研究テーマ紹介

「沙漠緑化を設計する」ということ(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

沙漠の緑化、あるいは沙漠での植林を設計する、という表現はいまのところ一般的ではありませんが、沙漠への植林によって何かの効果、たとえばエネルギー源としてのバイオマスの取得やCO2の固定、を期待するのであれば、その目的を達成するために具体的に何を行うかを計画すること、つまり設計することが不可欠となります。

 沙漠での植林も一般的な植林と同様の部分、つまり植栽密度を適切に設定して樹木を植える、という意味での植林が前提となります。さらに、樹種の選定と苗木の確保が必要であり、加えて適切な水源からの水の供給、適切な排水経路の整備、土壌改良、場合によっては流砂の固定などの土木作業といった性質の違う作業を組み合わせて行うものとなります。最適な成果を上げるためには現地の状況や植栽後の気象の経過などに応じて適切な対応を続けることが求められるでしょう。そして広大な土地に、すくなとも十年、長ければ数十年やそれ以上の期間で森林が維持されることが期待されています。

 このような理想的な乾燥地植林を想定するとはできます。しかし、一般的な機械産業・素材産業など工場における生産システムや、非乾燥地での農業と比べて、沙漠緑化には固有の難しさがあると考えられます。

 

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「大学の学びはこんなに面白い」の取材を受けました(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 「大学の学びはこんなに面白い」というのは本学WEBサイトのコンテンツです。応用化学科に限らず、本学のいろいろな学科・学部の先生が自分の研究・教育について語るのですが、専門のライターの方とインタビュー形式で記事を作成しているのがユニークな点です。大学の先生はどうしても専門的な知識を前提とした話し方になりがちですから、わかりやすい記事を作るためのうまい工夫だと思います。

 さて、下の写真がその時の…ではありません。実は私がこの「大学の学びはこんなに面白い」というシリーズに登場するのは2回目。これは前回、まだ本学の工学部が設立準備中だったころの記事なのです。

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講演会で鳥取に行ってきました(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 片桐です。11月13日に鳥取大学で行われた「第11回フッ素化学セミナー」で招待講演をしてきました。演題は「有機フッ素化合物の特性を利用した機能材料を指向する結晶工学 」内容は有機フッ素化合物は真のナノテクノロジーの材料として使えるか?というものでした。会場は工学部の第講義室でおおよそ100名の聴衆を前に大ほらを吹いてきました。

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 このフッ素化学セミナーは「フッ素化学討論会」のプレシンポジウムとして毎年開催されています。私はこれらの学術会合を主催する「日本フッ素化学会」の理事をしており、本当はフッ素化学討論会も参加しなければならないのですが、火曜日1限の量子化学の講義のため、泣く泣くこのセミナーに、しかも自分の発表だけして帰ってきました。残念。

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Fischer-Tropsch合成について(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 先日紹介した応用生物学部と工学部の共同研究プロジェクト、そのなかで少しだけ「Fischer-Tropsch合成」に触れました。この反応は一酸化炭素(CO)と水素(H2)から液体燃料を作成することができるプロセスです。石炭やバイオマス由来の炭素のガス化と組み合わせると石炭やバイオマスから液体燃料(軽油など)が合成できることになります。


 そんな反応があるのか!と思う人もいるかもしれませんが、FT合成自体は古くから知られていた技術なのです。


 私個人の記憶では、FT反応の話を知ったのは私が大学の3年のころでした。東京大学の藤元薫教授(当時。現在も、一般社団法人HiBD研究所で液体燃料の研究を続けておられます)がこの反応を研究されていて、いろいろな種類の炭化水素が生じる反応をどのように研究してゆくのか、想像もつかないな、と思っていたことを記憶しています。今にして思えば、生成物の分布は完全にランダムという訳ではありませんし、炭化水素のいろいろな物性にも分子量に対してプロットしてみればそれなりの規則性があるものなので、不可能というわけではありませんね。


 私が学生だったころはオイルショックの記憶が生々しい時期でした。(高校生の皆さんは当時の雰囲気をお母さんやお父さんに聞いて見ると良いと思います。)「石油が無くなったらどうしよう」という不安感が世間にあふれていましたから、石炭(の炭素)から石油の代替品をつくることができる、という点でFischer-Tropsch合成はとても魅力的に見えました。


 さて、以下の図はこのFT合成を行うパイロットプラントや工業プラントで用いられた反応器の装置図です(藤本先生が書かれた「合成ガスから液状炭化水素の合成」 有機合成化学協会誌 41(6), 532-544, 1983 と題する解説記事から引用しました。) オイルショックから間もない時期でもすでにいろいろな反応器が実用化されていたことが分かります。

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共同研究プロジェクト「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用Ⅱ」について その2(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 前回に引きつつき、東京工科大学の共同研究プロジェクト「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用Ⅱ」について紹介します。

 前回は八王子市と東京工科大学の共同プロジェクト「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用」の成果を引継ぎ、バイオマスのガス化によって得られる一酸化炭素と水素から液体燃料を合成するプロセスを研究するプロジェクトを開始したこと、それが「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用Ⅱ」である、という紹介をしました。

 また、このプロジェクトでは本学の応用生物学部と工学部が共同で研究を進めている、という点も述べました。

 さて、この新しい研究では先行する「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用」の成果を引継ぎ、以下様な反応装置を使って「Fischer-Tropsch反応」により液体燃料(合成軽油)を製造するプロセスを対象としています。

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共同研究プロジェクト「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用Ⅱ」について(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 今回は東京工科大学の共同研究プロジェクト「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用Ⅱ」について紹介しましょう。

 本題に入る前に、まず共同研究プロジェクトとは何か。これは本学の学部内、あるいは学部間での共同研究を活性化するために企画された研究プロジェクトで、今回のプロジェクトでは我々応用化学科が属している工学部と本学の応用生物学部とが共同研究を行うこととなっています。

 はい、次はなぜ"Ⅱ"なのか、について。

 実はこの研究プロジェクトは本学と八王子市と「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用」の成果を引継ぎ、より発展させるためのものなのです。

 という事で、まずは「バイオマスの液体燃料への変換と有効利用」について説明させてください。

 この研究プロジェクトはバイオマスのガス化によって得られる一酸化炭素と水素から液体燃料を合成するプロセスを研究するプロジェクトとして、平成19年にスタートしました。

 八王子市では、年間約1万トンに及ぶバイオマス資源を可燃ごみとして収集しています。これを有効利用する方策として、八王子市と東京工科大学は共同でバイオマスを液体燃料に変えるための共同研究を行いました。バイオマス由来の液体燃料は自動車などで利用してもトータルでは温室効果ガスを増加させませんし、限りある資源を大切に使うことにも役立ちます。

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緑化工学会シンポジウムで発表してきました(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

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緑化工学会のシンポジウム、正確には

日本緑化工学会 乾燥地研究部会 第21回公開シンポジウム

「乾燥地の生態系とその課題 5

西豪州における温暖化対策と塩害・湛水害対策植林」

というタイトルで、私は以前このブログでも紹介した乾燥地緑林による炭素固定の研究について紹介しました。

 温暖化問題の原因となっている大気中への二酸化炭素の蓄積を緩和するためにはどうすれば良いか。省エネルギーが第一だ、という点は前提として、大量の二酸化炭素を固定することによる緩和の手段を考えるとすれば、結局は膨大な量の炭素をどこに、どのような形態で固定するのか、という課題に行き当たります。

 一つの可能性として考えられるのは陸域の生態系を利用して、生物やその死骸として炭素を固定することが考えられます。樹木は比較的少ない肥料成分(特にリン酸、カリ)で大きなバイオマスを蓄積することができるため、非常に有望な炭素固定の担い手です。

 すでに存在する森林を管理することでより多くの炭素を固定させることも必要ですが、現時点で植生が非常に乏しい乾燥地(沙漠など)への植林によって新たな炭素固定を実現することを目標として、本研究を進めています。

 発表の中では爆薬を利用した植林技術について述べたところ、シンポジウムの総合討論の中でそれについての議論が盛り上がりました。以下はその論点について書きましょう。

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講義 「サスティナブル概論」から その2 第2種永久機関はできるのか?(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

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 資源のリサイクルは物質不変の法則、質量不変の法則を根拠とします。物質は「なくならない」ので、再生可能です。エネルギー不変の法則もまたよく知られています。エネルギーは形を変えるが、その総量はかわりません。しかし、エネルギーはリサイクルできません。エネルギーは最終的には「使えない」熱にかわり、これは単独では利用できません。熱エネルギーを使うためには高温のものから低温のものへの熱の移動がなければなりません。温暖化した地球の熱をそのまま使うことはできない、とされています。これは熱力学第二法則=エントロピー増大の法則とよばれるものです。もし、この熱力学第二法則を破る機械=デバイスができれば、温暖化した地球を冷やしながら無限のエネルギーを得ることもできます。このような機構を第2種永久機関と呼びます。そして、その永久機関の鍵となるのがマクスウェルの悪魔と言われるデバイスです。

 マクスウェルの悪魔とは1867年にスコットランドの物理学者J. C. Maxwellが提唱した思考実験で、分子レベルでエントロピーを減少させることができるデバイスのことをさします。

 さて、第2種永久機関は本当にできないものでしょうか。これまでにも多くの理論物理学の研究者がその可能性をまじめに研究しています。このようなデバイスは、熱振動を運動エネルギーとして利用できるナノの世界でその可能性が議論されてきました。実際、筋肉を動かすアクチンとミオシンの組み合わせは、ATP-ADPのエネルギーを熱振動の制御に利用して、筋肉を動かしています。つまり、筋肉の駆動力そのものはブラウン運動と同じような熱振動であることが知られています。この辺りの研究は1990年代に盛んに行われていました。しかし、タンパク質のような比較的巨大な分子を使ったデバイスでは、駆動力に熱振動を使っても、制御力は化学エネルギーを使わざるを得ません。

 それよりも小さなスケールの分子の場合、今度はvan der Waals力が大きな邪魔になります。デバイスの空間部分は小さくなると、距離の6乗に反比例するvan der Waals力の作用が大きくなり、構造は固定されてしまいます。それを制御する手段として、分子間力を弱めるフッ素原子を導入する効果が利用できました。これにより柔らかいのに落盤しない分子サイズの細孔を作ることができました。

 私は、結晶中に落盤しない数オングストロームの大きさの細孔を作り、その細孔内に猫じゃらしのような一方方向へ向いた壁面を作り、柔らかな細孔内にアントラセンと言う蛍光分子を導入したところ、この分子は結晶の細孔内を1方向に動きました。

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冷蔵庫で野菜や果物の鮮度を保つ触媒(原准教授)

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 今回は、家庭の冷蔵庫の中で活躍する触媒について紹介します。

 リンゴと一緒に保存するとバナナが腐りやすくなると聞いたことはありませんか? これは、リンゴから放出されるエチレンという気体が植物の成熟を促進するからです。エチレンは、バナナのみでなく、キウイフルーツなどの他の果物、ブロッコリーなどの野菜、カーネーションなどの花といった実に多くの植物の鮮度に影響を与えます。

 家庭の冷蔵庫でいたずらをするこのエチレンを除去するために、効率的な触媒を開発しました。触媒ですので、原理的には交換の必要がありません。これまでの技術では、活性炭のような吸着材にエチレンを吸収させる方法や、エチレンを分解させる薬剤が用いられてきました。しかし、これらは効力がなくなったら交換をしなければなりません。

 新しい触媒の開発は、私の前任地、北海道大学の触媒化学研究センター(現 触媒科学研究所)で行われました。

 

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化学結合~原子と原子の繋がりと電子の目線で材料の特性を解明(高橋教授)

| 投稿者: tut_staff

 

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 以前、金属窒化物について紹介しました(その1その2)。

 金属窒化物の中で、TiN(窒化チタン)という化合物は、硬度が高く(モース硬度;9)、工具類や装飾品のコーティング材として用いられています。TiNは、硬いだけでなく金色を呈し、きらびやかな装飾品にはもってこいなのです。

 ですが、TiNという物質は案外熱に弱いのです。600℃以上の高温に曝されると、表面が酸化してTiO2(モース硬度;~6)になってしまいます。そこで私たちは、TiNを別の金属窒化物と組み合わせることで、特性を改善できることを見出してきました。私たちの研究の一端を紹介したいと思います。今回のお話は、私たちが見出した特性改善を原子のレベルで電子の目で見たらどう説明できるか、というものです。

 TiNは、4(4B)族金属の金属窒化物で、岩塩型(NaCl型)の結晶構造をとり、TiとN原子が交互に並んでいます。TiN中のTi原子の一部をAl原子で置き換えた化合物では(置換固溶)、TiNよりも酸化されにくくなりました。また、一連の金属窒化物では、周期表上、右側の金属の金属窒化物の方が熱的な安定性が低下します。

 これらの実験事実を化学結合の立場から明らかにするために、DV-Xα法という量子化学計算を行いました。

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