日記 コラム つぶやき

三角関数で関数の概念を学んだ!(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 「三角関数を義務教育で教えるべきか」という議論が一部で盛り上がっていたそうですが、今回はそれに便乗してみましょう。

 私も中学時代に三角関数を習ったわけですが、その際に三角関数の加法定理を習って、それを暗記させられた記憶があります。「サインコサイン、コサインサイン、コサインコサイン、サインサイン」なんて唱えながら覚えたものです。あと「プラプラ、マイマイ、プラマイ、マイプラ」ですね。

 そんなことをしながらふと思いました。

「どうしてこんなにややこしいのだろう?」「sin(α+β)=sin(α)+sin(β)ではなぜいけないのだろう?」

 そこまで考えて突然理解しました。

「sin(α+β)=sin(α)+sin(β)となる関数を考えてもよいが、それは実際の三角形とは無関係な何かになってしまう。関数と関数につける名前は別のもの。関数の名前は人間が勝手につけたものだが、関数にはそれ自体の本質があって、人間が自由に変えることはできないのだ。」

何を当たり前の事を、と思われるかもしれません。しかし私にとっては、人間が変更することのできない数学的な真実というものの存在がすっと腹に落ちた瞬間だったのです。

 私の場合はその後の進路から三角関数を使う側の人間になったのですが、たとえそれがなかったとしても、この関数についての理解、もっと言えば数学についての理解は非常に重要だったのではないかと思います。でも、数学の教科書を作っている人たちも私の通っていた中学の数学の先生も別に「加法定理で数学の神髄を教えてやろう!」と思っていたわけではないでしょう。三角関数以外の部分で同様の理解に達した人もたくさんいたと思います。

Photo

(三角関数の加法定理:Wikpediaより。普通上の二つ、sinとcosを加法定理と呼ぶと思います。)

続きを読む

工学の理想世界とは? (江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 今日までは三が日、ということで初夢気分でおめでたい話をしたいと思います。今日のお題は「理想の世界」。現実的かどうかを度外視して「工学」の理想が実現した世界を思い描いてみましょう。

 「理学と工学の違いは目的の有無」という点からスタートすれば、工学とは「目標をかなえてくれるもの」となるでしょうか。歴史的に見れば人間の目標は「食う寝るところにに住むところ」の確保でしたから、すべての人に十分な衣食住を保証できる環境を整えることが工学の究極的な目標となると言えそうです。

 ではこの究極的な目標を最も効率的に実現するとしたらどんな世界になるのでしょうか。

5e0a314cf444c1cc52c5d3e5bb1918b325

続きを読む

乗っていた電車で人身事故に雄遇しました。(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 12月1日土曜日の夕方から24年前にやめた会社の医薬・バイオ研究所の「同窓会」へ参加するため都心へ行きました。ついでに新宿でお昼を食べてから神田神保町の古書店街や渋谷の東急ハンズにも行こうと思い立ち、午前中に家を出ました。

 橋本駅始発の京王相模線の準特急に幸いに座れました。この日は乗客も比較的多く、車内はざわざわとしており、話し声や若い人の笑い声が聞こえていました。

 10時50分頃に千歳烏山駅を出てから電車の速度がだいぶ上がったところで、突然アナウンスがありました。

「緊急停車します、おつかまりください」

すぐに減速し、電車は止まりました。続けてショッキングなアナウンスを聞きました。

「ただいま、この電車は人身事故をおこしました。」

一瞬、車内がざわつきましたが、すぐに静まり返りました。

私の前に立っていたオバサンがひとこと

「マジか?!」

とぼそっとつぶやきました。

 私は5両目におりました。幸いにこの踏切事故による衝撃や音を聞くことはありませんでした。5分ほどして線路脇を制服の駅員さん(?)が前方から後方へと駆けて行きました。さらに5分ほどして、何種類かのサイレンが聞こえ、消防車が一つ後ろの車両の横の駐車場にやってきました。その消防車の回転灯を見て、先のオバサンがまた、

「マジか?!」

とつぶやきました。

 事故現場は私の座っている所から、数両後ろの踏切のようです。電車はその踏切から止まるまでに数百メートルほど走ったようです。

 比較的混んでいた車内でした。しかし、事故発生時から車内は異様に静かでした。

 車内放送の情報は十分ではありませんでした。情報不足はパニックを引き起こす原因のひとつ、と社会心理学の教科書には挙げられています。それでも、ざわざわとした雰囲気も、怒りの声もまったく聞こえません。ときどき遠くから携帯電話かメールの着信音が聞こえるだけです。奇妙な緊張感のある静寂です。

 私は『ああ、良くも悪くも日本人特有のレジリアンスだなあ。冷静なのか?,思考停止なのか?。』といささか不謹慎ですが、周囲の人の行動を観察していました。前の方で立っている人は皆,スマホを食い入るように見て操作しています。ある意味、外界への興味を失っているようにも見えます。恒常性バイアスのようなものでしょうか。それとも、騒いでもどうしようもないというあきらめ=大人の対応なのでしょうか。いずれにせよ、日本人は逃げ後れることはあっても、パニックを起こしにくいのでしょう。安全工学で教えたことを再確認しました。周りが静かにおとなしく事態が終息するのを待っている様子を見ていると、すこしイライラしている私自分を恥ずかしく感じました。これは多数派同調バイアスのようなモノでしょうか。

Img

続きを読む

暑い!12月だというのに...(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 きっと今日(12月4日)ブログを書く人は皆このネタを一度は心に浮かべたのではないでしょうか。いくら何でも今日は暑い。もう12月なのに…。

 私もキャンパスで建物間を移動する際には余りの暑さにジャケットを脱いで肩にかけて歩いていました。ふと「これって真夏のサラリーマンのスタイルの様だ」と思って少し笑ってしまいました。

 さて、暑い暑いと言っていても主観的に過ぎるので客観的なデータを見てみましょう。こんな時に頼りになるのはアメダス。今日、2018年12月4日のデータが既に閲覧可能です。以下の図はアメダスによる午後八時までの観測データのまとめです。最低気温は変わるかも知れませんが最高気温はこれで確定で良いでしょう。実に24.5℃。こんなことは観測史上始めてではないでしょうか?

 違います!

Photo

 

続きを読む

「45°の線に乗る」という表現(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

だから、○○の実測値を横軸、縦軸を計算値でプロットしたとき「45°の線に乗る」かどうかでしょ!

というような議論を以前からやっていたような記憶があるのですが、はて今の人に通じるのでしょうか。

「45℃の線」ってなんですか?

ぐぐれ!

いや、Googleで検索してもでてこないと思います。(「45°」じゃなくて「45℃」ならなおさら。)

 このお話、一つの物理量の予測値と実測値のように、本来等しくなると期待されるもの、が本当に等しくなっているか、を確認するような場合、両者を縦軸Xと横軸Yにプロットしたグラフで

Y=X

の関係が成立しているかを確認するという作業についてです。グラフ上のY=Xを表す直線を指して「45°の線」と呼んでいるのですが、この呼び名は縦軸Xと横軸Yが同じスケールになる場合にだけ当てはまるものなのです。

 昔は、具体的にはパソコンを使ってグラフを書くことが一般的になる以前には、グラフを書くために「グラフ用紙」を買ってきて、そこに印刷された目盛りにしたがってグラフを書いていたものです。一般的な市販のグラフ用紙は縦方向も横方向も同じ間隔の目盛りが入っているので、普通にグラフ用紙を使っている限りY=Xを表す直線の傾きは45°、つまり「45°の線」になるわけです。

1mm_b

続きを読む

きびしい先生、やさしい先生(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 鬼仏表というものがあります。これは、昔の大学生の間で、単位を取りやすい先生を「仏」、単位を取りにくい先生を「鬼」にたとえて、その評価をまとめた小冊子のことです。最近は楽天が「みんなのキャンパス」で全国規模のWEBページを作っているようですね。

 試しに、私の前の大学での「安全化学」の評価を見ますと、

  内容充実度 ★★★★★

  単位取得度 ★★

でした。なるほどねぇ。

 コメントの中には「精神的に結構きつい講義で、人によっては胃に穴が開きます」とか「とにかく先生はジレンマが大好きで、正解がない問題を生徒にぶつけてレポートを書かせて楽しんでいます」とか好き勝手なことを書いています。

 本学では「学生アンケート」で講義の評価を先生にかえしています。それを元に、各先生は自分の講義の改善を行ないます。でも、それは表の世界のはなし、おそらくウラでは、学生さんの間で、うちの学科の先生の「鬼仏」について、いろいろな噂はなしが飛び交っていることでしょう。

 工科大学応用化学科の各先生は「鬼」でしょうか「仏」でしょうか。それについて、コメントは避けましょう。皆様の評価を待ちましょう。

 さて、私の出身の京都大学理学部有機化学研究室では鬼教授の後任は仏教授、仏教授の後任は鬼教授というパターンがありました。初代の久原躬弦教授は初代日本化学会長を勤められた「鬼」と伝えられています。その次代の小松教授は鬼だったという噂を聞きませんから仏だったのでしょう。三代目の野津龍三郎教授は研究の「鬼」として有名でした。四代目の後藤教授は私の目から見ても好々爺の「仏」でした。その次の丸山教授が私のお師匠様で、典型的な「鬼」でした。この法則は必ずしも私の出身研究室だけではなく、日本の多くの大学の研究室に共通して見られるようです。この法則は、俗に「鬼仏交代論」と呼ばれます。

Photo

続きを読む

渋谷のハロウィン騒動に思う(片桐教授)

| 投稿者: tut_staff

 浜松祭りを現地でご覧になったことがありますか?

 昼間の凧揚げや夜の屋台引き回しでよく知られた地方のお祭りです。この夜の屋台の各町内会での引き回しの時に、「練り」を行ない新しく子どもが生まれた家を祝います。ある意味「はっちゃけ」の場です。ラッパと笛と太鼓でハッピを着た若者が旗を中心に提灯を持って「わっしょい、わっしょい」と大規模なおしくらまんじゅうをします。祝われた家は未成年にはお菓子で、大人にはお酒でその労をねぎらいます。

 その様子はYouTubeなどで「浜松祭り 練り」で探すと見つかります。

 私も昔々10代の時に一度だけ参加し、その最中に転んで思いっきり踏まれましたが、あの高揚感と開放感は癖になります。そして危険があるからこそ、必死になれる、快感があるというのは否めません。

 岸和田のだんじりや博多の山笠など、危険を伴うそのような「はっちゃけ」祭は日本各地に存在します。このような「祭」により、そのような暴力的なエネルギーを管理した形で安全に発散させる文化が日本にはあります(ありました)。

 今年、社会的な問題になりそうな、渋谷のハロウィンの騒動もそのような「はっちゃけ」の場としての祭だったかと思います。東京のような地域の祭が廃れ、あるいはもともとそのような祭が無く、そこに参加できない若者が多い所では、何らかの形でそのような「祭」が必要なのでしょう。

Fig

 80年代のディスコもそのような「はっちゃけ」の場でした。毎週末、大音量で、他人を押しのけ差別するようなお立ち台を配し、しかし周りへの迷惑を最小限とするために閉じた空間で狂宴が催されていたのも、そしてそれが若者に支持されたのも、そのような「はっちゃけ」の場が必要なことの証拠ではなかったかと思います。

 このような祭は私的になり規模が小さくなれば過激になり、危険なものになります。暴走族の集会はその一例です。小さな組織のルールが大きな社会のルールよりも優先され、交通違反を起こし、人を傷つける危険な行為が行なわれます。

 また、少し前の時代に大学生の飲み会で「一気飲み」がはやったのも、そのような危険を伴う祭を小さく開催していたということでしょう。これもアルハラや急性アルコール中毒による大きな危険を招きます。

 「祭」は小さくしてはダメだということでしょうか。

続きを読む

便利すぎだよ、通販サイト(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 格安で安全確実な宅急便をはじめとする宅配便サービス、高速なインターネットのインフラが揃っている日本は通販サイトが活動するための条件が揃っています。図書や日用品をはじめとした通販は広く利用されているので皆さんもご存じかと思いますが、われわれ大学の研究者を含む、いわゆる技術系で研究開発を行っている人間にとっても通販はとても便利なインフラです。

Photo

 こちらは「モノタロウ」のサイト。一般の人向けではない装置の部品や実験の器具まで扱われていて大抵のものが注文できます。一日で発送、翌々日にはとどくものも多いですね。

Photo_2

こちらは「ミスミ」。機械部品の説明にはCADファイルがついているのがとても便利です。部品のサイズを考えながら絞り込み検索ができるのも魅力の一つです。

続きを読む

「宅配便」?「宅急便」?(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 一般には「宅配便」。「他急便」はヤマト運輸が運営している宅配便サービスの名称です。

 というのが最小限の答えですが、50代の私としては一言付け加えたくなります。ヤマト運輸が「宅急便」のサービスを開始したのが1976年だといいますが、それ以前には「宅配便」に相当するサービスは存在していませんでした。

 「宅配便」以前に存在したのは郵便小包と「チッキ」とよばれた鉄道による運送サービスでした。私が小学生低学年かそれ以前でしょうか。母親が実家からチッキで送られた荷物を受け取りに自動車で名古屋駅まで行くのに連れて行かれた記憶がうっすらと残っています。母は幼い私を家に残しておけないので一緒に車に乗せていったのでしょう。駅と駅の間しか輸送することのできない不便なシステムだったのですね。

 さて、私が中学生くらいのころに「宅配便」が登場しました。年老いた母親からの電話で「荷物を送ったよ」告げられる都会暮らしの主婦の家に、まさにその電話の最中に荷物が届く、というCMをよく覚えています。子ども時代のチッキのシチュエーションとのコントラストがそれほどに印象的だった、ということでしょうか。

Ec881c698bf34c26e59eae0bc6bb660e

続きを読む

簡単な徴税方法を思いついた、という話(江頭教授)

| 投稿者: tut_staff

 これはずいぶん昔の話、ですが私が子どもの頃というほどではありません。多分消費税が導入された頃でしょうか。税金についての思いついたことがあるのです。

 税金を集めることは大変です。まず公正な税制をつくること。正確に運営するための組織をつくること。全ての国民がその運営に協力することなどなど。どれも理想はあっても実現するのは非常に困難なことです。最近は実際のお金(普通はお札でしょうね)を集めることは少ないと思いますが、例え銀行振り込みでも1人1人納税額を計算して集金するのは膨大な手間がかかります。

 そこで、簡単な徴税方法について。税金を集めることの本当の意味は日本国民からお金を集めることではありません。国民の負担によって政府のいろいろな機能を成り立たせることです。国民から政府に何らかの形で「価値」をもったものが移動すれば良い。いえ、価値が移動すれば良いのであって必ずしも「もの(お金の金額という情報を含む)」が移動する必要は無いのでは。

 もったいぶるのはやめましょう。政府は単純に税金分のお金を印刷して使ってしまえば良いのです。

Map

続きを読む

より以前の記事一覧