授業・学生生活

学生実験の今昔(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 化学の学生実験には共通した基本的な操作がいくつもあります。そのなかで重さを量る、というのは広く世の中一般に行われている作業で、化学の実験室でもやり方に余り変わりはありません。(使っている器具の性能は破格ですが。)

 その一方で液体の「体積を測る」という操作にはいろいろなタイプがあり、そのやり方も化学実験独自のものと言えるでしょう。例えばピペットを利用して一定量の液体を取り分ける、という操作などは一般に生活している範囲内ではほとんど見ない操作ではないでしょうか。

 本学工学部応用化学科の最初の実験「工学基礎実験Ⅰ(C)」(括弧内のCは応用化学の意味です)では、このピペットの利用法の実験があります。具体的には「ホールピペットで純水を計量して、その重さを量る」という作業を繰り返すもので、作業そのものは単純なものです。しかし、測定における誤差の考え方を学び、与えられた目盛を盲信せず自分でチェックする姿勢に触れる、という意味で大切な実験なのです。

 実は私も学生時代、これと同様の実験をしていました。もう30年ほども前の事ですが、作業の内容はほとんど同じです。ただ、一点だけ大きく進歩したところがありました。そう、PCを利用したデータの解析です。

Photo_20240902064701

続きを読む

ハーバーとボッシュ、偉いのはどっち? 10年目 (江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 これは本学科1年生向けの「サステイナブル化学概論」というオムニバス形式の授業での私のレポート課題、本当は「どちらの業績を評価するか」という質問です。私の授業ではハーバーボッシュ法の説明をして、毎年この質問をすることにしています。

 ハーバーボッシュ法は空気に含まれる大量の窒素ガスを植物が利用できる形態に変化させる技術です。この方法でほぼ無尽蔵の窒素肥料を合成することが可能となり、80億を超える人口を支える現在の農業の礎となった偉大な発明です。

 ハーバーとボッシュ、フリッツ・ハーバーとカール・ボッシュ、の名前はこの空中窒素固定技術では必ず一緒に出てきます。しかし、その役割は大きく異なっていました。大ざっぱに言えば窒素、水素、アンモニアの平衡関係を解明し、高圧条件下で触媒を用い、比較的低温でアンモニアを合成する方法を考案したのがハーバーであり、高圧で水素を扱う場合に起きるいろいろな困難を一つ一つ解決して実用化したのがボッシュだ、という役割分担になります。

 さて、今年の結果はハーバーがかなり優勢でした。

Photo_20240826065901

 

続きを読む

東京工科大学の夏休み 後編(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 東京工科大学の八王子キャンパスは本日から夏休み……という話はすでにやっています。(こちらの2024/08/12の記事です。)ですが、今日(2024/08/21)も気分的には夏休みのスタートの様に感じます。いや、正確には夏休み後半のスタートというべきですね。

 実際、2024/08/19の記事ではその前日のオープンキャンパスの記事を載せましたが、その両日、ついでに昨日の三日間は八王子キャンパスは開いていたのです。

 そして本日からまたキャンパスは閉鎖、というか再びの夏休み入り。今週末までの休みで再開は8月26日の月曜日となります。

52_2_20240812081001

 

続きを読む

東京工科大学の夏休み(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 今日は山の日、じゃなくて本当の昨日(2024/08/11)が山の日で、今日はその振替休日ですね。でも今日がお休みなのは「夏休み」「お盆休み」と感じているひとも多いのではないでしょうか。東京工科大学の八王子キャンパスもその例に漏れず、本日2024/08/12がお休みなのは、まあお盆休みと言うべきところでしょう。

 前期の授業が終了したのが8月6日(こちらの記事にも書きました)、8月7日からは一応夏休みに入りました。一応、と書いたのは4年生諸君には「卒業研究中間審査会」という大きなイベントが残っていたから。(中間発表会についてはこちらこちらの記事に。)もっと言うと大学院の修士課程2年生の諸君にも修士課程の「中間審査会」がちょうど8月7日にありましたね(こちらの記事)。

 もっと言うとオープンキャンパスなども開催されたので期末試験から先週の末(卒論中間発表会の終了日)までの間はとにかくイベント続きで「お休み」という実感の乏しい期間だったのですが、さあ、本日からは本当のお休みがスタートすると言って良いでしょう。

52_2_20240812081001

 

続きを読む

卒業論文中間発表会(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 本日8月08日から東京工科大学工学部応用化学科の「卒業論文中間審査会」が開催されています。

 卒業研究は4年生の前期と後期、まる1年かけて行うもので、最終的な成果は来年2月ころの最終報告会で審査されるのですが、今回の中間発表会はスタートからちょうど折り返し点くらい。前期での卒業研究の経過を発表するものです。

 審査は口頭発表によるもの。発表7分、質疑3分となっています。いままで、コロナで中断したこともあるのですが、基本的にこの中間発表会は学科の4年生が全員発表し、各自の発表を全員(教員も含めて)が聞く、というスタイルでした。でも、今年からはやり方を変えて全体を二つのセッションに分けての開催という形式に。二つ(あるいは三つ以上)のセッションが並行して行われる形式をパラレルセッション方式と言いますが、今回からこの形式になるのです。それぞれの発表を聞く人数は半分になりますが、そのおかげで発表会の時間は短縮されることとなります。

 さて、以下の写真が今回の発表会場の様子です。

Fig2_20240808093201

続きを読む

試験とトランシーバーと坂道(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 昨日の記事にも書きましたが今週は東京工科大学の試験週間となっています。私も自分の担当の授業の試験を行ったので、試験監督を務めることに。試験開始時間(普通の時間割より結構遅い時間に設定されています)より余裕をもって試験本部に到着。そこでかねて依頼していた問題用紙と解答用紙が来ていることを確認。出席確認用の座席番号順の受験者リストを受け取った封筒に入れてさあ試験会場に。

 おっと、「試験監督セット」はまだありました。黒板に試験科目名や開始時間・終了時間を書くためのチョーク。大抵は黒板のところに有りますが、もし時間ぎりぎりに到着して見つからなかったら大変ですからね。そしてトランシーバーとその取扱説明。

 えっ、トランシーバー? そう思う方もいるかもしれません。

Machine_transceiver

続きを読む

期末試験がスタートしました(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 一昨日、7月26日は2022年度の前期授業の最終日でした。

 そして週末を挟んで月曜日からは期末試験がスタートしました。期間は今週の末まで。予備日を含めると来週の火曜日までで、一週間と少し続きます。

 本学の試験、実は下の写真の片柳研究棟の教室は利用されません。とはいえ、試験をしない授業もありますし(体育とか)、授業内で試験を終わらせている授業もありますから、教室が足りない、ということもなくスケジュールを組むことができています。

 また、試験の時間は1時間。通常の授業は90分なので、30分短くなっています。これに対応して試験期間中は休み時間も少し長く取れるようになっています。

52_2_20220724102101 

続きを読む

「卒業研究中間審査会要旨」の提出日(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 昨日(2024/07/25)は今学期最後の授業の日(のはずだったのですが雷雨による停電の影響で予備日の今日まで授業が伸びました)。授業はお終いなのですが、卒業研究は中間発表が終わってから夏休み。前期はもう少し続きます。とは言え、7月25日は卒業研究を進めている学生諸君にとっても区切りの日。実は卒論の「要旨」の提出日だったのです。

 高校生の皆さんは「要旨」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?何かの「要旨」を書いた経験は?

 「知ってるよ」「書いたことあるよ」という人から「何それ」という人までそれぞれかと思いますが、大学生になって卒業研究をする場合、全員が「要旨」を書くことになります。(ただし学部や学科によって別の呼び名かも知れません。)

 それもそのはず、例えば本学応用化学科では卒業研究中間審査会、それに最終報告会でも、発表に際して「要旨」の提出を義務づけているのです。

 さて、その「要旨」、今回は「卒業研究中間審査会」の「要旨」とは何か。まず卒業研究中間審査会は学生諸君が1人1人、自分の卒業研究の目的とその意義、前期までに達成できたこと、後期に向けた研究の進め方の計画、について発表する場です。応用化学科では1人7分、質疑3分の口頭発表形式です。その「要旨」とは口頭発表の内容を予めまとめた文章で、本学科ではそれをA4一枚でまとめることになっています。

Document_sotsugyou_ronbun

 

続きを読む

今週で第一クォーター終了、第二クォーターが始まりました(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 4月にスタートした新年度、従来の前期後期の学期制なら今頃は「前期も半分過ぎて折り返し点です」ということになるでしょう。実際、本学科の1、2年生にとってはその通り。気を引き締めて前期残りの期間を充実させましょう。

 ただ、応用化学科の3年前期の授業はクォーター制で行われています。クォーター制とは前期を第1期、第2期の二期に分けて行うもの。本来は1年を4期に分けて行うものですが、本学のクォーター制は前期後期制の一方の期を二つの分ける、やや変則的な制度です。(ハーフ・アンド・ダブルクォーター制とでもいうのでしょうか?)

 でも、なんでこんな制度に?

 これは本学工学部の教育の重点の一つ、コーオプ実習制度に対応したものです。すべての学生が企業で7週間の実習教育を受ける、というのがこの制度の要点ですが、では前期14週間の残りはどうしているのか?もちろん遊んでいる訳ではなく、授業を受けるのですが、こんどは授業期間は短くなってしまう、という問題があります。

 そこでクォータ制。1週間に受ける授業の科目数は少なくなりますが、一つの科目は原則週2回実施します。(一部2回より多い科目もあります。)半分の科目を倍のスピードですすめるのがクォータ制。そのため、本年度の第1期が今週の木曜日(6月6日)という早い時期に終了となったわけです。

52_2_20220608183501

続きを読む

サステイナブル工学基礎 学内施設見学(2024年度)(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 本学の工学部が掲げる「サステイナブル工学」、その最初の授業として本学2年生が履修している授業が「サステイナブル工学基礎」です。本年四月からは2023年度入学の第9期生が受講を始め、第9回目の講義が行われています。

 この「サステイナブル工学基礎」で行われるのが学内施設の見学。工学部三学科が代わる代わる学内のサステイナブル工学に関係の深い施設を見学します。6月3日には我々応用化学科の見学が行われました。この見学、コロナ禍の影響で2020年、21年と中止され、昨年22年に再開されました。ですから、授業は9回目ですが見学会は7回目となります。

 見学は、まず「スマートハウス実習棟」という専門学校の施設からスタート。太陽電池が乗っている建物です。太陽電池パネルの発電量は6kWだとか。その電力と、建物の断熱性を高めて冷暖房の必要エネルギーを削減すること、地中にたまった熱を熱源として用いることで消費エネルギー以上の暖房効果を実現すること、などいろいろな家庭向けエネルギー関連技術の設備があり、その運用や施工方法を学ぶ場所となっています。

Fig1_20240604080401

続きを読む

より以前の記事一覧