なぜ学生実験に「独自の視点」が必要か(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
応用化学系に限らず、工学系の大学に入学すれば「学生実験」(この通りの名前ではないかもしれませんが)は必ず通る道だろうと思います。実際に手を動かして実験することはもちろん重要で必要なことです。でもそれだけでは不充分。学生実験ではレポートの作成も必要です。
いや、学生実験でやるテーマなんてもう何万回も実施された実験でしょう?結果は分かりきっているのになぜ報告書(レポート)が必要なの?
そう思う人も居るかもしれません。でも実際の研究を始めたらレポートの作成も実験の実行と同じくらい重要です。レポートの作成も学生実験で行う研究者になるための訓練の一部なのですね。
ということで、本学応用化学科の学生実験でもレポートの作成は必須なのです。学生さんの中には、このレポート作成に苦労する人もいる様子。話を聞いてみると
実験の手順や結果の整理は指示通りにできるけど、考察には何を書いて良いのか分からない
とのこと。なるほど。考察についてはテキスト中にいくつかの例を示してはいるのですが、評価については「独自の視点」で考察を書くことを推奨しているのです。学生実験はそれこそ「何万回も実施され」ているのですから今更独自の視点もなにも……と言いたくもなりますよね。
そんな学生さんに対する私のアドバイスは「実験をよく見ろ」です。教員としては、実験をよく見て独自の気づきを得て欲しいのです。ここで、何をすれば良い、とアドバイスしたら独自ではなくなってしまいます。
学生実験はなぜ本物を使って実施されるのか。それは「本物」にはいろいろな見方・見え方があるからです。
実験とは複雑な自然の現象を私達が理解し易いように条件を整えて単純化したものだ、といえるでしょう。とはいえ、その単純化は一つの側面(それが実験の「目的」なわけです)に沿って設定されたのであって、たとえ「何万回も実施され」ている実験であったとしても、その単純化からはみ出した部分があるはずなのですよね。その部分が見える・見えないの結果は別として、見える可能性がある、ということが本物を使って実験することの意義なのです。
学生実験の対象になっているような初学者にそんな高度なことを要求しても……。それも一理ありますが、でも初学者の時にスタートしないでいつスタートすればよいのでしょう?
PS:「いらすとや」さんはよく利用させて頂いていて感謝しているのですが、今回のイラストはいただけないかなあ。こんな実験をするなら保護めがねが必須です。それにこのマスクはなに?有害な気体がでるならこんな装備では大丈夫じゃなくて問題だらけ。ドラフトで実験すべきでしょう。いや、この人は風邪を引いているか、花粉症なのでしょうか。
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