暖房と一酸化炭素中毒(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
昨日の記事ではストーブをつかった暖房による一酸化炭素中毒の危険性について議論しました。昔(高度経済成長以前)の建物にくらべて新しい建物は気密性が向上した。それ自体は良いことだが、気密性がよくなりすぎるとストーブの不完全燃焼で一酸化炭素中毒の危険がある、という内容でした。
では、2025年の今現在、このタイプの一酸化炭素中毒の危険性はどの程度なのでしょうか。そう言えば、前回の話のきっかけになった「ときどき部屋の換気をしましょう。」というCMはとんと見なくなった気がしますが、大丈夫なのでしょうか。
大丈夫だ、問題ない。だって、今の暖房器具はエアコンが主流でしょう。以下のデータ(資源エネルギー庁の「エアコンディショナーの現状」という資料からの引用です)は少し古いですが、2018年の時点で家庭用エアコンの普及台数が1億2千万台超と推算されています。一家に一台、どころか一人一台の勢いですね。
このブログを読んでいるあなたがもし高校生くらいの若い人なら、この「エアコン」が昔は「クーラー」と呼ばれていたことを知らないかもしれません。エアコンは当初、冷房機能に限定されたクーラーとして家庭に導入されました。
電気の動力によって温度の低いところの熱を温度の高いところに移動させる機械、つまりヒートポンプがこのクーラーの実態です。夏の暑い時期に部屋の空気から熱を奪って温度の高い外気に放出する。暑い夏を涼しく過ごすことを可能にしたクーラーは瞬く間に多くの家庭に導入されました。
やがて夏にだけ使用されていたクーラーは冬にも利用されるように改良されました。ヒートポンプを逆転させて冬の冷たい外気から熱を吸収し、室内に放出する、つまり暖房用の器具としても利用できるようになったのです。このヒートポンプの機能はクーラー(冷やす者)だけではありません。ヒーター(温める者)としても活躍できるエアコンディショナー(空気調整者)すなわちエアコンになったのですね。
電気で動くエアコンはもはや室内の酸素を消費することはありません。もちろん、一酸化炭素も出さないのです。
ちなみに、エアコンによる暖房にはエネルギー効率が高い、というメリットもあります。電気を熱に変えるだけではなく、屋外の熱もまた暖房のために有効利用されるのですから。
もしエアコンのメリットが高いエネルギー効率、つまり省エネだけだったとすればこんなに広く行き渡りはしなかっただろうと私は思います。暑い夏の間に一度でもクーラーの効いた部屋を体感すれば誰もがクーラー、後のエアコンが欲しくなったに違いありません。その証拠に比較的夏が涼しい地域、日本なら北海道、海外ならヨーロッパの北部ではエアコンの普及が進んでいない、という話を聞きますよね。
「日記 コラム つぶやき」カテゴリの記事
- 英文字略称(片桐教授)(2019.03.13)
- 地震と夏みかん(江頭教授)(2019.03.11)
- 追いコンのシーズンはご用心(片桐教授)(2019.03.07)
- Don't trust over 40℃!(江頭教授) (2019.03.06)
- 「加温」の意味は「温度を加える」?(西尾教授)(2019.03.04)





