熱の伝わり易さ、電気の伝わり易さ(江頭教授)
| 固定リンク 投稿者: tut_staff
少し前の記事なのですが物質毎の「熱の伝わり易さ」についてこちらの記事で紹介しました。「温度勾配 1℃/m に対して1秒当たり1J(つまり1W)の熱が 1 m2 当たりに流れるような物質の熱の伝わり易さ」を「熱伝導度が1 W/mK だ」と表現するのですが、この基準でいろいろな物質の「熱の伝わり易さ」つまり「熱伝導度」を調べると0.01未満から1000を超えるところまで実に5桁、10万倍以上の変化を示す、という話です。
素直に数字をみて「すごく大きな変化を示すのだなあ」などと思って頂ければそれで何の問題もないのですが、はて、他にもっと振れ幅の大きい物性値はないのでしょうか。
例えば電気の伝わり易さ、電気伝導度はどうでしょうか。世の中には「導体」「絶縁体」という分類が知られていますが、両者はどのくらい違うのでしょうか。
物性値としては電気の伝わりやすさである「導電率」(つまり「電位勾配1V/m に対して1Aの電流が1m2当たりに流れるような物質の電気の伝わり易さ」)ではなく、伝わりにくさの指標である「抵抗率」(「導電率」の逆数)が用いられるのが普通だそうです。その抵抗率でみると、たとえば電気を通しやすい物質(「導体」)の代表である銅の抵抗率は 1.68×10-8 Ωm 程度だとか。 その銅で作られたケーブルの被覆としてよく使われている絶縁体のポリ塩化ビニルの抵抗率は1010~1013 Ωm のレベルだそうです。その差は18桁から21桁。(「100京倍から10垓倍くらい」といってもほとんど実感がわかないですね。)とんでもないレベルでの違いなのですね。
さて、ここで想像をたくましくしてみましょう。熱の伝わり易さにも電気並みに18桁から21桁の差があったとしたらどうなるのでしょうか。
例えば銅にくらべて18桁から21桁熱が伝わりにくい材料がポリ塩化ビニル並みに安価に入手できたとしましょう。銅をその物質で包んだケーブルは「伝熱」ケーブルとして利用できるのでは?
つまり、温かい部屋と寒い部屋をケーブルでつなぐと熱が流れてくれるのです。いや、部屋どうしをつなぐよりも町中の「電線」と併設して「熱線」を張り巡らせたらどうでしょうか。「熱線」ネットワークの中央には「電線」ネットワークと同じく発電所をおきましょう。発電で余った余熱を「熱線」ネットワークで各家庭に配るのです。家に帰ってきて「寒いなあ」と思ったらエアコンをつけるのではなく、「熱線」からエネルギーをもらえばよいのですね。
ここまでは「熱」の「電気工学的な利用」ですが、これ以外に「電子工学的な利用」もありうるかも。例えば「熱メモリ」とか「熱演算回路」とか。もっといって「熱コンピュータ」とか、どうでしょうか?
もう一声。熱スマホはいががでしょうか。蓄電池、じゃなくて、蓄熱器が重要技術になるかも。充電が切れるのではなくて「あーっ、僕の熱スマホ、冷めちゃったよ。」とかね。
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