解説

「人口ピラミッド」ってどうよ(江頭教授)

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 まず「人口ピラミッド」について、Wikipediaの記述(2019年11月5日閲覧)を見てみましょう。

人口ピラミッド(じんこうピラミッド)とは、男女別に年齢ごとの人口を表したグラフのことである。 中央に縦軸を引き、底辺を0歳にして頂点を最高年齢者として年齢を刻み、左右に男・女別に年齢別の人口数または割合を棒グラフで表した「年齢別人口構成図」のこと。

なるほど。人口ピラミッドは正式には「年齢別人口構成図」というのか。

通常は、出生数が多く、死亡等により、だんだん年齢を重ねていくうちに人口が少なくなる。このため、三角形のピラミッド状の形になることから、こう呼ばれる。

たしかに、下に引用した1965年の日本の人口ピラミッドは「ピラミッド状の形」になっています。ただ、20歳を中心とした「団塊の世代」の人数がかなり多くなっているためにちょっと不安定なピラミッドになっていますね。

 さて、「年齢別人口構成図」がピラミッド型になる原因、先の説明では「出生数が多く、死亡等により、だんだん年齢を重ねていくうちに人口が少なくなる。」とありますが、後半の死亡による人口減少の効果でピラミッド型になるものでしょうか。少なくとも1965年以降の日本の様に平均寿命の長い国では、図のかなり上の方、おもに老齢人口の部分にしか死亡の効果は現れないと考えられます。そのような国ではピラミッド型となる原因は前半の出生数が増えているから、という部分が主であるはずです。


1965

出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ (http://www.ipss.go.jp/)

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バイオマスだけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その2(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 今回の記事、少し間が空きましたが「バイオマスだけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その1」の続きです。こちらの記事ではNEDO 再生可能エネルギー技術白書 第2版 ―再生可能エネルギー普及拡大にむけて克服すべき課題と処方箋―」のデータを基にして、未利用系のバイオマスや廃棄物系バイオマスのポテンシャルが日本の一次エネルギー国内供給や最終エネルギー消費 424 GW とくらべてかなり小さな値であることを指摘しました。「ゴミの減量に努め廃棄物の有効利用を推進してきたからこそポテンシャルが小さい」という見方もできる、というのが結論でした。

 では、バイオマスを積極的に生産する、という手法はどうでしょうか?「再生可能エネルギー技術白書」にはIEAがとりまとめた世界のバイオマスポテンシャルのデータが示されています(下図) 。技術的なバイオマスポテンシャルは50~1500EJ(エクサジュール、1018J)/年とされています。かなりの幅があるのですがこれは廃棄物・未利用系に限った推計と積極的なバイオマス生産も含めた推計とが一緒にまとめられているからだそうです。このうち、持続可能なバイオマスの利用ポテンシャルは200~500EJ/年となり、2050年に予想される世界のエネルギー需要を満たすには不足するものの、最大で5割を賄う能力がある、としています。

 

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バイオマスだけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その1(江頭教授)

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 このブログでは「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」と題して4回(その1その2その3番外編)、「風力発電だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」と題して4回(その1その2その3その4)の記事で再生可能エネルギーのもつ可能性について紹介してきました。今回はバイオマスについて。元ネタは風力発電のときと同じく「NEDO 再生可能エネルギー技術白書 第2版 ―再生可能エネルギー普及拡大にむけて克服すべき課題と処方箋―」のデータです。

 「再生可能エネルギー白書」では下の図が日本のバイオマスエネルギーのポテンシャルとして示されています。賦存量が全ての存在量、というかこれは年間での値ですから発生量ですね。そのうちで利用可能なものが図にはオレンジ色の棒グラフで示されています。

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風力発電だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その4(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 「風力発電だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」について考えるこのシリーズ、その1その2その3と来たので今回でまとめたいと思います。NEDO 再生可能エネルギー技術白書 第2版 ―再生可能エネルギー普及拡大にむけて克服すべき課題と処方箋―」に示された「導入ポテンシャル」に基づいて「陸上風力発電では日本のエネルギー需要(2017年度)の2割程度の発電しかできない」が、「洋上風力発電では日本のエネルギー需要以上の発電量が期待できる」のです。ただし、「一般社団法人 日本風力発電協会」が公開している「風力発電導入ロードマップ:ビジョン」をみると、2050年でも風力発電の目標値 21GW 。これは2017年の日本の最終エネルギー消費の約5%に留まっている、というのが今までのおはなしでした。

 さて、もう一度NEDO の資料にもどって、 そもそも「導入ポテンシャル 」 とは何かを見てみましょう。

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わざわざ図で説明されているのですが、日本の面積のうち、自然要因や法規制によって開発不可能な土地を除いて計算した面積から得られるエネルギーがポテンシャルとなります。まず定義によって経済性の有無は考慮されていません。それに加えて開発不可能の線引きも難しい、という問題点が指摘されています。前回も指摘したように陸上風力発電と比較して洋上風力発電は新しい技術なので「線引き」の難しさもより深刻なのでしょう。導入ポテンシャルのどれくらいの割合が実際に導入可能なのか、固めの見積がされることで導入ポテンシャルに比べて比較的小さな導入可能量となっていたのだと考えられます。

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風力発電だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その3(江頭教授)

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 「風力発電だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」について考えるこのシリーズ、その1その2につづいて今回で三回目となりました。「NEDO 再生可能エネルギー技術白書 第2版 ―再生可能エネルギー普及拡大にむけて克服すべき課題と処方箋―」に示された「導入ポテンシャル」に基づいて「陸上風力発電では日本のエネルギー需要(2017年度)の2割程度の発電しかできない」が、「洋上風力発電では日本のエネルギー需要以上の発電量が期待できる」という結果を示しました。でも「導入ポテンシャル 」ではなく「導入可能量」のデータをみると必ずしも…、というところで前回は終わっているのですが、今回は少し別の角度から風力発電の未来について考えてみましょう。

 今回の元ネタは「一般社団法人 日本風力発電協会」が公開している「風力発電導入ロードマップ:ビジョン」という資料です。

 2050年までの長期の目標として設備容量で7,500万kW (75 GW) 以上 発電量で 約1,880億kWh/年(21GW) という目標を掲げています。

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風力発電だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その2(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」(その1その2その3番外編)と題して太陽電池の可能性について紹介しましたが、前回からは風力発電について同様に「風力発電だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」について考えています。

 前回は陸上風力発電について、「NEDO 再生可能エネルギー技術白書 第2版 ―再生可能エネルギー普及拡大にむけて克服すべき課題と処方箋―」に紹介されているポテンシャルの推計データをもとに「設備容量としては290GW(経済産業省)か280GW(環境省)と大きい」のですが「発電量はそれぞれ 80 GW、67GW 」となり「やはり日本のエネルギーをまかなうには足りない」ことを示しました。国土面積が小さく山が多くて平地の少ない日本ではよい風の吹く場所が少ないのでしょうか。

 実はさらっと「陸上風力発電」のポテンシャル、と書いたのですが風力発電にはもう一つの大きな領域、すなわち洋上風力発電もあります。今回はこの「洋上風力発電」のポテンシャルについえ考えていましょう。日本の陸地は狭いですが海は広い。海上では風を遮るものも少ないことを考えると有望そうですね。

 以下の図が再生可能エネルギー技術白書に示された「洋上風力発電」のポテンシャル。前回の陸上風力発電にくらべると文字通りけた違いに景気の良い数字が並んでいます

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 前回同様、まずは設備容量の導入ポテンシャルから。経済産業省は15億kW、環境省は16億kWと推計しています。それぞれ、1500GWと1600GW。以前紹介した日本の一次エネルギー国内供給635 GWと余裕で上回っています。

 以上は設備容量のはなし。では発電量をみてみましょう。

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風力発電だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その1(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 以前このブログで「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」(その1その2その3番外編)と題して太陽電池の可能性について紹介しました。今回は風力発電について、同様の考察をしてみたいと思います。

 まず、元ネタから。今回は「NEDO 再生可能エネルギー技術白書 第2版 ―再生可能エネルギー普及拡大にむけて克服すべき課題と処方箋―」からのデータを紹介しましょう。クレジットは「独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構[編]」となっています。2014年2月、森北出版から書籍版が出ていますがNEDOのWEBサイトから電子版がダウンロードできます。

 さて、この報告書で風力発電のポテンシャルはどう評価されているのでしょうか。まとめの表を以下に引用しました。

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 表には経済産業省の見積もりと環境省の見積もりが併記されています。経済産業省の見積もりが二つあるのはポテンシャル推計の前提に違いがあるからです。環境省の見積もりと経済産業省の大きい方の見積もりがほぼ同じ値となっていますから、こちらを前提として考えてみましょう。

 導入ポテンシャルは経済産業省は2億9000万kW、環境省は2億8000万kWとなっています。つまり、290GWか280GWとなります。以前紹介した日本の一次エネルギー国内供給635 GWと比べると半分弱と、それなりの値です。

 さて、以上の議論は設備容量のお話。次はより実用に近い発電量として比較してみましょう。

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太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?番外編(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 ここ数回、「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」と題して「平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」を元に考えてきました。前回で一応、「非住宅系の建設物への太陽光パネルの設置のポテンシャルは設備容量で150GW程度と大きいが、発電能力は15GW程度。日本で消費されているエネルギー424GWと比較すると見劣りする。つまり、太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなうことはできそうもない。」という結論を示したのですが、今回は別の資料を元に同様の考察をしてみたいと思います。

 今回の元ネタは一般社団法人「太陽光発電協会」が公表している「JPEA PV OUTLOOK 2050 “太陽光発電 2050 年の黎明”」という資料です。ここで示されている導入量予測は「ポテンシャル」よりは現実的な数値ではあるものの、2050年というやや遠い未来への展望でもあるため理想的なシナリオに基づく予測、という位置づけになると思います。

 この2050年のビジョンを検討するまえに、まず現状としてあげられている2015年のデータを見てみましょう。

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 2015年時点でに導入された累積稼働容量は32GWとかなりの数値です。ただ、発電量は 343億kWh(正確にはkWh/y)であり、単位を換算すると約4GWとなります。日本の全エネルギー消費に比べると約1%。まだまだ少ないことが分かります。

 

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太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その3(江頭教授)

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 前々回前回と「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」について「平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」を元に考えてきました。今回はこの話に一応の結論を出したいと思います。

 まず最初に注意書きをしておきましょう。この話、はじめにでた結論があとでひっくり返る形になっています。結論については、必ず最後まで読んでから判断してください。

 さて前回までで、この調査報告書の「レベル3」の「導入ポテンシャル」がいわゆる限界まで太陽光を導入したケースだとみなす、という結論になっていたかと思います。報告書にはもちろん、その結果の数値が示されています。

 図には公共施設系の結果がまとめられていますが、数が多いのでしょうか、学校がダントツの数値をだしていて、レベル3で1,600越え。表からデータを拾うと1,679.21となっています。単位は万kWですから17GWです。

 他のカテゴリーで大きいもを観てゆくと工場25GW、最終処分場11GWなどがありますが、大物は耕作放棄地で70GWとなっています。全部合計すると 149GW に達します。

 以前紹介したエネルギー白書のデータでは日本が使っているエネルギーは一次エネルギー基準で635GW、最終消費エネルギーでは 424GW となっています。149GWでは足りないと言えば足りないのですが、それなりの存在感のある数値ですね。

 はい、では最初の注意書きとおり、ここで結論をひっくり返すことにしましょう。

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太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?その2(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 今回のお題は前回から引き続き「太陽電池だけで日本のエネルギーをまかなえるのか?」です。環境省の委託事業の報告書「平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査報告書」の導入ポテンシャルのデータに基づいて考えてみよう、というお話です。

 さて、この報告書で試算の対象となっているのは大きく分けて「公共系建物」、「発電所・工場・流通施設」、「低・未利用地」の三つのカテゴリーとなっています。住宅が含まれていない点には注意が必要です。調査の方法はそれぞれのカテゴリーを細かく分類して、その代表例となる様な具体的な施設を選定、そこに太陽光発電を導入することを想定して太陽エネルギーパネルの配置図を作成してみる、というなかなか手の込んだものです。図は小学校にパネルを配置した例。小学校はこの調査では公共系建物のサブカテゴリー「学校」に分類されている施設となります。

 図中、青、黄色、赤に色分けされているのはレベル1~3に対応したパネルの設置場所です。青はレベル1の設置場所で、設置しやすいところ。赤はレベル3で設置面積を大きくするために積極的にパネルを配置することを想定しています。黄色はレベル2で、これはレベル1と3の中間です。

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