研究テーマ紹介

乾燥地に植林する方法(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 オーストラリアの内陸部の沙漠で、どんな工夫で「木が生えない」ところに「木を植え」て、「木を育てる」ことが出来たのか、前回の記事はそれが引きになっていたので、今回はその説明編です。

 植林実験の対象とした場所は西オーストラリアのパースから600kmほど内陸に入ったレオノラという町の近くでした。

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 この辺りは平均の降水量は東京の約1/7と少ないのですが、ときどき内陸に迷い込んできた台風でドンと雨が降ることがあります。しかし、この地域の地面は地表のすぐ下にハードパンと呼ばれる硬い土の層があって、せっかくの雨水も土にしみこまずに洪水となって塩湖にながれて、そこで蒸発してしまいます。

 そこで、このハードパンにドリルで穴をあけて、爆薬を詰めて爆破しました。爆破した後には直径3メートルぐらいでバラバラに砕かれたハードパンと土がつまった穴が出来ます。この穴に木を植林するわけです。

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 そして、穴をたくさん作り、その周りをブルドーザーでつくった土手で囲んで洪水で流れてくる雨水を集める。こんな手法で植林を行ったのです。

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炭素固定に役立つ植林とは(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 昨日の記事では「森林火災が起こって二酸化炭素が放出されても、もう一度樹木が成長すれば同じ量の炭素が固定される」という話を書きました。この要約の後半、樹木が成長すると大気中の二酸化炭素が固定されて減る、という点に注目してみましょう。つまり植林による二酸化他の固定というわけですね。

 森林火災で植生が失われた土地に植林をするのはどうでしょうか。今までも木が育っていた場所ですから巧く木を育てることはできるでしょう。でも、このような土地では自然の状態でも木が生えるはず。その速度を早くするのが植林という位置づけで、無駄とは言いませんが長期的に考えると育った樹木が丸々プラスになるわけではありませんね。

 では森林火災以外の理由で植生が失われた土地を植林したらどうでしょうか。産業革命以降に大気中に放出された炭素、実は化石燃料の燃焼だけではありまあせん。大気中に放出された炭素の約3割が土地利用の変更、つまり「森林を切り開いて農地にした」とか「この町は昔は鬱蒼とした森林だったんだよ」とかが原因なのです。

 じゃあ農地をつぶして植林しましょう、とか、街を植林のために明け渡そう、ということになるでしょうか。いくら何でもそれは無理でしょうね。

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なぜ農場に木を植えるのか(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 オーストラリアへの出張のお話を続けましょう。前回、農場の中に造った植林サイトのドローンによる映像を紹介したので、今回はそもそも「なぜ農場に木を植えるのか」について解説したいと思います。

 まず、下の画像は件の植林サイトのGoogleEarthによる映像です。写真中、道路が左下から右上に通っているのが分かると思います。私達の植林サイトはこの道の図中で下側(南側)の中央付近に造られています。(GoogleEarthにはまだ反映されていません。)

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 この植林サイトの道路をと横切って上側(北側)に写真で色が変わって見える場所が見えると思います。この場所の状況が下の写真です。

 

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植林サイトから道路に向かってやや傾斜があり、その谷間がこの写真の場所です。水が集まっているのですが同時に塩害も起こっていて木が枯れしまったのです。

 農場のなかの高度が低い部分に塩水がたまりはじめて塩害が起こる、しかもその塩湖が大きくなる傾向がある、という現象はこの西オーストラリアでは大きな問題となっています。

 低い場所に水が集まるのは分かるとして塩はどこから来るのでしょうか。この現象はオーストラリアが開拓されたとき森林を伐採して農場に作り替えたことが原因だと言われています。

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「沙漠緑化を設計する」ということ(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

沙漠の緑化、あるいは沙漠での植林を設計する、という表現はいまのところ一般的ではありませんが、沙漠への植林によって何かの効果、たとえばエネルギー源としてのバイオマスの取得やCO2の固定、を期待するのであれば、その目的を達成するために具体的に何を行うかを計画すること、つまり設計することが不可欠となります。

 沙漠での植林も一般的な植林と同様の部分、つまり植栽密度を適切に設定して樹木を植える、という意味での植林が前提となります。さらに、樹種の選定と苗木の確保が必要であり、加えて適切な水源からの水の供給、適切な排水経路の整備、土壌改良、場合によっては流砂の固定などの土木作業といった性質の違う作業を組み合わせて行うものとなります。最適な成果を上げるためには現地の状況や植栽後の気象の経過などに応じて適切な対応を続けることが求められるでしょう。そして広大な土地に、すくなとも十年、長ければ数十年やそれ以上の期間で森林が維持されることが期待されています。

 このような理想的な乾燥地植林を想定するとはできます。しかし、一般的な機械産業・素材産業など工場における生産システムや、非乾燥地での農業と比べて、沙漠緑化には固有の難しさがあると考えられます。

 

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「大学の学びはこんなに面白い」の取材を受けました(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 「大学の学びはこんなに面白い」というのは本学WEBサイトのコンテンツです。応用化学科に限らず、本学のいろいろな学科・学部の先生が自分の研究・教育について語るのですが、専門のライターの方とインタビュー形式で記事を作成しているのがユニークな点です。大学の先生はどうしても専門的な知識を前提とした話し方になりがちですから、わかりやすい記事を作るためのうまい工夫だと思います。

 さて、下の写真がその時の…ではありません。実は私がこの「大学の学びはこんなに面白い」というシリーズに登場するのは2回目。これは前回、まだ本学の工学部が設立準備中だったころの記事なのです。

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講演会で鳥取に行ってきました(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 片桐です。11月13日に鳥取大学で行われた「第11回フッ素化学セミナー」で招待講演をしてきました。演題は「有機フッ素化合物の特性を利用した機能材料を指向する結晶工学 」内容は有機フッ素化合物は真のナノテクノロジーの材料として使えるか?というものでした。会場は工学部の第講義室でおおよそ100名の聴衆を前に大ほらを吹いてきました。

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 このフッ素化学セミナーは「フッ素化学討論会」のプレシンポジウムとして毎年開催されています。私はこれらの学術会合を主催する「日本フッ素化学会」の理事をしており、本当はフッ素化学討論会も参加しなければならないのですが、火曜日1限の量子化学の講義のため、泣く泣くこのセミナーに、しかも自分の発表だけして帰ってきました。残念。

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Fischer-Tropsch合成について(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 先日紹介した応用生物学部と工学部の共同研究プロジェクト、そのなかで少しだけ「Fischer-Tropsch合成」に触れました。この反応は一酸化炭素(CO)と水素(H2)から液体燃料を作成することができるプロセスです。石炭やバイオマス由来の炭素のガス化と組み合わせると石炭やバイオマスから液体燃料(軽油など)が合成できることになります。


 そんな反応があるのか!と思う人もいるかもしれませんが、FT合成自体は古くから知られていた技術なのです。


 私個人の記憶では、FT反応の話を知ったのは私が大学の3年のころでした。東京大学の藤元薫教授(当時。現在も、一般社団法人HiBD研究所で液体燃料の研究を続けておられます)がこの反応を研究されていて、いろいろな種類の炭化水素が生じる反応をどのように研究してゆくのか、想像もつかないな、と思っていたことを記憶しています。今にして思えば、生成物の分布は完全にランダムという訳ではありませんし、炭化水素のいろいろな物性にも分子量に対してプロットしてみればそれなりの規則性があるものなので、不可能というわけではありませんね。


 私が学生だったころはオイルショックの記憶が生々しい時期でした。(高校生の皆さんは当時の雰囲気をお母さんやお父さんに聞いて見ると良いと思います。)「石油が無くなったらどうしよう」という不安感が世間にあふれていましたから、石炭(の炭素)から石油の代替品をつくることができる、という点でFischer-Tropsch合成はとても魅力的に見えました。


 さて、以下の図はこのFT合成を行うパイロットプラントや工業プラントで用いられた反応器の装置図です(藤本先生が書かれた「合成ガスから液状炭化水素の合成」 有機合成化学協会誌 41(6), 532-544, 1983 と題する解説記事から引用しました。) オイルショックから間もない時期でもすでにいろいろな反応器が実用化されていたことが分かります。

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共同研究プロジェクト「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用Ⅱ」について その2(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 前回に引きつつき、東京工科大学の共同研究プロジェクト「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用Ⅱ」について紹介します。

 前回は八王子市と東京工科大学の共同プロジェクト「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用」の成果を引継ぎ、バイオマスのガス化によって得られる一酸化炭素と水素から液体燃料を合成するプロセスを研究するプロジェクトを開始したこと、それが「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用Ⅱ」である、という紹介をしました。

 また、このプロジェクトでは本学の応用生物学部と工学部が共同で研究を進めている、という点も述べました。

 さて、この新しい研究では先行する「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用」の成果を引継ぎ、以下様な反応装置を使って「Fischer-Tropsch反応」により液体燃料(合成軽油)を製造するプロセスを対象としています。

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共同研究プロジェクト「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用Ⅱ」について(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 今回は東京工科大学の共同研究プロジェクト「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用Ⅱ」について紹介しましょう。

 本題に入る前に、まず共同研究プロジェクトとは何か。これは本学の学部内、あるいは学部間での共同研究を活性化するために企画された研究プロジェクトで、今回のプロジェクトでは我々応用化学科が属している工学部と本学の応用生物学部とが共同研究を行うこととなっています。

 はい、次はなぜ"Ⅱ"なのか、について。

 実はこの研究プロジェクトは本学と八王子市と「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用」の成果を引継ぎ、より発展させるためのものなのです。

 という事で、まずは「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用」について説明させてください。

 この研究プロジェクトはバイオマスのガス化によって得られる一酸化炭素と水素から液体燃料を合成するプロセスを研究するプロジェクトとして、平成19年にスタートしました。

 八王子市では、年間約1万トンに及ぶバイオマス資源を可燃ごみとして収集しています。これを有効利用する方策として、八王子市と東京工科大学は共同でバイオマスを液体燃料に変えるための共同研究を行いました。バイオマス由来の液体燃料は自動車などで利用してもトータルでは温室効果ガスを増加させませんし、限りある資源を大切に使うことにも役立ちます。

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緑化工学会シンポジウムで発表してきました(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

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緑化工学会のシンポジウム、正確には

日本緑化工学会 乾燥地研究部会 第21回公開シンポジウム

「乾燥地の生態系とその課題 5

西豪州における温暖化対策と塩害・湛水害対策植林」

というタイトルで、私は以前このブログでも紹介した乾燥地緑林による炭素固定の研究について紹介しました。

 温暖化問題の原因となっている大気中への二酸化炭素の蓄積を緩和するためにはどうすれば良いか。省エネルギーが第一だ、という点は前提として、大量の二酸化炭素を固定することによる緩和の手段を考えるとすれば、結局は膨大な量の炭素をどこに、どのような形態で固定するのか、という課題に行き当たります。

 一つの可能性として考えられるのは陸域の生態系を利用して、生物やその死骸として炭素を固定することが考えられます。樹木は比較的少ない肥料成分(特にリン酸、カリ)で大きなバイオマスを蓄積することができるため、非常に有望な炭素固定の担い手です。

 すでに存在する森林を管理することでより多くの炭素を固定させることも必要ですが、現時点で植生が非常に乏しい乾燥地(沙漠など)への植林によって新たな炭素固定を実現することを目標として、本研究を進めています。

 発表の中では爆薬を利用した植林技術について述べたところ、シンポジウムの総合討論の中でそれについての議論が盛り上がりました。以下はその論点について書きましょう。

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