推薦図書

世界の人々の暮らしがわかるWEBサイト「Dollar Street 」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 世界の人々を「豊かな人と貧しい人」に二分するのは間違いだ。世界は急速に豊かになりつつあり、いま最も多いいのは中間の人たちだ、として世界の人々の生活を生活を収入に応じて4段階に分類する。これは以前紹介した「ファクトフルネス」の著者であるハンス・ロスリング博士が提案した考え方です。

 では、世界のそれぞれの経済レベルの人たちはどんな生活をしているのでしょうか。それを視覚的にわかりやすく示してくれるのが今回紹介する「 Dollar Street 」というサイトです。

 サイトのページには通り(ストリート)が描かれています。この通りの右側には収入(ドル基準です)が低い人が、左のほうには収入の高い人が住んでいると考えてください。このサイトでは日常生活のなかのいろいろな写真が収入順で4枚表示され、その収入のストリート内での位置がハイライトされます。写真には住まいの様子、家族のポートレート、家庭で使う道具など、本当にいろいろなものが写っています。その写真を見比べながら豊かな人、貧しい人、そして中くらいに人の生活を想像してみよう、というのがこのサイトの趣旨なのです。

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豊かな人、貧しい人-推薦図書「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」追記(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 先日こちらの記事で紹介した推薦図書「FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」、私の意見ばかりで本の内容の紹介がおろそかになっている様にも見えますので、今回はこの「ファクトフルネス」の印象深い内容について紹介しましょう。

 本書では我々の「世界は分断されている、非常に豊かな先進国と極めて貧しい途上国だ」という見方は「分断本能」によって作り出される思い込みである、としてよりリアルな世界の見方として世界の人々を収入毎の4階層に分ける見方が紹介されています。

 世界には非常に豊かな人と極めて貧しい人がいるのは事実なのですが、実は世界のほとんどの人はその中間にいる。2017年では非常に豊かなひとは約10億人、極めて貧しい人も約10億人だといいます。のこりの50億人はその中間にいる。この中間層を収入の上下で分けて四階層です。

 一番貧しいレベル1の人たちの収入は一日平均2ドル以下。(この金額は購買力平価で補正されています。)最低限の工業製品しか入手できないこの人々の暮らしはリアルな死の危険も覚悟する状態です。これが我々が漠然と描く「極めて貧しい人」のイメージに地番近い暮らしでしょう。この人達が世界に約10億人います。

 2番目のレベル2の人たちの収入は一日平均8ドルまでです。このレベルでの生活はそれなりの工業製品を入手していて、不安定ながら電気や水道のインフラにもアクセスできます。確かに貧しいのですが死の危険を意識することはありません。ただし、天候不順で凶作がつづけばレベル1の生活に逆戻りする可能性もあります。このレベル2の人たちは世界に約30億人います。世界で一番多いのはこのレベル2の人たちなのです。

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推薦図書 ハンス・ロスリングほか「FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 以前「世界が良くなっている事を示す すごい 映像」と題してこちらの映像を紹介しました。世界の200以上の国の人々の平均寿命と平均年収の200年間にわたる変化を4分間に凝縮したもので、「世界が良くなっている事」が分かり易く示されています。

 さて、この映像をBBCと協力して作成したのがハンス・ロスリング博士。スウェーデン出身の医師であり公衆衛生学者であり、今回紹介する「ファクトフルネス」の主著者です。

ハンス・ロスリング, オーラ・ロスリング, アンナ・ロスリング・ロンランド 著

上杉 周作, 関 美和 訳

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣(日経BP 2019)

 以前発展途上国、あるいはもっとあからさまに後進国と呼ばれていた貧しい国々の多くは今や大きく変革を遂げて豊かになりつつある。世界はこんなにも良くなっているのに多くの先進国の人々の意識はアップデートされずにいまでも世界の大半の人々が飢餓と隣り合わせの極貧生活に喘いでいると考えている。事実(ファクト)に目を向けず思い込みにとらわれているのは普通の人々に限らない。先進諸国の指導的な立場の人々もこの思い込みから自由ではないのだ。

 この問題意識は先の映像と同じです。しかし、この映像の様な教材による知識のアップデートを試みた後にハンス・ロスリング博士は「やがて知識のアップデートだけが問題ではないことに気づいた。」と言います。人々の心に「思い込み」が刻み込まれているのは単に新しい情報に接していないからではない。ものの見方に固有の傾向、本能のようなものがあり、それが正しい知識の受け入れを拒んでいるのだ。「ドラマチックな本能と、ドラマチックすぎる世界の見方」が偏った世界への思い込みを固定化している。このような思考の本能をただすための心得、それが「ファクトフルネス」なのです。

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教科書「サステイナブル工学基礎」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 本学工学部の特徴の一つ「サステイナブル工学」の教育です。「サステイナブル○○」は最近各方面で聞くようになりましたが、工学と組み合わせた「サステイナブル工学」はまだあまり一般的にはなっていないように思います。

 さて、この「サステイナブル工学」教育ですが、授業としては2年生前期の「サステイナブル工学基礎」からスタートします。今回紹介する教科書「サステイナブル工学基礎」はこの授業で使用する教科書として作成したものです。

 ここで「サステイナブル工学基礎」の内容が以下にすばらしいかを説明したいところなのですがちょっと気が引けます。だって、私(江頭)も著者の一人に入っていますからね。

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「安全工学」の講義 番外編(図書紹介)(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 2年生の講義「安全工学」担当の片桐です。今回は安全工学関係の図書紹介です。

 紹介する図書は、松永和紀「メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学」光文社新書(2007)です。

 私の「安全工学」あるいは前の大学での「環境安全化学」「安全化学」「工学安全教育」を受講された方は、片桐があえて社会常識は通念に反する事象を示し、それを考えさせていたことを憶えていらっしゃると思います。

 例えば、カーソンの沈黙の春がマラリア禍の再燃を招いたとか(ブログ2016.04.26)、二酸化炭素の増大は食料危機を防いでくれるかもしれないとか、農薬を使わない有機農法の野菜の天然農薬の危険性とか(ブログ2016.04.28)、イソフラボンは体に悪いこともあるとか、ポリ塩化ビニルは地球にやさしいとか(ブログ2015.12.08)…まあ、過激な意見をあえて示してきました。もちろん、私自身もそのような私の示す「意見」を異端として示し、学生さんたちには必ず疑ってかかることを要求します。私の講義では社会常識や通念を改めて安全−危険の俎上に乗せて、学生さんが「自分で取材し直し、自分の頭で考え、自分の意見を(レポートで)表明する」ことを求めたわけです。それと同時に、絶対的正義も悪もないことの理解を求めています。

 今回紹介するこの図書は、そのような社会通念に対する反論をまとめたような本です。著者の方は農学の修士課程の後に新聞社に勤められ、その後フリーの化学ライターになられた方です。

 この本に書かれた内容は、「事実」をもとに、そのようなニセ科学を生んだ社会構造にまで分析し,述べています。メディアのありかたへの批判、メディア・リテラシーの啓蒙書でもあります。今回、遅ればせながら私はこの本を読んで、講義に使えるネタをまたたくさん見つけることができました。

 しかし、人は自分の意見に真っ向から反対する意見、あるいは自分の利益を害するような意見を快く思いません。この本は社会の通念に反対している時点で、良書であっても売れない(売れなかった)本であろう、と推察します。

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映画「不都合な真実2」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 「不都合な真実2 放置された地球」は以前に紹介した2006年の映画(そして書籍)「不都合な真実」の10年後の続編です。米国のクリントン政権での副大統領だったアル・ゴア氏が地球温暖問題について語る講演会の映像を軸に、講演で触れられた場所の映像やゴア氏自身の現在の活動、過去の回想を交えて「不都合」ではあるが「真実」である温暖化問題について啓発する、この構成は約10年後の続編であるこの映画でも共通のものです。

 しかし、10年前の「不都合な真実」では新たな問題を指摘し、人々が解決のために活動することを訴える、というシンプルな流れであったのに対し、この続編の話の流れは少し複雑です。前作で説明された温暖化のメカニズムなどは当然ながら省略されています。10年の間により明確になった温暖化の影響を示す映像は雄弁ですが、内容自体は10年前に予測されていたことと変わりはありません。そのため、本作で新たに語られるのはゴア氏自身の、そしてゴア氏に共感して動き始めた人たちの活動なのです。

 「不都合な真実」で有名になったゴア氏ですが、大統領選における不本意な敗北の後、この地球温暖化問題についての啓発活動を本格的に始動させます。世界中に人たちに呼びかけるため、自分に代わってプレゼンテーションを行える様な「気候リーダー」を育成する活動。自身の経歴を活かした世界各国の要人との対話など。パリ協定の成立の場面はこの映画のハイライトとなっています。

 しかし、その後のトランプ政権の誕生により米国政府の温暖化対策は大きく方向転換します。そして、失意の中でも希望を失わないゴア氏の姿でこの映画は幕となります。

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映画「不都合な真実」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 「不都合な真実」はアメリカのクリントン政権時の副大統領、アル ゴア氏の地球温暖化に対するキャンペーンを中心としたドキュメンタリー映画です。講演で観客に語りかけるゴア氏の姿、世界各地で起きている温暖化の影響についての印象的な映像、ゴア氏の個人的な回想を織り交ぜて地球温暖化の危機を理解させ、対応を促す内容となっています。

 ゴア氏が副大統領を務めた期間は1993年から2001年まで。京都議定書の採択が1997年ですから、彼の任期中に地球温暖化問題へ関心が高まった事がわかります。実のところ、ゴア氏は地球温暖化問題へ関心を高めた立役者の一人であり、2007年にはその功績でIPCCとともにノーベル平和賞を受賞しています。

 この映画でのゴア氏の温暖化問題についての説明は、彼が学生時代に教授から見せられた大気中の二酸化炭素濃度の上昇についてのグラフから始まっています。現在では広く認められている人為的な温室効果ガス(主に二酸化炭素)の排出による地球環境の変動、温暖化ですが、当時は懐疑的な人も多くいました。その状況でこのデータを最初に示している点、「わかっているな」と感じます。二酸化炭素の放出から温暖化まで、その因果関係にはいくつものステップがあり、確実性の高いものと低いものがあります。その中で地球の大気中の二酸化炭素が増えている、という事実は特に確実性の高いものです。

 映画という媒体の特性でしょうか、やや映像で煽るような場面もありますが、それでも落ち着いたトーンで分かり易く温暖化のメカニズムとその影響について説明した内容は2006年の公開から10年以上経過した今でも充分通用する内容だと思います。

 

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推薦図書「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」(江頭教授)

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河合 雅司

「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書)」

講談社(2017)

 戦後のベビーブームを起点として増加を続けていた日本の人口ですが、2008年にピークを迎え、今は減少に転じています。本書は人口が減少してゆく将来の日本で起こると予想される事象を年表形式でまとめたものです。具体的な年と事象を並べることで、日本社会の未来をよりはっきりとイメージすることができるようになっています。

 未来に起きる事象、具体的には

2021年 介護離職が大量発生する

2027年 輸血用血液が不足する

2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる

2039年 深刻な火葬場不足に陥る

2042年 高齢者人口が約4000万人とピークに

など、現在の延長上で考えられる事柄からスタートして、「えっ、そんなことが?」と思う様なことまで、ずらりと並んでいるのです。

 ここで予測されていることは、現在既に生まれて暮らしている人が年をとることによって生じる事象です。今から本格的な少子化対策を行い、成果がでたとしても少なくとも18年の間、生まれてきた子供は働くことはできません。ですからこの年表は、ほぼ確実に起こる事態、すでに決定した未来だと言えるでしょう。

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推薦図書「「健康食品」ウソ・ホント 「効能・効果」の科学的根拠を検証する」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

高橋久仁子 著

「健康食品」ウソ・ホント 「効能・効果」の科学的根拠を検証する (ブルーバックス)

講談社(2016)

 先日、「代替医療の光と闇 魔法を信じるかい?」という代替医療の問題点を取り扱った本を紹介しましたが、今回紹介する本は「健康食品」の問題点を指摘したものです。

 この本で取り扱われている「健康食品」は、具体的には「トクホ」や「機能性表示食品」など、体に良いと表示をつけて売られている食品のこと。これらの「健康食品」は本当に体に良いのか、きちんとした根拠があるのだろうか、という問題意識がこの本の出発点です。

 そもそも、医薬品などのいわゆる薬は勝手に販売することはできません。その薬が安全で医薬品として効果があることが実験的に確認され、製造方法も適切であることを示し、許可をとってはじめて医薬品として販売し、その薬の効果を宣伝することができます。

 その一方で「健康食品」は薬ではありませんから、効果を確認する必要はありません。その代わりに医薬品の様な効果を謳った宣伝は出来ません。でも、これでは「健康食品」を売り込むのは難しい、ということである程度「健康食品」の効果を確認した上で、ある程度の宣伝を認めよう、というのが「トクホ」などの考え方です。

 問題は「効果の確認」と「宣伝」がそれぞれどの程度なのか、「宣伝」と比べて「効果の確認」がお粗末なのではないか。ということで実際の商品の宣伝内容とその根拠となった研究の内容を照らし合わせて検証する、というのが本書の中核となっています。具体的な商品名と宣伝に使われている図表などを示しながら、実験データが如何に頼り無いものか、宣伝が如何に誇張されいているかをこれでもかとばかりに示されていて、なかなか圧巻です。

 特に、広告で使われるグラフと対比して論文中のデータをそのまま著者がグラフ化したものを示す、という手法が何回か用いられています。グラフの作り方によってデータの見え方が違うこと、頭では理解しているつもりですが実際に目にするとハッとさせられます。

 「健康食品」の過剰な宣伝に惑わされないよう本書をおすすめします。

と書いて終わりたいところなのですが、もう少しだけコメントしたいことがあります。

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推薦図書「代替医療の光と闇 魔法を信じるかい?」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

ポール・オフィット著

「代替医療の光と闇 魔法を信じるかい?」

ナカイサヤカ訳

地人書館、2015年

 「代替医療」とは我々が普通に病院で受けている医療とは異なった医療のことです。病院で受ける療法は大学の医学部を中心とした研究機関からスタートし臨床試験によって有効性が検証されたもの、特に病院で処方される薬は薬機法に基づいた有効性と安全性の審査をパスしたもので成り立っています。「代替医療」はその枠組みから外れた療法や医薬ですから普通に考えれば信頼性が低い医療のはずです。にもかかわらず、代替医療に頼る患者(とその家族)が後を絶たず、一方でその患者たちからお金を吸い上げて巨万の富を築く者たちがいる、本書はアメリカでの代替医療をめぐる状況について豊富な事例に基づいて分かり易く解説しています。

 普通に考えれば代替医療が信頼できないことは明かです。しかし、病気になっている患者、とくに通常の医療では回復が望めない状態の患者やその家族は既に「普通に考える」ことは出来なくなっています。病院で「治らない」と言われた患者は藁にもすがる思いで「治る」と言ってくれる人を探すことになりますが、代替医療を提供する者達の中にはその状態を利用して多額の費用を請求する者がいるのです。結果、患者は回復することはない、それどころかその代替医療自体が有害なことさえあるのですが、支払われた費用が返還されることはありません。

 結果、代替医療はビックビジネスとなり、大々的な宣伝で通常の医療への不安をあおり、多くの人々の健康に悪影響を与えながら成長を続ける。患者を犠牲にして集めた資金で今度は政治を動かし、人々を守っていた医療に関する規制に抜け穴をつくりはじる。本書が扱っているのはアメリカでの状況ですが、これは日本にも通じるものがあるといいます。

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