向こうで誰かが準備してくれるもの」というのが今のビジョンなのです。では、これはいつまで持続するのでしょうか。私の世代が経験したような変化が再び起こることはないのでしょうか。

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「まあ、ないんじゃない。」なんて書いたら「そこで試合終了です」よね。

 というわけで、少し真剣に考えてみましょう。昨今、なにかと話題のAI、とくに生成AIなどは非常に大きな計算能力を必要としている、ということが話題になっています。計算能力に付随して必要となるエネルギーへの需要は各国のエネルギー政策に影響を与えるレベルだ、とも言われているのです。つまり「ネットの向こうで誰かが準備してくれる」ものと見られている計算能力という資源が、再び「コンピュータの利用のボトルネック」になりつつあるのですね。

 SNSや動画配信、音楽サブスクと同じような気持ちで利用している生成AIですが、いずれ無料モデルで充分な計算能力を提供することは困難になるでしょう。生成AIを限られた資源で細々と利用するのか、それとも必要に応じて十分な計算能力を利用出来る体制を準備するのか。本学のスーパーコンピューターはそんな状況を見越して導入されている、ということですね。

江頭 靖幸

 

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