授業・学生生活

「人や国の不平等をなくそう」は正しいのか(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 私が大学院で担当する「サステイナブル工学概論」という授業については前回のブログで紹介しました。その際、学生さんたちのレポートを参考に、このゴールはいささか微妙、というか何がこのゴールに役立つのかが分かりにくい、という話を書きました。

 今回はその補足。そもそもこのゴール「人や国の不平等をなくそう」は正しいのか、という意見について紹介したいと思います。

 まず「人や国の」とありますが、国の不平等をなくす、という点については異論はありませんでしたので「人の不平等をなくそう」が正しいのか、という点が議論になります。

 学生さんからは「そもそも人が平等になったことなどない」のだからこのゴールは無謀だ、という意見もありました。でもそれを言ったら全ての人が腹一杯食べられた時代などないのですからゴール1から全て無謀ということになるでしょう。実際には産業革命以来の技術革新、とくに農業技術の革新によっていまや世界の全ての人に充分なだけの食料を生産することはできるのです。その意味ではこのゴールは決して無謀ではない。今でも飢餓をゼロにすることができないのは人類に対しての自然の厳しさ、などでは無く、人類自体の生産と分配の計画能力の問題となっています。

 そう考えると「人の不平等をなくそう」はそれに輪を掛けて人類自体の問題でしょう。しかし、それ以前の問題点を指摘してくれた学生さんもいました。「人が本当に平等になってしまったら、革新や進歩がなくなってしまうのではないか」と言うのです。

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「産業と技術革新の基盤をつくろう」VS「人や国の不平等をなくそう」(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 東京工科大学には大学院が併設されていています。本学の学部から進学する人も、外部から入学する人もいて、大学と大学院は完全に繋がったものではありません。とはいえ「大学院の研究室」というものはなくて学部の学生も大学院の院生も同じ研究室で研究するのです。一体化しているとは言いませんが、強いつながりがあるというところでしょうか。

 さて、我々応用化学科の学生が大学院に進学する際、普通は「サステイナブル工学専攻」となります。「応用化学専攻」ではないのですね。「サステイナブル工学専攻」は「工学部」とは異なって学科ごとの運営ではありません。大学院の授業も工学部、じゃなかったサステイナブル工学専攻で共通となります。

 大学院で私が担当する授業は「サステイナブル工学概論」。「サステイナブル工学専攻」そのもの、というタイトルですね。まあ、学部のサステイナブル工学の授業から続いて担当するというところでしょうか。

 今回、この授業のなかで「SDGs」について触れてみました。学部生とは違って大学院生には「自分の研究」というものがありますから、まず「あなたの研究はどのSDGsの目標に貢献しますか」というレポートを書いてもらいました。

 その中で多かったのが目標の9「産業と技術革新の基盤をつくろう」です。これは納得ができますよね。その一方で「人や国の不平等をなくそう」という目標の10に自分の研究が貢献する、と書いた人は一人も居なかったのです。

 なるほど。では、ここで敢えて再度のレポート課題を。「あなたの研究はSDGsの10番目の目標、人や国の不平等をなくそう、にプラスに作用しますか、マイナスに作用しますか?」
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今日は、いや今日も休日なのですが(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 春の大型連休、ゴールデンウィークも今日が最後。と、まあ世間では言われているのでしょう。しかし本学は違います。ゴールデンウィーク?そんなものは昨日で終わりました。今日からの授業、さあ、張り切っていきましょう。

「えっ、でも昨日の日曜日はこどもの日でしたよね。今日は振替休日でお休みの日では。」

まあ、世間一般ではそうですね。ですが本学では今日、5月6日は祝日授業開講の日です。

 さて、祝日授業開講日について説明しましょう。 別に「祝日授業」という特別の授業がある訳ではありません。祝日ですが、「授業を開講」する日、という意味です。

「祝日なのに授業が有るなんて!」もしあなたが高校生(あるいは中学生、小学生)ならそう思うかも知れませんね。

 大学の科目は原則として14回の授業と1回の期末試験とで構成されています。ですから前期・後期、それぞれ15週間で終わります。つまり、年間30週間しか授業は無い、ということです。高校まではいつも授業があって、その間に休みがある、という感じでしたが、大学では30週間の授業を一年間に割り当てる形になっていて、それ以外は休み、ということになるのです。休日の意味合いが違っていて、比較的自由に授業期間を設定できるのです。

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今学期の履修登録はひと味違うぞ、という話(江頭教授)

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 履修登録についてはいままでも何度かこのブログで触れています。例えば2018年10月2日付けの記事では

 さて、以前も紹介しましたが大学の授業は基本的には選択性になっています。この授業を受けることができませんとか、この授業は受けておく必要がある、といった規則はありますから、完全に選択性と言うわけではありません。しかし、基本が選択性である以上、授業を受けるためには学生諸君が自発的に「自分はこの授業を選択します」と宣言してもらわなくてはならないのです。小学校から高校までのように時間割に書かれた教室に行けば授業を受けたと認定される、という分けではありません。

 学生諸君が授業を選択したことを宣言するための仕組みが「履修登録」です。本学では約1週間の履修登録期間にWEB上で学生が各自の履修する授業を登録することができる様になっています。その期間に体調を崩した人は自宅から登録することも可能です。

などと書いています。さて、ここまでの部分は今でも大体成り立つのですが、今回は「今学期はひと味違うぞ」という部分を紹介しましょう。履修登録をする期間がいままでは学期が始まった後だったのですが、今期は授業開始の前になっているのです。

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新学期がスタートしました(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 2024年度新学期の授業は4月12日、先週の金曜日からスタートしました。

 金曜日からのスタートなのですぐに土日。先生の中にはそれを挟んで今週に入ってから授業開始という人も居るかと思います。かく言う私もその一人。いえ、正確には大学院の授業が金曜日の1限にあったのですが、これはオンラインのオンデマンド形式で実施することにしています。ですから、本日、4月18日の月曜日1限が私の今年度最初の授業です。

 そうそう、今年のこの授業、教室が変更になります。いままでは下図の片柳研究棟の地下の大ホールをメインに授業を行っていました。応用化学科の学生さんのみならず機械工学科、電気電子工学科の学生さんも一緒に参加する授業なので、本学八王子キャンパスで一番大きい会場を使っていたのです。

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桜が満開になりました(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 このブログで「桜はまだかいな」などと言っていたら…という記事を書いたのが4月2日のこと。それから1週間程度経って八王子キャンパスの桜もいよいよ満開になりました。

 したの写真は4月7日の日曜日に撮影したもの。八王子キャンパス正門の桜の花が咲いているのが分かると思います。

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ちなみに下の写真は4月2日のも。ほんの数日の違いで見違えるようです。

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今年の休学者ガイダンスで話したこと(江頭教授)

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 昨日の記事では昨年の休学者ガイダンスで、

自分の仕事が自分で片付けられないとき、自分で責任をもって誰かの助けを求める。それが自己責任。

というお話しをしたら、他の先生たちとモロかぶり。同じメッセージが3回くり返されることになった、というお話しをしました。

 ということで、今回は私が今年どんな話をしたのかを紹介したいと思います。今年私が話したのは、自分が小学生だったとき運動会に遅刻したエピソードです。

 寝坊したらダメだよ、とか遅刻は皆の迷惑に…という話ではありません。この運動会の件、実は担任の先生が開始時刻を間違えて知らせていたのです。だから私は遅刻した。ここまでなら普通の話なのですが、この時クラスで遅刻したのは私だけだった、というのがこのお話の肝です。

 例え担任の先生が間違った時間を伝えていても、他の生徒達は別ルートから正しい情報を得ていたのです。でも私は、というか私だけは正しい情報に接することができなくて「やらかした」のですね。うーん、自分ながら、友達いない子供だったんだなあ。

 いや、これにも理由があって、実は私は親の転勤の都合でこの小学校に転校してきて日が浅かったのです。(私は小学校は三つの学校に行っているのです。)

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再び雪の八王子キャンパス(江頭教授)

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 毎年冬になると、雪が降らないかなあ、と期待すると同時に、雪が降ると困るなあ、と心配もしています。

 おっと、この書き出しは以前のこちらの記事と同じですね。これは2月始めの結構な大雪についてのお話し。今回の記事も雪についてですが、私の気持ちとしては「困るなあ」要素は少なめです。

 まず今回の雪、それほど積もっていないのです。大雪になるかも、という前日(2024/03/07)の予報にもかかわらず八王子は深夜までは雨かみぞれで、雪になったのはかなり後になってからでした。今はもう止んでいて今日は晴れるというのですから今回の積雪は大したことはなかった、で済みそうです。(おっと、これは八王子に限れば、という話。場所によっては大雪という予報が当たったところもあるでしょうね。)

 そしてもう一つ。「困るなあ」要素が少ないのは学校の行事、特に入試関係が一応終了していることも大きいですね。雪が降って、それが理由で交通機関が乱れるといろいろなトラブルが。この場合は八王子キャンパスだけでなく周辺の交通機関の問題もダイレクトに関わってきますから、どうしても雪に降ってほしくないなあ、と思ってしまいます。

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授業点検に参加した「プロセス工学」の授業(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 前回の書き出しはこんな感じでした

「授業点検」という本学の制度についてはこのブログでも紹介したことがあります(こちらの記事とか)。今年の後期の授業点検に「プロセス工学」という科目があったので、ああっ「懐かしいなあ」と思った、というのが今回のお話し。

で、前回の記事、よく見たら肝心の授業点検に参加した「プロセス工学」の話をし忘れているではないですか。ということで、今回はそのお話しを。

 まずこの「プロセス工学」の授業、実は応用化学科の授業ではありません。本学工学部の三つある学科の一つ、電気電子工学科の授業なのです。前回紹介した「プロセス工学」が実は「化学プロセス工学」の事だったのに対して、この「プロセス工学」は「電気電子プロセス工学」…ではなくて、実質的に「半導体プロセス工学」なのです。

 電気電子工学科の先生に

この内容なら「半導体プロセス工学」という名称にするべきでは?

と聞いてみたのですが、

いや、「プロセス工学」といえば普通は「半導体プロセス工学」の事ですよ

とのこと。所変われば品変わる、とでも言うのでしょうか。

 

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学生時代に受けた「プロセス工学」の授業(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 「授業点検」という本学の制度についてはこのブログでも紹介したことがあります(こちらの記事とか)。今年の後期の授業点検に「プロセス工学」という科目があったので、ああっ「懐かしいなあ」と思った、というのが今回のお話し。

 私が大学の3年生の時の授業で担当は前回紹介したこちらの本を書かれた西村肇先生でした。教科書として指定されていたかどうか、よく覚えていないのですが、そのとき買ったプロセス工学関係の本が写真の「化学プロセス工学」という本。これは凄く難解な本で、通学途中に電車のなかでこの本を読んだところ、深い眠りに落ちて乗り過ごすこともしばしば、という有様でした。

 だとすると授業の方もさぞかし…と思いきや、これが凄くためになった、というか身になった授業だったのです。

 授業は教科書をまったく使用せず、演習問題を解くというスタイル。しかもその演習問題というのが1学期の授業で2問しかないのです。

 この授業は化学プロセス、つまり化学物質を合成して大量生産するための工場をどの様に設計するか、という内容でした。そのため、現実に存在するプロセスから例をとって、その簡単なモデル化と条件最適化をやってみよう、というのが演習問題なのです。簡単なモデル化、といってもそこは化学プラントのプロセスの問題。すぐに解けるような単純なものではありません。いくつかのステップに分けて複数回の授業時間をつかって問題の解説と解き方の説明が行われるのですが、それが科目の内容の説明を兼ねていたのです。問題を解く、という状況のおかげで単純に教科書を読むよりも理解が深まったように感じます。

 やがて数値計算で答えを出せるところまで理解が進んだのですが、利用できるのが当時出始めていたプログラムの組める電卓(こちらの記事で紹介しています)ぐらいしかなかったのですから、数値解を求めるのは相当に大変な作業でした。

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